『伊東競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月18日


 伊東温泉競輪場開設58周年記念「椿賞争奪戦」は11月18日に全日程を終了した。地元勢の悲願は達成せず、逃げた村上義弘ラインの三番手を確保した手島慶介がまくり追い込んで快勝。グランプリ出場をグッと引き寄せる価値あるVを達成した。

決勝戦 レース経過
 スタートで各選手出渋ると、村上義弘が踏み上げて空いた誘導との車間を詰めていく。村上後位は内に渡邉晴智、外に手島慶介で折り合い付かずも、青板でようやく渡邉が引く。前から村上-濱口高彰-手島-小倉竜二、中団に石橋慎太郎-渡邉-望月永悟、井上昌己-紫原政文となるが、すぐに井上が踏み上げて村上を押さえる。引いた村上は石橋の内に詰まるも、強引に石橋をこじ開けて踏み込み主導権を奪う。望月が巧アシストで石橋を三番手に引き込んだが、手島が絶妙なタイミングで追い上げ、打鐘で石橋のアウトに車を併せる。石橋は一瞬迷うも、車を下げ出したところで、村上がスパート。手島が三番手をキープし、五番手に入りたかった石橋は踏み遅れてしまい、井上が五番手、石橋は七番手まで車を下げさせられた。最終バックから井上がまくり上げるも、車間を空けていた手島がまくり追い込み気味に仕掛けると、濱口のブロックをかいくぐり、直線で伸び切って約1年半ぶりの記念優勝。小倉が巧く追走して2着に。村上を利した濱口が3着。なお、ゴール前に斜行し石橋と共に落車した渡邉は失格と判定された。


手島慶介選手
手島慶介選手

 「地元から優勝者を」という静岡勢の願いは、村上義弘の気迫の前に散った。なおも石橋慎太郎は村上ラインの後ろで粘りかけたが、ここが勝負所と嗅覚を働かせた手島慶介に追い上げられて完全に万事休す。最終周回では、ほぼ前団5人のV争いに絞れられた。果敢に飛ばす村上の後ろで番手職人の濱口高彰が車間を空けるなどして徹底援護したが、単独の3番手を確保した手島にまくり追い込みを仕掛けられてはたまらない。前二人を抜群のキレで飲み込んだ手島が、昨年の高松記念以来となるG3優勝を達成した。
  「何も考えずに走ったのが良かったんでしょうね。久しぶりに体が反応するまま動いたら勝てました。こういうレースは気持ちいいですね」
  勝負所となった打鐘手前での位置取り。選手紹介でも村上ラインに付けたが、「こだわっていた訳じゃないです」と話す。
  「どこと決めてたんじゃなく、赤板で村上が行く気配だったから、そこって感じです。外から追い上げたので脚はきつかったけど、うまく溜められたし、踏んだ距離が短いので何とかなりました」
  優勝賞金415万円は、今の手島にとって額面より大きな価値を持つ。
  「最後まで諦めないのが大事ですね。去年もそうやってグランプリに出た訳ですから。今年は前半が落車続きで半分諦めかけてたんですけど、100%の状態じゃなくてもこうやって勝てることもあるし、昨日、矢口啓が頑張ってくれたのも大きい。次の花月園も頑張ります」

 手島の後ろを選択した小倉竜二にもチャンスは訪れたが、道中の細かいプレーで脚力を消耗してしまった。
  「(手島が)行きかけたり、止めたりを何度もするので脚が一杯になっちゃいました。僕にとっても、前の動きに合わせて踏むのは課題なんですけどね。特に作戦の事は話さなかったですけど、前々に行ってくれるからチャンスはあると思ってました。今の自分の状態としては上出来でしょう」

 村上義弘はアップの段階から気合を全身に漲らせていた。
  「後ろから簡単にまくれる相手じゃないでしょう。せっかく状態が上がってくる感触をつかんできたのに、しょうもないレースだけはしたくなかった。付いてくれた濱口さんには何度も迷惑をかけているし、積極的に行こうと思っただけです。展開は思っていたのと違いましたけどね。井上君が前を取ると読んでいたから、まさか突っ張ることになるとは思わなかったですよ」

 井上昌己は、「村上さんがあそこまで行くとは思わなかった。ホームで中団に入れたけど、逆に入ったことで勢いを殺してしまった。でも、あのまま踏んだとしても行けたかどうか…、たぶん無理ですね」。

 紫原政文が気になるのは、やはり賞金レースの行方だ。
  「(井上)昌己は行けませんでしたね。今日は地元と村上がモガキ合いになる展開を想定していたんだけど…。これでまた状況が変わったし、西武園に向けてやるしかない」

 石橋慎太郎はゴール前のもつれで落車。レースでも見せ場を作れず、「ケガは大したことありません。今日は駆けるつもりだったけど、初手の位置取りで手島さんが入れてくれなかったので脚を使っちゃいました。赤板で踏み上げた時もキツかったし、打鐘で踏み遅れた時点で脚は残ってませんでした」と肩を落とす。


ゴール





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