『小田原競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月28日

 小田原競輪場を舞台に開催されてきた、開設69周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」は28日に最終日を迎えた。激戦の決勝は、南関4車の番手を回った郡司浩平が、俊敏な走りを見せて勝利。2年ぶりに地元の当所記念を制覇を達成した。また、第6レースに行われたS級ブロックセブンは、人気に推された鈴木竜士がロングまくりで制圧した。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると井上昌己が飛び出して、清水裕友-井上が前団に構える。木暮安由、志智俊夫、高橋陽介の単騎の3人が3、4、5番手で、近藤隆司-郡司浩平-中村浩士-近藤俊明の隊列で周回を重ねる。
 車間を空けた近藤隆が青板のバックから踏み込む。清水も誘導を降ろしてペースを上げるが、赤板で近藤隆が先頭に立ち、郡司-中村-近藤俊と南関4車が出切る。単騎の3人は切り替えられず、5番手に入った清水が態勢を整えて打鐘を通過する。4コーナーから反撃に出た清水が好スピードで前団に襲い掛かり、最終回へ。
 郡司は清水を止められず、1センターで井上を大きく張ってまくり切った清水を追いかける。あおりを受けながらも大外を木暮もまくって出る。バックを通過して清水の脚色が鈍り、郡司がとらえて直線で抜け出し優勝。内を締めながら郡司マークを守った中村が流れ込み2着。郡司の横まで並べなかった木暮が3着。

郡司浩平選手
郡司浩平選手

 4車で強力布陣を敷いた南関勢。先頭の近藤隆司が赤板で主導権を握り、流れは向いたかに思われた。しかし、叩かれた清水裕友が、打鐘の2センターから巻き返して近藤をねじ伏せる。「行かれたのは誤算でした」。窮地に陥った郡司浩平(写真)だったが、すぐさま井上昌己を捌いて清水を追いかける。徐々に空いた車間を縮めると、追いつきざまに仕掛けて2年ぶりにこの大会の優勝を手にした。
 「本当に(近藤)隆司さんが頑張ってくれて。何とか勝てました。(この優勝は)ラインがあってだと思います。1人の力じゃないと改めて思いましたね。優勝以外は意味がないと思っていたし、結果が出て嬉しいです」
 昨年はグランプリ出場をかけた賞金争いに加わるも、あと一歩で届かなかった。今年もここまで優勝はゼロと、苦しい日々が続いた。それでも、郡司の心は折れていなかった。
 「去年が終わって、ホッとした部分がありました。今年は記念の決勝には乗っていますけど、なかなか優勝は難しかったですね。でも、苦しい時期は長かったですけど、いつかGII、GI(の決勝)で戦おうと思っていました」
 現在の競輪界は、脇本雄太を中心とした近畿勢が席巻。後塵を拝する南関勢だが、絆の力で強敵に対抗していく。
 「次に静岡とか松戸とか南関を走る時は、前でしっかりやりたい。本当に、そういう積み重ねだと思います。競輪はラインとかでいろいろカバーできるし。南関は団結してやっていきたい」
 この優勝をきっかけに、再び頂へ。今年も南関地区で行われるグランプリに向けて巻き返しを図る。
 「選手をやっている以上は、(グランプリ出場が)永遠の目標。そこに近づけるようにやっていきたい。今年はGIがあと2つありますし、9月には共同(通信社杯)もある。まずは、決勝を目標にして頑張りたい」

 中村浩士は、郡司の仕掛けを追走して準V。南関を1つにまとめて絆の力を示した。
 「(清水に上を行かれて)ヤバいと思ったけど、郡司君が反応してくれた。郡司君が上がった時に、自分は下で待っていたんですけど、飛び付くのがキツかったですね。地元の郡司君が優勝して良かった。南関でまとまれたし、(今後も南関の結束力を)見せていかないと」

 清水ラインを追った木暮安由は、2センターで張られた井上のあおりを受けてしまう。すぐさま井上の外を踏み込んだが、郡司に屈して3着まで。
 「あそこ(清水ライン)に付いていれば、チャンスはあると思って。あおりがなければ行けていたと思う。お客さんも(車券を)買ってくれているし、確定板には入らないと。また(調子を)上げていきたい」

 清水裕友は直線で失速して6着。優勝こそ逃したが、南関勢に真っ向勝負を挑んで大いに見せ場を作った。
 「記念の初決勝だったし、粘るよりも力勝負をしたかった。もうちょっと構えてても良かったですけど、スピードが出た方が良いので行きました。出切るのに100%の力を使ってしまったので、出切っていっぱい。今までのレースで1番キツかったけど、力は出し切りました。今のシューズが良い感触だし、この調子なら次の共同(通信社杯)も楽しみですね」

 近藤隆司は、南関ラインの先頭で持てる余りの力を出し切った。
 「清水君が番手に来る感じではなかったので、落ち着いて行けました。体力が残っていなかったし、(郡司が)うまく行ってくれて良かった。後ろがワンツーで最高の結果ですね」




次回のグレードレースは、8月30日~9月2日まで富山競輪場において、「開設67周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」(GIII)」となります。
今開催は、S班は競輪界を代表する自在型の平原康多選手、浅井康太選手、地元の弥彦記念を連覇した諸橋愛選手の3名が参戦。
最終日の6Rでは、S級ブロックセブンが一発勝負で行われる。8月20日時点の出場予定選手データを分析した主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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