『伊東競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月21日

 伊東温泉競輪開設69周年記念「椿賞争奪戦」が12月21日に開幕した。一次予選からハイレベルな争いが繰り広げられ、初日特選はまくった原田研太朗が快勝。岩本俊介は4着で二次予選Bに回ってしまったが、予選からは主力が順当に二次予選Aへと駒を進めた。これにより二次予選Aは4個レース全てが激戦必至のメンバー構成に。2日目は二次予選A、Bともに白熱のレースとなりそうだ。
 2日目は水木一郎スペシャルライブや長田真友子、木戸彩音によるミニライブ。鈴木美教選手のガールズケイリントークショーなどイベント盛りだくさん。2日目もぜひ伊東温泉競輪場へご来場ください。

<1R>

山田諒選手
山田諒選手
 オープニングレースを制したのは山田諒(写真)。菊池竣太朗を叩いて打鐘前2コーナーから主導権を握ると、力強く押し切った。
 「怪我(膝を痛めて12月高松を欠場)もあったので、アップのときから不安で緊張しましたね。けっこう払しょくできたけど、前に出るのがキツい。(菊池が)抵抗してないのに出るのが遅かったんで。出てからはいつもぐらい回せたけど、そこだけ。ダッシュのイメージを付けて、明日(2日目)頑張れればと思います」
 吉村和之は頼もしい同県の後輩の走りを褒めちぎった。
 「強いっすね、やっぱり。(山田が)落ち着きなかったんで、今日(初日)はこうなったらこうと(作戦を)決めといた。終わってからは、まだ余裕そうでしたね。問題は2日目からなんで。上位選手に物おじしなければいけると思いますよ」


<2R>

 野田源一の上昇を前受けの岸澤賢太が突っ張ると、内をすくって格清洋介が赤板ホームで先頭に立つが副島和人が続けず、番手には岸澤が。そこを打鐘前から踏み上げた中井俊亮が叩くと、続いた渡辺十夢が鋭く抜け出した。
 「(自分自身は)あんまり調子良くないと思ったけど、頼りになりますね、シュン(中井)が。前回(12月川崎準決勝)の反省を生かせたし、あとはシュンが強かっただけ。最後は岸澤がうまい詰め方をしてきましたね」
 格清後位から最終ホームで仕掛けて近畿コンビを追いかけた岸澤賢太が直線外を伸びて2着に。
 「ホームのところは勝負かなと思った。(格清が)車間が空いたので行かないとと思って無理に行きました。(野田を突っ張って)脚を使ったけど、すんなり引くと厳しいのでうまく走れたと思う」


<3R>

大石剣士選手
大石剣士選手
 角令央奈が切ったうえを赤板ホームから大石剣士(写真)が叩いて主導権を握る。7番手から巻き返した山岸佳太だったが3着まで。逃げた大石が末良く押し切った。
 「内容的には(完ぺき)。(初手は)山岸さんの1個後ろがいいかなと思ってた。一番強い人を後ろに置かないと厳しいんで。しっかり駆けられて良かった。寒くて重かったのでキツかったけど、抜かれてないので。前回よりは格段にいいかなと思う。二次予選Aも初めてなんで良かったですね」
 大石マークの成田健児だったが逆転はならず。
 「大石は今までに何回も前で頑張ってくれてるからね。一生懸命踏んだけど大石が強かった。全部任せてたし、(大石の)力ですね。強かったです。頼もしい」


<4R>

 青板のバックからレースは目まぐるしく動く。打鐘で先頭に立った新山将史が緩めたところを桐山敬太郎がすかさずに叩いて最終主導権。叩かれた新山は内に包まれて動けない。桐山がそのまま力強く押し切った。
 「新山がジャンだから踏むと思ったけど、流したからね。ホーム線を取れれば3着はあるなと。前を取らされると思ったが、後ろからになって、押さえていくのは全員を見ていけるからね。タイムは年中、変わらないし、(バンクが)重いのは嫌いじゃない。(競輪祭後の疲れも)抜けてきた」
 レインボーカップで特別昇級したばかりの相川永伍は3番手を取って2センターから外を踏み込んで1車交わした。
 「すんなり下げて後方だと、まくることもできない。1回アクションを起こしてからと。タテ脚に自信がなくて、ホームと2コーナーを見送ってしまった。内にいた新山君の動きを気にしていましたね。(半年ぶりのS級だが)今までやってきたこともあるし、気負いもないですよ」


<5R>

中田雄喜選手
中田雄喜選手
 赤板で切った中田雄喜(写真)を西村光太がすかさず押さえる。3番手に中田、簗田一輝は5番手、工藤文彦が8番手となって打鐘を迎える。そのまま西村がペースを上げて1列棒状のまま最終ホームを通過。2コーナーから先まくりを決めた中田が後続を引き離して圧勝。3連単20万超える高配当の立役者となった。
 「ジャンで誰も仕掛けてこなかったのでラッキーと思った。あとはかぶらないようにだけ気を付けてと。なんとなく予選を突破できるとは思っていたが、まさか1着とは。S級点がかかっていたので大きい1着。気持ち的にもだいぶ楽になりました」
 5番手からまくった簗田は佐々木省司にからまれて苦しくなったが、東龍之介がその外を伸びて2着に食い込んだ。
 「(簗田は)地元で勝ちたかったのもあるんでしょうね。何回も詰まっていたので、もっと気持ち良く行ったらライン3人で決まったかも。VTRを見て反省したい。外を踏んで2着なので脚は問題ないと思う」


<6R>

前田拓也選手
前田拓也選手
 後ろ攻めの伊藤裕貴は中団の松坂洋平にフタをして赤板ホームから主導権を握る。打鐘過ぎ4コーナーで仕掛けをちゅうちょした松坂の巻き返しは3着まで。逃げる伊藤の番手で絶好の展開となった前田拓也(写真)が6月武雄の最終日以来となる半年ぶりの勝ち星を挙げた。
 「とにかく前のおかげです。何回か4角ハコの展開もあったけど、いい形になっても前を抜けずが多かった。それで結果、半年1着取れてないんでね。今日(初日)も自信はなかったけど、久々に踏んだときにキュキュッと出た。兆しじゃないけど、1着取れたんで良かった」
 逃げた伊藤裕貴にも久々の逃げの決まり手が付いた。
 「周回中に(逃げると)腹をくくりました。6番(好永晃)の突っ張りはないと思ったんで、ああなったら堅いほうで。誘導が早かったのでキツかったし、自信はなかったけど踏み切れて良かった。最近はちょっと意識的に中団取りとかしてたんで、色々勉強して何となく分かってきた。あとは臨機応変に。今回は思うことが多いんで、しっかり4日間走りたい」


<7R>

 青板のバック過ぎに誘導を切った水谷将司に対し、松川高大は早坂秀悟との3番手外併走から叩いて打鐘先行に出る。早坂は車を下げてからダッシュ良く巻き返したが、香川雄介のけん制で失速。好展開を生かした香川が粘る松川をきっちり逆転した。
 「まさか先行するとは思っていなかったけど、良く行ってくれた。これは(早坂のまくりを)止めなあかんと。上に上がって止めに行って出過ぎてしまった、やばかったけど、木村(隆弘)も勝ち上がれたのは良かった。まあ今日(初日)は予選なんでね、明日(2日目)からですよ。厳しいメンバーになる」
 打鐘先行で2着に粘った松川高大は前回初日も逃げ切りを決めるなど、近況の動きは上向き。
 「自分としてはいい展開になったなと。前も駆けていないから、1周半くらいなら踏める脚はあるので射程距離でした。思ったより早坂さんに迫られたけど、調子が良くないと、今日(初日)みたいな動きはできない。追加ですけど、問題はないですね」


<8R>

 打鐘から堀内俊介が一気に巻き返して、根本哲吏を叩く。堀内がグングン飛ばして最終バックを先頭で通過すると、4コーナーを絶好の番手で迎えた中村浩士が直線で抜け出した。
 「ギリギリ残せるかなって思ったけど、技術というか計算不足というか…。堀内を2から3着までって思っているけど…。全開で駆けてくれた気持ちは嬉しかった。レース展開は読み通りでした」
 逃げた堀内俊介は末を欠いて4着。
 「3着まで残れれば良かったけど。内容的には良かったと思います。思ったよりも戦えているし、悪くないと思う。しっかり踏めたので、状態は日に日に上がると思います」


<9R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 中団から合わせて動いた河村雅章を原口昌平が叩いて赤板ホームから主導権を握るが、7番手になった野原雅也も打鐘過ぎ3コーナーから早めの巻き返し。2コーナーで前団を飲み込むと、続いた金子貴志(写真)がゴール前で抜け出した。
 「(青板3コーナーで野原が河村と)接触して危ないなと思ったけど、立て直して良く行ってくれましたね。踏み出した瞬間のスピードが良かったので行っちゃうなと思った。僕は久しぶりの1着で。強かったです、野原が。いつも頑張ってくれるんでね。抜けるかどうか分からなかったけど、(野原が)無理やり行ってくれて、その分ですね。1着を取れないときは何しても取れないけど、野原が流れを作ってくれました」
 差されはしたが野原雅也の走りも力強かった。
 「33を走るのがルールが変わってから初だったんで。正直、仕掛けどころが分からなかった。出切れないかと思ったけど、ギリギリ何とか行けて良かった。2日目以降、しっかり修正して頑張りたい」


<10R>

 赤板ホームで先行態勢に入った黒沢征治がペースを緩めると、そこを打鐘前から高木翔が叩きに行く。出られたかと思った黒沢が内から盛り返して高木を合わせると、番手の杉森輝大が2センターから内に切り込んできた永澤剛との伸び比べを制した。
 「やられた時の受け入れ態勢だけ整えていたけど、(黒沢は)脚に余裕もあったみたいで、そこからまた加速していったので、これは突っ張る切るなと。バックで1番車(木村幸希)が来てたのは分かってたし、それは止めようと。小酒が後ろにいるのもわかっていた。残せるようにと。最低限のレースはできた。明日(二次予選A)からが勝負です」
 3着になった黒沢征治だが、高木を合わせ切った脚力は見事だった。
 「ラインで決めたかったですけど、感じは悪くない。ダメだったら普通は7番車(高木)の人に行かれてしまう。流したって感じではないけど、来たってことは流したってこと。気持ちを強く持って明日(2日目)はしっかりと先行したい」


<11R>

鷲田佳史選手
鷲田佳史選手
 人気の岩本俊介は赤板前から内に詰まってしまい抜け出せず。逃げる北川大五郎を最終ホームから藤田竜矢がまくるが、小林圭介を飛ばして藤谷切り替えた鷲田佳史(写真)がゴール寸前で藤田をとらえた。
 「岩本君が内にいたのも分かったし、自分のところもすくわれてインまくりされないようにと内を締めていました。3コーナーからは必死過ぎてあんまり覚えていないです。みんなバンクが重いと言うけど、福井勢は重いバンクが好きなので。今日(初日)は北川君のおかげで1着を取れました」
 僅差で1着をさらわれた藤田竜矢は悔しさをにじませた。
 「(抜かれたのが)小林さんだと思ったら、鷲田だったので悔しい。岩本があの位置にいるなら、それはそれでいいかなって。みんな岩本だけを警戒していたから楽でしたね。もっと簡単にまくれるかなって思ったけど、ちょっと重たかった。最近のいい流れは運ですよ(笑)」


<12R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 打鐘過ぎに木暮安由が先頭に立ったところを、すかさず原田研太朗(写真)が仕掛けて最終ホームで出切るとそのまま押し切り。記念の初日特選3連勝を決めた。
 「特選はなんか相性がいいですね。(赤板の)1コーナーでは踏んでたけど、木暮さんが行ったので、それに付いて行った感じ。でも最後はタレたと思う。差されるかと思ったけど、差されなかったので悪くないですね」
 原田の仕掛けに口が空きながらも付いて行った小川真太郎は2着をキープするのが精いっぱいだった。
 「今までで一番、レースでキツかった。ヤバいですね。ホンマに体が悪い。(空いた車間を)詰めるので精いっぱいでした。普通なら気持ち良く1着いける展開だけど、僕が弱いです」
 単騎でも一番最初にレースを動かした菅田壱道は徳島コンビにスイッチする形で3着に入った。
 「作戦は何も考えてなかったけど、単騎3人が後ろになったので勇気を出して動かないといけないなと思った。ハラケン(原田)がくるかなと思ったタイミングで来たし、小川が遅れた分、スイッチしやすかった。緩まったら行こうと思ったけど、小川も追いかけてるし、抜けるスピードじゃなかったですね」