『小田原競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:8月30日


 小田原記念開設60周年記念「北条早雲杯争奪戦」は2日目を終了。本日もバンク内では目まぐるしい攻防が繰り広げられた。メインの優秀戦「銅門賞」を制したのは岩津裕介。逃げた山口貴弘の三番手からまくりを放って快勝し、明日(31日)の準決勝戦に向けて弾みをつけた。
 場内イベントも連日大盛況。明日は、豪華景品の当たるスーパーガラポン抽選会やチアリーディングチームによるイベント、SunSun Girlsらとのフォトブースでの記念撮影などが行われます。こちらもお楽しみに。


<5R>
田中俊充選手
田中俊充選手
   5レースからは二次予選B。女屋文伸と田中俊充がけん制し合い、隊列が緩むと、立石拓也がひとまくり。最後は立石マークの川口秀人が抜け出して1着をゲットした。川口はこれで2連勝。表情も緩やかだ。
  「立石君が強いのは分かっていることだし、安心して付いていけました。前を取って一発勝負かな? と思っていたらその通りになった。連日、展開とはいえ恵まれすぎ。もうお腹いっぱいですよ(笑)」
  立石拓也は2着に入線も、「ギアが重たいですね」とやや心配そう。
  「今回は3.85のギアで走っていますけど、ちょっと重たい。思うように踏めていないですから。今日は展開が向いたからまくれただけ。道中で脚を使っていたらきつかったですね」
  3着には田中俊充(写真)が入線。前々への強気な攻めが奏功し、女屋の番手にはまると立石のまくりに切り替えた。
  「今日は女屋君を突っ張るくらいの気持ちでした。そのくらいの意識があったから、良い位置に入れたんでしょう。立石さんのまくりに切り替えるとき、(渡辺)十夢が切り替えると思ったけど行かなかったし、スッと付け直せました」


<6R>
浦山一栄選手
浦山一栄選手
   前受けの浦山一栄(写真)がすんなり先行すると、後続の反撃を封じてそのまま押し切った。
  「前受けだし、作戦は絞られるでしょう。荒澤(貴史)が5番手に入ってたから絶対に自分から斬りに来ないだろうし、8番(原)も自分らの後ろなら動かないでしょう。だから山岸(正教)君をずっと意識していました。結局誰も来なかったし、もう自分のレースに持ち込めるなと思いました」
  浦山マークの橋本紀彰は、番手無風のまま2着をキープする。
  「誰か来てもいいように準備していましたけど、結局誰も来なかった。今日は2車だったし、番手の仕事に専念していたから(浦山を)抜くのは無理。だけど、初の記念で準決を走れるだけで十分です」
  3着の藤野光吉は「浦山さんが前を取った時点で、『全部突っ張ってくれ』と。あっさり主導権を取るかたちになったけど、やっぱり浦山さんは強かったですね。マークの6番の子(橋本)が油断して内を空けるかと思ったけど、しっかり閉めていたね。あれが空けば突き抜けていたかもしれません。でも、今日は原君が前々にいてくれたから自分にチャンスが向いたようなものです」とレースを振り返る。
  後方に置かれ、成すすべなく終わった山岸正教は「競輪のセオリーは後ろの人間が動くこと。今日は変なレースをしてしまった。申し訳なかったです」と険しい表情を浮かべる。


<7R>
岡田征陽選手
岡田征陽選手
   7レースを勝ったのは岡田征陽(写真)。ホーム手前から伊藤成紀を叩いて主導権をにぎると、反撃を断ち切った。
  「今日はカマすつもりでした。タイミングが少し違ったけど、踏み出しも良かったし、まあいいかなと。程塚(毅志)さんがどうやっていなくなったのかが分からなかったけど、もう自分も踏んでいたし距離もそれほど長くなかったから、全開で駆けました」
  最終バック近辺で程塚毅志ら計3名が落車した。川崎健次は巧みに避けて立て直し、2着に食い込んだ。
  「伊藤(成紀)君と岡田君がやりあう展開も考えていて、後ろで様子を見ていました。そこで前に踏もうとしたら落車があった。自分にも当たられたし、ヒヤっとしましたよ。あれをしのげたのは本当に大きいです」
  伊藤成紀は岡田後位をどかして番手を確保したが、落車の影響で仕掛けるタイミングを逸してしまった。
  「岡田さんがカマしてくるのは分かっていたし、出切られたら番手に行こうと決めていました。もう引けませんしね。車間を空けてまくろうと思ったら落車があった。ああなるともう仕方がないです」


<8R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
   8レースからは二次予選A。ここでは五十嵐力(写真)率いる南関勢が確定板を独占した。ホームガマシからそのまま押し切った五十嵐は、会心のレースを満足そうに振り返る。
  「ずっと高谷(雅彦)さんにフタをされていたし、あっちがあれほど先行にこだわっているとは思わなかった。だけど和田(誠吾)さんが動いたとき、少し隊列がごちゃついたでしょう。あれで高谷さんの先行はないなと。自分のタイミングで仕掛けられたし、最後も交わされなかったし、内容には満足しています」
  五十嵐マークの加藤圭一は「バックで出切ってから油断してしまった。それに最後少し突っかかった感じになって最後は交わせませんでした。踏み出しにも対応できたし、差さないと駄目ですよね」と、2着入線にもただただ苦笑い。
  ライン三番手を固めた萩原孝之は、五十嵐の踏み出しに少し離れかけたが、しぶとく追走して3着を確保した。
  「踏み出しでやばかったけど、すぐに立て直せました。バックで佐久間(仙行)さんと接触しかけて危なかったけど、それ以外は問題なかったと思います。人気を集めていたのも分かったし、3人で決められて良かった」


<9R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
   9レースは、圧倒的な支持を集めた松岡健介-山田裕仁コンビがともに準決進出を逃す波乱の展開に。レースを制したのは藤原憲征。中団を取った天田裕輝のまくりに乗って、直線を猛然と追い込んだ。
  「天田が中団を取ったのが大きかったです。それに松岡(健介)さん相手でも落ち着いていましたね。そのおかげで自分は脚にも余裕があったし、レースも見えていました」
  その天田裕輝(写真)は2着入線で、準決Aに進出を決めた。
  「松岡さんが相手だったし、先行されては勝ち目が無いでしょう。それで、内を空けて田中(孝彦)を行かせて三番手に入ろうと思いました。松岡さんが来なくて良かったけど、ただ田中に思いのほかペースで駆けられたのできつかったです」
  松岡-山田の三番手を固めた一丸安貴は、巧みなコース取りで3着に食い込んだ。
  「2センターではもう無理かなと覚悟していたんです。そうしたら内が空いていたんで、突っ込みました」
  田中孝彦は打鐘で天田の内をすくって主導権をにぎったが、結果は着外に。
  「今日は松岡さんがいたし組み立てが難しかった。内からとっさに行ったけど、結局、天田さんに展開が向いてしまった。力不足ですね。最悪6着までには入りたかった」


<10R>
坂上忠克選手
坂上忠克選手
   10レースは和田圭が2車で先行すると、その三番手を追走していた坂上忠克(写真)がバックまくりを放ち白星をさらった。
  「レース前から3、4パターン展開を考えていました。栗田(雅也)君が前受けなら4番手から、そこで和田(圭)君が先手を取りそうならば三番手に切り替えと、描いた通りにレースが進みました。和田君も全力で踏んでいて、良いスピードももらえたし、後ろももつれていたでしょう。展開も味方してくれました」
  坂上に負けず劣らず池田良も大暴れ。中団キープから栗田の巻き返しを制すると、坂上のまくりに乗って2着に突っ込んだ。
  「栗田さんにまくられたら自分はきつい。合わせて踏むというよりも、(まくりを)止めてから踏もうと。そうしたら坂上さんがまくったんで、すぐに付け直しました。昨日よりは脚が軽いし、反応も良いですね」
  新田康仁は栗田に前を任せたが…。
  「バックで内から坂上君のところまで行ったけど、外に栗田がいるかもしれなかったからどかせなかった。そうしたらすかさず行かれてしまった。栗田も頑張っていたし、残念ですね」
  和田圭は「一回斬って、もし引いたら自分はもう終わり。だからちょっときつかったけど早めに行きました。だけどあまりにも早すぎました。ホームでも誰も来なかったし、もう少し流せば良かった」と敗因を分析する。


<11R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
   11レースは優秀戦「銅門賞」。1着の岩津裕介(写真)はこれで2連勝。勢いを完ぺきにつかんだようだ。
  「今日は単騎だったし、位置取りに関しては決めていませんでした。ただ、昨日『九州の後ろにはいかない』とコメントを出していたし自然と山口さんのラインを追いました。良いスピードで山口さんが逃げてくれましたね。(まくるのは)もう少し待っても良かったけど、結構詰まっていたし、誰かが来る前に仕掛けたかったんです。自分だけ無駄脚を使っていなかったのが良かったんでしょう。昨日は三番手から、今日はまくってと、連日良い内容だし自信になりますよ」
  佐藤友和は九州勢の内をすくい、分断策に打って出た。
  「菅原(晃)さんが上昇してきたとき、紫原(政文)さんと西川(親幸)さんが少し遅れていたので、とっさに内に入ったら、荒井さんの内まで来ていた。昨日の菅原さんのタイムが良かったし、すんなり駆けさせたくなかったんですよ。とっさの判断でしたけど、身体がよく動きましたね」 
  九州勢を牽引した菅原晃は荒井崇博らとの連結を外してしまった。それでも2着入線に「流していたところで友和に来られてしまった。展開通りいかないですね。でも、調子は引き続きいいし、明日も頑張ります」と早々と気持ちを切り替えていた。
  山口貴弘は“奇襲”をかけて別線を翻弄した。
  「今回は身体の調子が良いし、先行も有りかなとずっと考えていたんです。そうしたら、打鐘で誰かが落車したでしょう。あれで『9着はない』と思って、目一杯駆けました」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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