『伊東競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:11月17日


 伊東温泉競輪場開設58周年記念「椿賞争奪戦」は、4つの準決勝がメインの3日目を迎えた。二次予選を大挙して勝ち上がった南関勢が、いずれのレースも主導権を握ったが、結果は明暗ハッキリ分かれることに。決勝戦には石橋慎太郎、渡邉晴智、望月永悟ら地元三車が駒を進めたが、村上義弘を始め強敵がズラリ。明日も息つく暇もない激しいレースが展開されそうだ。
 明日はいよいよ最終日。連日、好評のスピードくじ、最終レース3連単車券のプレゼントに加え、明日は抽選で1名様に「マツダ・デミオ」が当たります。決勝戦終了後には優勝選手が当選者を決めるドキドキの抽選会を開催。ぜひ、本場でご観戦ください。


<8R>
濱口高彰選手
濱口高彰選手
   徹底先行不在となった準決勝Cだったが、ふたを開けてみるとレースの流れは意外にも単調そのもの。自力勝負を宣言していた廣川泰昭がペース駆け。番手の濱口高彰(写真)が追い込んで決勝進出を決めた。
 「廣川君には自分が勝つ競走をしてくれと言ってたんですけどね。じっくり構えて7番手からまくってくれれば良かったんですけど、勝手にいい流れになってくれた。後ろから突っ込まれたけど、1着権利だし仕方ないでしょう。状態はまあまあですね」
 駆けた廣川泰昭も納得の表情だ。
 「今回は自力で駆けられるフレームに変えてきてたんです。師匠と山でキツい上りモガキをやってきた成果が出てるんじゃないかな。今は自分で動いた方が良い結果を残せると思うし、また積極的にやっていきたい」
 渡邊泰夫は三番手から果敢にアタマを狙ったが、濱口の強烈な締め込の前に屈した。
 「まさかこんなに何もないレースになると思わなかったから、最終バックでも誰か来るんじゃないかと焦ってました。濱口さんが空けたので、ちょっと早かったけど(インに)入りましたが、やっぱり締められちゃいました。仕方ないですね」


<9R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
望月永悟選手
望月永悟選手
   準決勝Bも赤井学の先行一車。同期で地元の望月永悟が番手を固めて南関勢が発進したが、小倉竜二(写真)がさすがのハンドルさばきで快勝。これで悪い流れを断ち切ったか。
 「あれしか狙ってなかった。外を回ったら遠くて届かないから、望月にブロックさせて、その内に斬り込んでいくしかない。バックでは完全に狙ってました。今日は道中で絡みたくなかったし、タテ脚で勝負したかった。まだ完全ではないけど、状態はマシになってきましたよ」
 望月永悟(写真)は、地元記念で優参を果たしたが、表情は冴えない。
 「小倉には気が付いていたんですけど、ブロックするのが早過ぎましたね。赤井さんは落ち着いて仕掛けてくれたのに、僕だけがずっと焦っていた。申し訳ないです。今回は初日から千葉勢にお世話になりっぱなし。僕が地元ということで、気を使ってもらいすぎてますね。今日は調子がどうこうじゃなく、気持ちで決勝に乗った感じです」
 一方、赤井学はサバサバと、「僕自身はまだ決勝で勝負できるような状態じゃないし、同期で仲の良い望月君が乗ってくれればと思って駆けました。深井さんがギヤを上げて一発まくりを狙っている感じだったので、そこを警戒してましたよ。何とか6着に踏みとどまれたし、今開催で流れを引き寄せられれば」


<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
井上昌己選手
井上昌己選手
新田康仁選手
新田康仁選手
   細切れのライン戦は目の回るような激しい出入りの戦いとなった。強引に主導権を奪った田中孝彦が新田康仁を引き連れて発進したが、うまくこのラインの後ろを取った村上義弘(写真)が、昨日に続き貫禄の勝利を収めた。
 「ホンマに静岡県は相性が良いですね。お客さんの声援も温かいし。今日は周回中の感じから田中君の気迫で、『これは行く気だ』と判断して、このラインの後ろを確保しようと思いました。狙いがズバリでしたね。地元の新田さんには悪かったけど、ここしかないというタイミングでシビアに仕掛けさせてもらいました。レースの読みは追い込み選手なみですね(笑)」
 紫原政文はイン突きから伸び勝って決勝進出。ホッと胸をなで下ろす。
 「村上が行って、(井上)昌己はそれからでしょう。外は無理だと思って内に入りましたけど正解でしたね。とにかく決勝に乗れて良かった。(賞金争いは)走っている間は気にならないけど、結局は目の前の一戦、一戦を積み重ねていくだけだから、そんなに気にはなりません。明日も頑張るだけですよ」
 井上昌己(写真)は「同期の武井君の動きで楽になった(笑)」と引き上げるなりジョークを飛ばす。
 「位置取りが難しかったけど、武井君が稲村さんと絡んだところで、うまく前に行けた。でも仕掛けきれなかったですね。前で村上さんがタイミングを計っているのが分かったので、下手に仕掛けたら合わされるんじゃないかと思って躊躇した。結果的には正解だったかもしれませんけどね」
 新田康仁(写真)はガックリと肩を落とした。
 「村上が三番手を狙ってくると思ってたから、後ろの隊列を確認したときに『やっぱりな』と思いました。田中もタレてきてたから、番手から出るしかなかった。それでも3着には入れると思ったんだけど、4コーナーで内を空けたのが大失敗。やっちゃいましたね。もう気持ちを切り替えて、明日しっかり1着を取って全日本に臨みますよ」


<11R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
手島慶介選手
手島慶介選手
岡村潤選手
岡村潤選手
   最終レースは圧倒的な人気を集めた石橋慎太郎と渡邉晴智が貫禄のワンツーを決めて支持に応えた。先頭を任せた岡村潤が矢口啓一郎に突っ張られ、連結が外れる大ピンチに陥ったものの、しっかりと立て直してまくった石橋慎太郎(写真)が1着。初の記念制覇に向けて視界が開けた。
 「矢口さんがあんなに突っ張るとは思わなかった。岡村先輩はキツそうだったので、中団に入ったんですけど、打鐘で思い切り前が詰まって内に差し込んじゃったんですよ。前輪にペダルが入っちゃうし、危なかったですね。でもタイミングを逃さず行けたから良かったかな。状態的には今日が一番軽かった。初日、二日と不甲斐ない競走をしてしまったし、明日は優勝を狙ってしっかり走りたいと思います」
 渡邉晴智は懸命の追走で2着に入線。ローラーでのクールダウンを終えると、「やっぱりラインの力ですね。後輩二人が頑張ってくれたおかげです。石橋は内に差したり、ハウスしたりしてたけど、何もなかったようにまくっちゃいましたね。やっぱり強いや。今日はお客さんの大声援のおかげで緊張がほぐれました。人気に応えられて良かったです」
 手島慶介(写真)は3着確保。矢口啓一郎の頑張りに応えた。
 「まるで練習のような展開になってキツかったですよ。どこもペースがゆるまなかったからね。こういう展開は嫌だなぁ。付いててイッパイになってしまいました…」
 地元勢を突っ張った矢口啓一郎は「そんなつもりはなかったんですけどね。飛び付きはあまり考えてなかったけど、踏んでれば中団は取れると思ったんです。見ながら踏んでたら、岡村が出るような感じじゃなかった、松崎さんが来たので行っちゃいました。新人じゃないんだから、あまりこんなレースはしたくないんですけどね…」。
 岡村潤(写真)は複雑な表情で、「(石橋)慎太郎は落ち着いてましたね。走る前は色々な展開を考えていたんですけど、自分と慎太郎の脚質が違うこととかを考えてたら、ものすごく緊張してしまった。結局、僕は何もできなかった。悔いが残りますね。明日こそしっかり走りたい」とレースをふり返った。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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