『小田原競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月7日
 小田原競輪場で開催された開設63周年記念「北条早雲杯争奪戦(G3)」の決勝が、7日に行われた。途中は豪雨に祟られた最終日だったが、ファイナルの決勝は好天で絶好のバンクコンディションで魅惑のスピードバトルが繰り広げられた。レースは単騎の伏見俊昭がカマシを打つ予想外の展開。井上昌己とのまくり合戦を制した浅井康太が、今年3度目の記念制覇を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で浅井康太が出て、スタートを取る。浅井―濱口高彰―伊藤健詞の中部勢が前団、井上昌己―三宅達也―高原仁志のラインで中団を形成、単騎の伏見俊昭がこれに続き、桐山敬太郎―澤田義和が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 残り3周の青板から早くもレースが動き出す。桐山がゆっくり上昇を始め、バックで浅井に並びかける。赤板前に誘導員を斬った桐山は3番手外併走から仕掛けようとした井上を出させずに突っ張る。打鐘で桐山がペースを緩めると、単騎の伏見が後方から一気のカマシ。桐山は遅れてしまい、井上が追い上げて伏見の番手に入る。浅井は2コーナーで車を外に持ち出してまくり発進。抜群のスピードで前団を飲み込んで快勝した。井上が3コーナーから浅井に合わせて番手まくりを放って2着。浅井のまくりを懸命に追った濱口が3着に入った。


浅井康太選手
浅井康太選手
 地元の桐山敬太郎が先行態勢を取ったが、単騎の伏見俊昭が打鐘で勢いよくカマして、予想だにしない展開。浅井康太(写真)は井上昌己との併走で、インに閉じ込められてしまった。
 「前受けからで、そこから引いてっていう作戦でした。桐山さんのイン粘りもあると思っていたし。ただ、桐山さんが突っ張るとは思わなかった」
 伏見のカマシで大きく流れが動く。井上が慌てて伏見を追いかけると、浅井に踏み場が訪れ最終2コーナーからまくって出る。
 「伏見さんも全開でしたよね。(三宅達也が)遅れ気味だったんで、自分も無理やり外に自転車を持ち出した。井上さんに合わされたんできつかった」
 伏見後位に収まった井上が、浅井に合わせて番手発進。壮絶なまくり合戦はゴール寸前で、1輪だけ前に出た浅井に軍配が上がった。
 「本当にたまたまです。まぐれですよ(笑)」と、記者陣に笑顔を振りまく浅井。これで寬仁親王牌を挟んで、岐阜、久留米に続く記念3連覇を達成した。
 「一戦、一戦やるしかないんで。(2日目の)優秀で失敗をしたんで、その分もと思っていた。勝てているってことは、調子は悪くない。でも、(記念3連続Vは)ビックリですわ。今年はまだ(G1が)2本あるんで、そこに勝負をかける。まだまだG1、G2では強い人ばっかりなんで。このあと(前橋で)オールスターがあるんで、その前に33バンクを走れたのは大きい。次はサマーナイトは獲りたいですけど。まずは初日に勝たないと」
 振るわなかった今年の前半が、ウソのような記念3連続V。勢いを取り戻した浅井が、地元でのサマーナイトにこれ以上ないステップで臨む。

 伏見に追いついた井上昌己は「追いついて休んだんで、あれがなかったら」と、悔しそうに振り返る。
 「もう3番手で(浅井と)勝負だと思ってた。後はそこから行けるか、行けないか。そしたら伏見さんが行ったんで追いかけた。休んだ分、甘くなりましたね。あれを休まないで行ってれば、(三宅)達也さんにチャンスがありましたかね」
 俊敏な反応と対応力を見せた井上が準V。三宅を気遣いながら、帰り支度を始める。

 浅井にピタリと付けたベテラン濱口高彰は、井上と浅井の中を突っ込むが3着まで。
 「いろんな展開を想定していたし、浅井君はそれに対応できるんで。それに余裕を持ってまくって行った。僕はもう内しかなかったんで」

 「ゆるんだら行くって決めてたんで。もうあそこしかなかった」とは、伏見俊昭の弁。単騎カマシで結果的にはまくられたが、ポテンシャルを示し見せ場を作った。
 「このメンバーで中団からまくれるかって言ったら…。これが今の力です。もうワンテンポ待ってもよかったかもしれない。掛かり切らなかったですね」

 地元の桐山敬太郎は伏見を懸命に追うも、井上に入られ三宅と併走。最後は行き場を失って万事休す。
 「いつも通り先行主体に組み立てて、後は流れでと思ってました。(打鐘で)先行の腹をくくっていたんで、伏見さんのカマシは意外でした。伏見さんに2コーナーくらいで追いつく感じで行こうと思ったら、井上さんに来られた。難しかった」


ゴール
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