『小田原競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:8月28日

 小田原競輪場で開催されている開設72周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」は、8月28日に3日目を迎えた。熱戦が展開された準決では、S級S班の守澤太志、清水裕友が1着で決勝に進んだ。しかしながら、平原康多、深谷知広が落車に見舞われるアクシデントがあり、残念ながら3日目での途中欠場となった。29日の最終日には、地元の松井宏佑をはじめとした好メンバーによる決勝が行われる。
 小田原競輪場では神奈川県への緊急事態宣言の発出に伴い、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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守澤太志選手
守澤太志選手

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 中近ラインが先頭に立って赤板を迎える。4番手の北津留翼は1コーナーから仕掛ける。合わせる小森貴大を北津留が叩くが、すでに反撃に出ていた松井宏佑が前団に襲い掛かる。最終ホームで松井が主導権を奪い、守澤太志(写真)が続く。高橋陽介は遅れて、3番手に北津留が入る。が、北津留はいっぱいで、番手の守澤が別線を引きつけて松井を差し切った。
 「松井君の地元なんで、松井君の好きに走ってくれればと思ってました。昨日(2日目)も今日もダッシュがキツかったけど、付いてからは余裕があった。とにかく初日から毎日、前の選手が強いんで、(踏み出しの)そこだけは集中してるんですけど、それでも離れてしまったりしている。自分の感じは変わらずいい。(グレードで)3連勝で上がったのは、たぶん初めてだと思います」
 松井宏佑(写真)は北津留をねじ伏せる先行策で2着に粘り、まずは地元記念の決勝にたどり着いた。
 「誰も(スタートを)出なかったから前受けをして、それで力勝負で北津留さんに挑もうと。主導権は絶対に取ろうと思ってた。(北津留に)合わされたと思ったけど、なんとかでした。(出切ってからは)一瞬、ペースに入れて、あとは全開でした。疲れはまだ抜けてないけど、ちょっとずつ感じがつかめてきている。自転車とのフィーリングが合ってきた」
 3番手に入った北津留が思いのほか脚力を消耗。柏野智典は、内を突いた伊代野貴照に隙を与えずソツなく3着に入った。
 「(北津留)翼がちょっと色気を出したのか、もうちょっと早めに叩いて松井君と力勝負なら面白かった。ただ、翼は(3番手から)のみ込めると思ってた。翼がアタマかなと。そしたら伊代野君が入ってきたので、締めながらでした。自分はギアを換えたりして、今日が一番感じは良かった」

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佐々木豪選手
佐々木豪選手

田中晴基選手
田中晴基選手
 5番手から合わせて動いた佐々木豪(写真)を制して、根本哲吏が眞杉匠から主導権を奪う。が、眞杉が番手に飛び付いてもつれる。そこを叩いた鈴木陸来が、最終的に先行策。南関勢を追った佐々木が、まくり上げる。田中晴基のブロックでスピードが鈍った佐々木だったが、逃げる鈴木をしぶとくとらえた。
 「気持ちでしか走ってないですね。みんな前々に踏む選手なので、自分は切ってから考えようと思った。でも、落ち着いて組み立て直しました。眞杉君が引いたら、そのままカマしていこうと思ったんですけど粘った。そこは冷静に見られました。そのあともまくり切れて良かったです」
 佐々木を外に張った田中晴基(写真)は、眞杉にすくわれたものの、直線で平原康多との攻防に踏み勝って2着。
 「(鈴木)陸来は、2日目より強くなってますね。やっぱり若いから1日でも成長するんですかね(笑)。いいところで行ってくれたので、2人で決まるかなって思った。ただ、佐々木君が強かった」
 田中と接触した平原が落車して、成田和也も巻き込まれる。あおりを受けながらも久米良が外を踏んで3着。
 「アクシデントがあったので素直には喜べないですけど、記念の決勝は1つの目標としてやってきていた。眞杉君がああするとは思っていなくて、展開が向きましたね。佐々木君とは相性がいい。田中さんにもってこられて離れかけたんですけど、内に来られていてもってこれない感じだったので運があった」

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清水裕友選手
清水裕友選手

石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 中団から先に動いた清水裕友(写真)を前受けから突っ張った小原佑太は、腹を固めてそのままペースを上げる。北日本ラインの主導権で、単騎の石塚輪太郎が4番手に切り替える。巻き返した深谷知広は石塚と接触して、赤板2コーナー過ぎに落車。目標を失った鈴木裕が5番手で、清水は6番手で態勢を整える。石塚が最終2コーナーからまくりを打つと、合わせるように佐藤友和も早めの追い込み。その外を豪快にまくりでのみ込んだ清水が1着。
 「初手で中団が取れたのはラッキーだったけど、小原君に突っ張られたところはキツかった。4番手に入ろうと思ったら、石塚さんがおったんで、5番手になりました。そのあとは冷静に戦えたかなと。ここ最近の感じだと(あのまくりは)浮いて終わってるパターンだけど、そこをねじ込めたのは良かった。今日(3日目)は最近のなかでは、わりとマシでした」
 果敢に風を切った小原の番手で佐藤友和は、最終3コーナー過ぎから石塚に合わせて踏んで2着。
 「(深谷の落車は)自分もわかってなかったし、小原君もわかってなかったみたいですね。それで流すことができなかった。でも、そこは小原君のこれからにつながっていくと思います。自分は初日が感じが良かったんで、今日もそれを信じてっていう感じですね」
 単騎の石塚輪太郎(写真)は、構えることなく先まくりを断行。同期の清水に屈したが、価値ある決勝のキップをつかんだ。
 「小原君が赤板からものすごいピッチで駆けてたんで、かなりキツかった。あとは清水君が来ると思ったんで、自分はそこでかぶるとどうしようもない。ダメもとで行きました。イケる気がしなかったけど、行けているんで調子はいいと思います」