『被災地支援競輪小田原競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:8月23日
 平成28年熊本地震被災地支援・小田原競輪開設67周年記念「北条早雲杯争奪戦(G3)」は台風の影響で22日が中止順延となり、本日23日にシリーズ3日目が行われた。メーンの準決勝3個レースでは、新田祐大、武田豊樹らが優出を逃す波乱の結末となったが、武田憲祐、高橋陽介、椎木尾拓哉が勝ち名乗りを上げて、ファイナリスト9名が決定。明日、24日の決勝戦でシリーズの頂点が決まる。また、第9レースには一発勝負で「熊本地震災害復興支援レース」が行われる。
 最終日も小田原競輪場では、開門時から先着1200名様にオリジナルカラータオルや、先着504名様に記念夢車券のプレゼントなどのイベントを予定しています。最終日も「北条早雲杯争奪戦(G3)」をぜひ本場でお楽しみください。
<10R>
武田憲祐選手
武田憲祐選手
郡司浩平選手
郡司浩平選手
 稲垣裕之が後方から上昇して誘導を降ろすと、前受けの郡司浩平は引かずに番手で粘る。すると、様子を見ていた河端朋之が赤板で稲垣を叩きペース駆け。稲垣後位は最終ホームまでもつれるが、1センターで山内卓也をドカして郡司に軍配が上がる。2センターからようやく稲垣、さらに大外を郡司が踏み上げるが、中コースに進路を取った武田憲祐(写真)が、直線を鋭く伸びて白星をさらった。
 「脚も溜められていたし、33の外はと思って内へ。あとはコースが空いてくれればと。ほぼ運です(笑)。浩平が前々に踏んでくれて、あの位置にいてくれたおかげですね。記念の決勝は4年ぶり。ここまで長かったですけど、地元で乗れて最高です」
 大外を踏んだ郡司浩平(写真)が2着。力勝負のレースではなかったが、「勝ち上がる作戦を一番に考えて」と見事に決勝行きの切符を手にした。
 「前を取った段階で粘ろうと思っていました。稲垣さんを斬って出させたら、勝負権はないので。自分で仕掛けるか悩んだけど、稲垣さんも仕掛けるだろうと思ったし、(内を)締めているから脚にきていたと思う。脚の状態は問題ないので、決勝は力勝負できるように」
 3着にはS班の稲垣裕之。薄氷を踏む思いで優出を決めた。
 「河端君が良いペースでした。流していたら上を行こうと思っていたけど、踏み上がっていたし。2コーナーで仕掛けられなくて、後ろに迷惑をかけました」
 最終ホームから全開で踏んだ河端朋之だったが、直線で失速して4着。初の記念決勝を逃し、がっくりと肩を落とす。
 「あそこまで思ってもない展開になったのに。ジャンのところも、見て見てだったけど、ちょっと踏み過ぎだったのかな。一周駆けだったのに…。相手にビビリ過ぎたところもあるかもしれませんね」

<11R>
高橋陽介選手
高橋陽介選手
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 正攻法に構えた藤井昭吾が赤板前から叩きにきた吉田拓矢を突っ張って、激しい主導権争いに発展。軍配は最終ホームで吉田に上がるも、武田豊樹は呼吸が合わず一旦中団に入ってから再度番手へ追い上げる展開。これに対し、6番手で戦況を見極めていた高橋陽介(写真)が最終2コーナーからスパート。武田の抵抗も凌いでまくり切った。
 「展開も向いたけど、きついメンバーの中でもしっかりと結果を出せたし相当仕上がっていると思います。武田さんを乗り越えられるか、られないかの勝負だったけど、思い切って踏めて良かった」
 序盤は好位をキープしていた原田研太朗(写真)だったが、最終ホームは8番手。さらに、高橋に先まくりを打たれる苦しい展開も、大外を踏み上げて2着に入った。
 「内も外も警戒しながらだったから結構きつくて。もう一個前の位置にいたかったけど内も重くて踏み遅れてしまいましたね。セッティングを微調整してもう少し進んでくれるかなって思っていたけど、最後は一杯でした」
 佐藤康紀は高橋に食らいついて、3着に流れ込んだ。
 「小田原は決勝にも乗っているバンクなので。このメンバーで3着なら十分でしょう。いつもの高橋君ならスライスしてるところでもしっかり伸びていたし、強かった」

<12R>
椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
山中秀将選手
山中秀将選手
 後ろ攻めから吉田敏洋が動いて誘導員後位が入れ替わる。その上を叩いた和田真久留が、徐々にピッチを上げて先行態勢へ。8番手に置かれた新田祐大は最終ホームからスパートすると、3番手を確保した吉田も2コーナーからまくっていく。これに対し、番手の山中秀将は引き付けてバックから番手まくりで抵抗。このまま押し切るかに思われたが、吉田が不発と判断した椎木尾拓哉(写真)がコースを縫って、直線で鋭く追い込んだ。
 「吉田さんが浮いたと思って、内にいきました。落車もあったので、素直に喜べないですね。でも、121着だし、状態は悪くない。記念の決勝は初めてです」
 番手からまくった山中秀将(写真)が2着。レース後は落車した和田を気遣いながら、静かに口を開く。
 「真久留が頑張ってくれましたね。吉田さんが詰めてきたのがわかったので、被らないように、前に踏ませて貰いました。走る前にいろいろ話をして、気持ちを話し合えたのが良かったです。真久留が落車してしまって残念でしたけど、気持ちを感じました」
 2センターでは小川勇介と和田真久留が接触して落車。紫原政文も巻き込まれるアクシデントが発生。合わされて勢いが止まった吉田敏洋だが、新田との3着争いを制して決勝に駒を進めた。
 「前のレースで郡司(浩平)が決勝に乗ったので、同期で同級生の和田も当然決勝に乗りたいだろうと。それで、2周はいかないだろうと思って。結果として、良い位置が取れて、グシャグシャになって3着に滑り込みました。番手まくりの後ろからだから、仕掛けるタイミングがとりにくかったですね。これから33のビッグが控えているし、競走の中で勉強をさせてもらって、生かしていきたい」

<最終日 9R 熊本地震災害復興支援レース>
松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
久米康平選手
久米康平選手
 最終日の第9レースには「熊本地震災害復興支援レース」が行われる。相次ぐ落車で調子が上がってこなかった松谷秀幸(写真)だが、8月名古屋を決勝3着など、状態は徐々に上向き。ここも持ち前の機動力で別線を粉砕するか。
 「まだ波があるし本調子とは言えないけど、徐々に良くなっています。ここまでは普通に練習をしてきました。練習の感じも悪くないから、あとはいかにレースで出せるかですね。(オールスターは)よくなかったけど、師匠にも相談して、気持ちの切り替えもできました」
 久米康平(写真)は前回の岐阜で見事優出。準決勝では中井太祐らを相手に快勝と、点数以上の存在感を示した。
 「前から体の調子は良かったけど、自転車と噛み合っていなくて。でも、前回の岐阜ではそれが修正できたと思います。練習の感じも良いし、あとは実戦でそれをどれだけ出せるか。(順延して)ゆっくりできました。自分の競走をしたら結果は出るかなと。しっかり仕掛けたいです」
 差し脚鋭い林巨人は、同県の松山桂輔が目標。好操縦して実績上位の意地を見せる。
 「(状態は)良くもなく、悪くもなくですね。(オールスターでも)ワンテンポ遅れてしまっているし、余裕も無いので、そのへんをしっかりできれば。順延して昨日はゆっくりできました。疲れもないです。33だし、他のラインも強いので、(松山)桂輔とうまく作戦を立てたいと思います」
 熊本からは西川親幸、馬場勇が参戦。西川はオールスターで一息も、ここに向けてしっかり準備をしてきた。
 「(オールスター後は)雨も降らなかったので、しっかり練習をしてきました。(小田原は)相性も良いですね。久米君との連係は初めてです」
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