『小田原競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:8月29日


 小田原競輪開設60周年記念「北条早雲杯争奪戦」が本日から開幕。各戦、見どころ十分の戦いが繰り広げられた。メインの特選レースからは紫原政文、荒井崇博、佐藤友和らが勝ち上がり、明日の優秀戦「銅門賞」に駒を進めた。
 本場では様々なイベントをご用意しております。明日の日曜日は、KEIRINアイドルユニットLOVE9によるパフォーマンス、豪華景品の当たるスーパーガラポン抽選会などが行われます。こちらのほうもお楽しみに。


<1R>
   ここでは田中俊充(2着)が機敏に立ち回った。浦山一栄ラインの三番手にはまると、最終四角で浦山マークの落合豊の内をすくい、最後は直線を鋭く伸びた。1着こそ吉野猛に譲ったが、予選突破に満足げだ。
 「今日は誰も前を取りたがらないだろうし、分断も頭にあったんで前受けしました。途中で仕掛けようとも考えたけど、桂馬(将人)君も脚を使っていたし、もう誰も来ないと思ったから、じっくり追走してチャンスを待ちました。最後は空いたところをとっさに行きました。判断が良かったですね」


<2R>
   2レースは、女屋文伸が主導権をにぎると、ライン三番手の橋本紀彰が直線を伸びて1着をさらった。
 「ずっと脚に余裕があったし、今日は身体が軽かったです。最後は内を割られないことだけに集中していました。記念初勝利だし、嬉しいですね」
 女屋文伸は「酒井(大樹)君を封じるのに脚を使ったとはいえ、33バンクでズブズブじゃ駄目ですね(苦笑)。でも、ライン3人で勝ち上がれたわけだし良しとしないと」と話す。


<3R>
   3レースは、山岸正教(2着)が石坂永伍の番手を確保すると、2センターからまくって出た。
 「6(石坂)の子が行きそうだったし、齊藤(利治)さんのところで勝負をさせてもらおうと思ったら、落車があったでしょう。よく巻き込まれなかったよ。番手に入ってからも脚をずっと使っていたしきつかった。バック辺りで誰かがまくってきたと思って、合わせて踏もうとしたら、垣外中(勝哉)さんだったんで少し休みました。あのまま踏みっぱなしだったらきつかったでしょう」
 1着の垣外中勝哉は「山岸君と(連係が)離れてしまったし焦った。必死で追い上げました」と、ひやひやの展開に苦笑いを浮かべる。


<4R>
川口秀人選手
川口秀人選手
   原誠宏が荒澤貴史の番手を取り切ると、直線で原マークの川口秀人(写真)が猛然と追い込み1着をもぎ取った。
 「原君との連係は初めてだったけど、強気なレースをする子って話を聞いていたし、信頼して付いていきました。その通り、前々に攻めてくれたし強かった。自分が四角までサラ脚だったから抜けたようなもの。二人で勝ち上がれたってことが大きいですよ」
 原誠宏は3着に。正規では初の記念参戦だが、ここで大いに名前をアピールした。 
 「粘るのは最後の最後の手でした。普段からあまりやらないし難しかったですね。長引かずに一発で決めていれば、もっと脚にも余裕ができたんでしょうけど」


<5R>
   太田黒大心が突っ張り先行で別線を一蹴。末脚も良く、後続を振り切る圧巻の逃走劇を披露した。
 「逃げの決まり手が付くのなんて本当に久しぶりです。最近は練習でタイムも出ていたし、やれる自信があったんです。しっかり踏み直せたし、ペース配分も良かった。あとは平(総一)さんが全部まくりを止めてくれたのも大きかった」
 太田黒に突っ張られた伊藤成紀は、落ち着いて中団を確保し、2着に食い込んだ。
 「無理にでも叩こうと思ったけど、そうなると持たないし、坂木田(雄介)さんに行かれてしまうでしょう。だから落ち着いて立て直しました。最後、平さんと接触してスピードが落ちたけど、あれがなければ頭まであったかもしれませんね」


<6R>
高谷雅彦選手
高谷雅彦選手
   ここからは選抜戦。レースは高谷雅彦(写真)が中団からまくりを決めると、マークの近藤俊明とワンツー決着。復帰初戦で結果を出し、安堵の表情を浮かべる。
 「今日はレース前から不安で不安で仕方が無かったんです。良かったですね、まずはホッとしました。今日は展開が向いたから勝てたけど、レース勘みたいなものもまだまだ。本調子に戻るまで、もう少しかかりそうですね」
 先行した立石拓也は着外に沈むも、どうにか二次予選Bに進出を決めた。
 「前回の佐世保の負け戦でギアを3・85に上げたんです。だけどその時はまくりだったし、一度先行で試してみたかった。実際、今日はちょっと重たかったけど、今開催はこのままでやってみます」


<7R>
池田良選手
池田良選手
   最終ホームで和田圭が流しているところを、池田良(写真)がすかさず叩いて主導権を奪取。後続を大きく引き離し、そのまま押し切った。
 「前が緩んでいたし、行くならあのタイミングしかなかった。踏み出しも良かったですね。ただ、和田(圭)君がいつ来るか分からなかったし、休まずに踏んでいたのできつかった」
 和田誠吾は、踏み出しで池田と離れたが、すぐさま追い上げて2着に食い下がった。
 「池田の仕掛けるタイミングも分かっていたし準備もしていた。それでも離れてしまうんだから、あいつが強いのか俺が弱いだけなのか…。ここまでエラかったのは久々でした」
 和田圭は3着入線も、池田の強烈なダッシュに屈したかたちに。
 「後ろが競りだったし、そこばかりを意識していたらあっという間に池田君に行かれてしまった。33バンクだし、ああなると追いつくのは厳しいですよ」


<8R>
廣川泰昭選手
廣川泰昭選手
   8レースは実質、先行一車の組み合わせ。廣川泰昭(写真)が、逃げる田中孝彦の番手を奪うと、ゴール手前で田中を交わして1着をゲットした。
 「渡辺(十夢)さんもいたけど、自分も田中君のハコを狙っていました。地元だったし申し訳なかったですけど、田中君をまくるのはきついですからね。いつも初日に失敗することが多いだけに、今回1着が取れて良かったです」
 田中孝彦は「逃げイチだし、自分だけでいいなら楽な展開だったかもしれませんけど、後ろに先輩がいるのにそんな気持ちにはなれませんよ。廣川さんに番手に入られてしまったけど、脚には余裕があったし押し切れると思ったんですけどね」と、ラインでの決着が叶わず、表情は複雑だ。
 穴党の人気を集めた黒木誠一は、小川将人の後位からレースを組み立てた。小川が内に包まれると、自らまくりを放ち見せ場を作ったが、惜しくも前には届かず。
 「(渡辺)十夢がもう一度番手に追い上げていれば、小川(将人)君の仕掛けごろになったでしょう。そこに付いていればチャンスがあると思ったんだけどね」


<9R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
   9レースからは特選競走。レースでは栗田雅也と天田裕輝が主導権を巡って激しくやり合う展開に。すると、すかさず荒井崇博が両者を叩いて先制した。結果は3着となったが、ライン三者で確定板を独占した。
 「展開もあったにせよ、打鐘から駆けられたんだから悪くはないでしょう。ただ最低でも2着に残らないと駄目ですね」
 勝ったのは岩津裕介(写真)。荒井―紫原政文の三番手から、直線を鋭く伸びた。
 「まくりが飛んでくる気配も無かったし、自分は脚にも余裕がありました。でも前が紫原さんだし、最後は抜けると思わなかった」
 紫原政文は2着となったが「状態を確認できた」と、収穫を得た様子だ。
 「練習では何ともないけど、やっぱり実戦でどれだけ動けるかが不安だったんです。だけど、その辺りの不安は今日走って完ぺきに取れました」
 天田裕輝は「初日だし、大胆なレースがしたかった。突っ張ったけど、あっさり荒井さんに行かれた。脚の違いを実感しましたね。仕方が無いです」と大敗にもサバサバしている。


<10R>
菅原晃選手
菅原晃選手
   10レースは、菅原晃が先行すると、西川親幸が番手優利に抜け出して快勝。
 「この時期は暑いし、バンクも重たいから嫌なんですけど、今日に限って言えば、何ともなかった。走っていて感じも良かったですね。今日は(菅原)晃が強かったですよ。勢いもあったし、2センター辺りでは、もう二人で決まるだろうなと思っていました」
 菅原晃(写真)は、今日のレース内容に自信を深めた様子だ
 「レース前に今日はバンクが重たいと聞いていて、先行は嫌だなーって思っていたんです。だから逃がされたときは本当に焦った。でも、いざ駆けてみるとそんなに重くなかったし、徐々にスピードを乗せていけた。山田さんがサラ脚で中団にいたのが怖かったけど、西川さんが何とかしてくれるだろうから不安はなかった。今日みたいなレースがいつもできれば良いんですけどね(笑)」
 山田裕仁は中団からまくったが、車が思いのほか伸びず着外に。
 「久々の実戦だったし、レース勘がちょっと戻っていなかったかな。それに最近は番手回りが多かったから、仕掛けるタイミングとかも若干狂っていた感じがする」


<11R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
   11レースは、松岡健介の先行を佐藤友和がまくりで粉砕した。
 「ホームで仕掛けようとしたら、ちょっとバランスを崩してしまったんです。来る前にモガキ練習ができず、バランスが狂ったんでしょうね。だけど、立て直して仕掛けてからのスピードも良かったし、十分戦えると思います」
 平沼由充は佐藤の踏み出しにしっかりと食い下がり2着をキープした。
 「踏み出しもピタリと合ったし、追走していて楽でしたね。今日は3・85のギアですけど、まるで77のギアを踏んでいるように軽かった。それほど自分の状態が良いってことなんでしょう」
 3着には松岡ラインから平沼後位にスイッチした山口貴弘(写真)が入線する。
 「友和のスピードが違ったけど、外へと切り替える準備をしていたからスイッチできた。悪い状態のときだと、あのスピードには対応できないんですよ。でもそれができたし、最後は(抜けなかったが)抜きに行けるくらい脚に余裕がありました」
 松岡健介は連には絡めなかったが、「今日は自分が思っていたよりは踏めたと思います。身体もバンクも重くなかったし、修正できれば全然やれる状態ですよ」と気持ちを切り替え、前を向いている。

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved