開設56周年伊東記念(GIII)レポート』 前検日編
 
配信日:11月8日



 開設56周年を迎えた伊東記念『椿賞争奪戦』が今年は秋も深まった11月9日~12日の日程で開催される。本日8日はその前検日。秋晴れの伊東競輪場には午前中から続々と参加選手が集まってきて、徐々に明日からの戦いに向けて、ムードも高まっていった。年末に近付き、GPに向けての賞金レースも気になる時期。連日の競走からは目が離せない。
 


<2R>
 まずは前半の一次予選から。2Rは長尾博幸という好目標を得たベテラン野原哲也に注目。
 「前回(10月福井S)は良かったね。(予選で)久々にまくりが出たもんね。まあ、その地元戦に向けてかなり練習もやって、その後はちょっとここまで空いたけど、いい状態は維持してると思う」


<3R>
三住選手
三住博昭選手
   3Rは200勝達成にあと一勝と迫った佐野梅一が腕を撫す。
 「ここは何回も走っているし、333は好きですからね。とにかく短走路なんで、どこからでも行くつもりで」
 また、このレースは三住博昭がメンバーを見るなり、相好を崩していたのも印象的だった。
 「(松坂)洋平と一緒ですか? 洋平とは何回も連係してて、俺はいい結果のことが多いですね。明日も行くだけ行ってもらって(笑)」


<7R>
松田選手
松田優一選手
   選抜戦ではまず7R。6月の岸和田レインボーで優参してS級特進を果たした松田優一が記念に初登場。
 「選抜に乗れるとは思ってませんでした。嬉しいな。(S級では)まだ上のレベルには通用しないけど、何とかやれている感じですかね。前走から中10日くらいありましたけど、(宮崎でのスター養成)合宿があったり、関東地区プロがあったりだったんで、思うように練習出来たとは言えません。ただ、競走はいつも通り積極的に行くだけです。積極的に組み立てていれば、練習での力が常に競走でも発揮出来るようになると師匠にも言われてますから」


<8R>
 続く8Rは何と言っても地元の丸山啓一に注目は集まりそうだが、岡田征陽も不気味な存在だ。
 「前回の千葉記念は失敗してしまいましたけど、ようやく一歩ずついい時の状態に近付いてきた感じです。悪くなったのは自転車やシューズを替えたり色々と試してみたのもあったんですが、シューズは前のやつに戻しました」


<9R>
市田選手
市田佳寿浩選手
   さて、9Rは初日のメインである特選競走だ。その9Rは市田佳寿浩が格上的な存在となる。
 「伊東は何年も走ってないな。自在になってから初めてだし、特にイメージもないですけど、これからいいイメージを作っていきたいです。オールスターの後に一度ドン底まで状態を落として、そこからまた一からって感じで練習はやってますが、岐阜の共同の前に(渡辺)航平とかなり追い込んだ練習をして、その後はいつも通り。状態は確実に上向いてきて、走りも段々いい時に近付いてきてるんじゃないかな。GPに向けて賞金がとか言われますけど、本当にそんなことは意識してません。僕は常に目の前のレース、賞金を取りに行くだけ。明日もいつもの競走で、1着を狙います」
 その市田にマークするのが前田新。前田も岐阜共同では決勝に乗るなど追い込み型として着実に地位を築きつつある選手だ。
 「共同は、展開が向けば俺なんかでも決勝に乗れるんだなって自信になりました。市田君とは最近になって何回か付かしてもらうようになりましたけど、とにかく離れないように付いて行くだけですね」
 強力近畿勢に立ち向かう選手の中ではまず南関ラインを率いる五十嵐力の出方が気になる。
 「(前走から)一か月空いたのは軽い腰痛が出ちゃって。疲れが溜まると出るんですよ。ただ、もう練習の感じとか問題ありません。(特選3個レースの中でも)いいメンバーの所に入っちゃったけど、何とか地元の人達に貢献できるように、先行主体の競走で頑張るだけです」
 北津留翼―大塚健一郎の九州ラインも強力。ただ、番手の大塚は自粛欠場で2か月休んで、約80日ぶりの実戦となる。
 「2か月休むのは今年2回目ですからね。もう慣れてます(苦笑)。でも、恥ずかしい話ですね。9月の半ばにペナルティーでお寺に行った時もお坊さんに君の顔はもう覚えたって言われてしまいました」


<10R>
吉岡選手
吉岡稔真選手
   10Rは、伊東では抜群の成績を残す大スター吉岡稔真の存在が光る。近況はスランプと言っていいが、立て直しのきっかけはつかんだ様子で清々しい表情でインタビューにも応じていた。
 「若い頃と違っていい時と悪い時の差が激しいですよね。オールスターの後は本当に何もする気も起こらない状態になって、親もびっくりするような荒んだ生活をしてました。弟子にも家に来るなって。でも、その間に弟子(小川勇介)が記念の決勝に乗っている姿を見て、気持ちも高まってきました。レースもね。99着をやっても声を掛けてくれるファンの方がいる。その声も自分を少しずつ目覚めさせてくれた感じですね。ダービーの後に練習中に落車して骨折した影響も引きずっていたし、本当に親にはGPか全日本まで休んだらって言われるような状態でしたけど、今回にしたって伊東でしか僕を生で見られないファンの方もいますしね」
 勿論、このレースは地元のエース渡辺晴智の動向からも目が離せない。
 「前回の千葉記念は久々に良かったですね。明日は武井(大介)君に任せますけど、武井君は競走センスがいいし、油断せずに頑張ってくれればチャンスはありますね」
 渡辺が全幅の信頼を寄せる武井は10月防府Sで完全V、続く千葉記念でも2731着と気を吐くなど絶好調だ。
 「練習はいつも通りなんですけど、何となく良くなってきましたね。先行を基本に、叩かれても粘ったり何かすればと思えるようになって、気楽に走れるようになったのが良かったのかな。ただ、ここの前は結構詰めて街道メインで練習をやってきたので、少し疲れが心配」


<11R>
佐藤選手
佐藤慎太郎選手矢口選手
矢口啓一郎選手

   最終11Rは山崎芳仁―佐藤慎太郎の福島コンビが中心。当所東王座を制して超一流の仲間入りを果たした山崎だが、今や賞金ランクでトップに躍り出て、前走の10月京王閣記念も圧巻の走りで優勝と早くも王者の風格を漂わせる。
 「京王閣の前は地区プロがあったり、弟の94期の一次試験があったりだったので練習が出来なくて、逆に軽い感じでしたが、今回の前はかなり詰めて練習してきました。今やらないと練習する時ないですからね。だから疲れはありますけど、日に日に良くなってくるはずなんで、最終日に決勝に乗れれば、優勝を獲れる状態になってると思います」
 さて、山崎マークの佐藤は防府ふるさとを走ったばかりで、追加での急遽シリーズ参戦。GP出走権を懸けた賞金争いの渦中にいるだけに、その動向は誰よりも注目される。
 「追加を聞いたのは2日前。一昨日は練習せずに休んで、昨日も軽めに乗っただけなんで疲れはないと思います。防府の走りですか? 伸びなかったですね。でも、三日目までは(佐藤)友和がデキが良すぎました。準決なんて本当に抜けなかったですからね。決勝もそのイメージがあったから、友和はもっと伸びると思って、内に行くか外に行くか一瞬、判断が遅れちゃったんですよ。賞金のことは…。ここ何年かは賞金ブッ千切りだったから数えたことなかったんですけどねえ。まあ、俺の気持ちは山崎が分かってくれるでしょう」 断然優位とも思われる福島コンビに対してだが、別線の選手も闘志は満々。矢口啓一郎はようやく本来の勢いを取り戻し、表情にも精悍さが戻ってきた。
 「前回の千葉記念は久々の選抜回り。調子も良くなってきたし、今回は特選に乗せてくれって思ってました。山崎君とは展開次第でやっつけられたり、逆に勝ったこともありますが、まくりは通用しないと思うので、先行基本の競走で頑張ります」
 また、石丸寛之も特選に名前を見付けて、ホッとした様子。
 「点数的にギリギリでしょう。このツキは大事にしたいですね。7月に落車してからリズムが狂った感じで、波に乗れない近況ですけど、ここの前も早朝練習、乗り込みと練習はしっかりやれてます。正直、333は好きじゃないですが、当たり前のホームまくりでは山崎君に通用しないでしょう。スキを見てカマすとか何かやりたい」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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