『小田原競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月1日
 小田原競輪場を舞台に開催された開設66周年記念「北条早雲杯争奪戦(G3)」は9月1日に最終日を迎え、第11レースで決勝が行われた。レースは小松崎大地が主導権を握って出るも後続がもつれる展開。ロングまくりを打った池田勇人が、逃げる小松崎をとらえて優勝。13年6月の久留米以来となる2度目の記念制覇を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で池田勇人が飛び出し、正攻法に構える。隊列は池田-飯嶋則之-大崎飛雄馬が前団、中団に柴崎淳-岩津裕介-池田良、小松崎大地-高橋陽介-林雄一が後攻めの形で落ち着く。
 青板のバック過ぎから小松崎が上昇すると、中団から柴崎も合わせて動く。赤板前に先頭に立った柴崎を小松崎が強引に叩いて主導権を握るが、柴崎が番手に飛び付いて高橋に競りかける。前団がもつれたところを見逃さずに池田勇がスパート。好スピードで前に迫ると、最終バックで小松崎を抜き去って先頭に躍り出る。懸命に追った飯嶋は2コーナーで内に降りてから再度、池田勇を追いかけるが、徐々に離れていく。そのまま後続を引き離した池田勇が力強く押し切り、2年ぶり2度目の記念制覇を果たした。まくられながらも諦めずに踏み続けた小松崎が2着に逃げ粘った。2コーナーから自力に転じて外を踏んだ岩津が3着に入った。


池田勇人選手
池田勇人選手
 「アツシも自分と同じことを考えてましたね。粘ろうかと思ってたんで」  7番手から上昇を始めた小松崎大地に合わせて動いた柴崎淳が、中団取りではなくイン粘りに出たことで流れは急転。池田勇人(写真)にチャンスが巡ってきた。
 「(柴崎が)粘ったのがわかったんで、あとは(競りの)決着がつく前に行こうって思った。3分戦だったんで理想はカマシだったんですけど、初手があの位置(前受け)だったんで厳しいかなと」
 前団の隊列が凝縮され、逃げる小松崎にとっては死角の打鐘の2センター。そこを目がけて襲い掛かった池田勇が、ロングまくりで2度目の記念Vを遂げた。
 「まさか獲れるとはね。今日は2人(小松崎、柴崎)とも格上なんで、あんまり考えすぎても体が動かなくなっちゃうから。その場、その場で(判断して)と思っていた」
 5月の全プロ記念で落車。鎖骨骨折のアクシデントに見舞われ、1カ月以上を棒に振った。それでも腐ることなく池田勇は、復調へ向けて地道なステップを怠らなかった。
 「あの骨折で逆に吹っ切れましたね。それに(8月の)富山記念ではギア規制で苦しんだ(相川)永伍さんも(決勝で)2着だったし、負けてられないと思った。次の立川F1では地元勢に貢献できるように、それでオールスター(19日から)ですね。(平原康多ら)怪我をしている先輩たちもいるんで、楽をさせてあげられるように」
 サマーナイトフェスティバルの落車で、今シリーズを欠場となった武田豊樹に代わる追加配分でもぎ取った優勝。怪我に泣く先輩たちを気遣いながら、池田勇がまた大きな一歩を踏み出した。

 逃げた小松崎大地が、池田勇から2車身差の準V。柴崎のイン粘りは想定外だった様子で、神妙な面持ちで口を開く。
 「あれは考えてなかったです、甘かったです。アッちゃん(柴崎)も引いて中団の方が楽だったんじゃないですか…。結果論だけど、もう少し早く踏んでいればよかった。自分のミスです」

 タッグを組んだ柴崎の動向を見極めた岩津裕介が、最終2コーナーから切り替え踏み上げるも3着まで。
 「もうアッちゃんに任せていたし、あれで(小松崎)大地が(池田勇を)カマさせなければおもしろかった。それからはアッちゃんが詰まっていたんで、自分で踏んでいったけど、大地もあと掛かりだから厳しかったんですね」

 池田勇の踏み出しに追走いっぱいの飯嶋則之は、最終3コーナーで売り切れ。力尽きて4着。
 「マーク屋として2着は確保しないと…。自転車(のセッティング)がどうのこうのじゃなくてラインでワンツー。悔しい」

 大きく流れを変えた柴崎淳の北日本勢分断。高橋に競り勝った柴崎だったが、そこからは池田勇ラインにかぶって後退の7着。
 「赤板の1コーナーでは迷ったんですけど。あそこで引いてもと思ってああなった。ホームで落ち着こうと思ったんですが…。外から来ていて、(池田勇ラインに)まったく対処できなかった」

 「全部、俺のせいです。俺がナメられているから大地も2着になったし、(競りに)勝っていかないとまたやられる…」と、シンガリに沈んだ高橋陽介は言葉を振り絞る。


ゴール
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