『伊東競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
配信日:12月8日
伊東競輪開設59周年記念「椿賞争奪戦」が12月5日~8日の日程で行われた。V候補の一角・小嶋敬二や地元の渡邉晴智、新田康仁の脱落があったものの、当所との好相性を誇る村上義弘を筆頭に、浅井康太、新鋭・岩本俊介ら自力型が多数勝ち上がり決勝は混戦模様となった。レースは村上義弘の3番手を回った渡部哲男が、バックから自力まくりを放って優勝。自身今年最後の記念を優勝で締めくくった。
なお、注目のSS班争いは浅井康太が2着に入り賞金ランクを17位にアップさせ、優勝が絶対条件だった坂上樹大は4着に破れた。明日9日に行われるS級S班選手選出委員会により、SS班18名が正式に決定されます。
決勝戦 レース経過
号砲で内枠の3車がまず飛び出す。正攻法の位置を確保の村上義弘には市田佳寿浩が付けて近畿コンビが前受け、これに単騎の渡部哲男が続く。岩本俊介―中井達郎の南関コンビに、やはり単騎の佐藤友和が続いて中団を形成、浅井康太―山田裕仁―坂上樹大の中部勢が後攻めの形で隊列は落ち着く。
残り3周の青板から浅井がゆっくり上昇。4番手の外でしばらく止まって岩本の動きをけん制する。浅井は赤板前の4コーナーから踏み上げるも、村上がこれを突っ張る。村上は後ろの動きを警戒しながら踏み込み、打鐘で巻き返してきた岩本に合わせて一気にスパート。最終ホームでは村上と岩本で激しい主導権争いとなる。最終バックで岩本が出切るも、村上ラインの3番手で脚を溜めていた渡部がその外を力強くまくって快勝。1月の立川に続き、今年2度目の記念Vを飾った。村上に突っ張られた後、中団に入り直して渡部を追う形となった浅井が2着に入った。
渡部哲男選手
11月の競輪祭ではインフルエンザの疑いで初日に当日欠場。これにより、GP出場の夢はもちろん、SS班返り咲きもかなわなくなった
渡部哲男
。前回1走もできず不完全燃焼に終わったことで溜まっていたうっぷんを、当所で全て晴らした。決勝はライン選択が見事的中。市田佳寿浩の後位で落ち着いて間合いを計ると、最終バックから一気に勝負を決めた。
「村上さんは前を取ったけど、突っ張りはないなと思っていたんだけどね。でも、村上さんは引いてもすぐに巻き返してくれるし、あとはそこから自分で外を踏むか、内をしゃくっていくか考えていた。まさかあんな展開になるとはね。中井(達郎)さんがいたから被ってしまうかと思ったけど、外を踏むところがあった。でも、浅井が後ろから来てたし、あとワンテンポ遅かったら完全に行かれてたね」
当日欠場後の開催だっただけに、この優勝については「こんな形で終わるとは思ってもいなかった」と、本人も驚く。
「調子は戻っているつもりだったけど、初日にまくれなかったんで『これはヤバイ』と思った。でも、初日、2日目と踏んだ分、3日目、最終日と結果が出たんだと思う。今日は4日間で1番脚が軽かったね」
今年は地元の松山F1を含め、あと2場所を残している。SS班は逃したが、まだダービーの特選スタートの権利が賭かっている。来年に向け、この後もまだまだ気は抜けない。
「SSは一年間トータルで成績を残さないと難しい。今年は立川記念で勝ったけど、その後は調子を落としたしね。でも、ダービーで特選スタートはまだ諦めていないし、最後まで頑張ります」
浅井康太
は惜しくも2着に敗れたものの、最後は自らの脚でSS班入りを決めた。
「岩本君はデビューは遅いけど、僕と同年齢だから、負けたくないという気持ちが強かった。だから、今日は(途中まで)岩本君しか見ていなかったんです…。中団に入ったけど後ろを気にしてなくて、一気に岩本君に行かれてしまった。そうしたら前の村上さんも掛かってしまって。ホーム過ぎから仕掛けたのは良かったけど、今度は哲男さんに合わされてしまいました。最後は必死で踏んだけどダメでしたね」
3着は
佐藤友和
。初手から作戦通りに攻めたが、南関ラインに離れたことを敗因に挙げた。
「6番(岩本)が早めに先行するだろうから、その3番手をキープする作戦だったんだけどね。離れたのが失敗でした。しっかり付いていれば7番(渡部)より先にまくれたしね。浅井君に付いて行ったけど、脚に余裕がなかった。力がなかったね」
村上義弘
は押さえにくるのが遅いと見るや突っ張り先行に作戦変更。9着大敗も、村上らしく最後は力勝負にこだわった。
「基本は中団だったんだけどね。勢いよく押えにくれば引いたけど、ゆっくり押えに来たところで引いたら終わりだしね。突っ張ってからは、後ろがもつれるのを期待してペースで行ったつもりだけど、もつれなかったね。でも、今回は調子が良くないのに決勝に乗れたし、収穫が多い開催になった」
市田佳寿浩
は村上の魂の走りを肌で感じたと言う。
「気迫がすごく伝わってきた。だから絶対に止めてやろうと思ってたし、それしか考えてなかった。向こうも止められないように必死だったし、自分の力不足もあって止められなかった。まだ自分は後ろの経験が少ないしこれから。今日は展開も含めて良い勉強になりました」と、反省する。
岩本俊介
は「今日は行けるところから行こうと思っていた。それだけを考えてたし、力を出し切ったんでやることはやったつもりです」と満足げ。
連係した
中井達郎
も「今日は2人で最善を尽くしたと思う。普通だったら外に飛んで終わる展開だけど、岩本は頑張って踏んでたしね。力は及ばなかったけど、やり残したことはないよ。岩本はこれから南関を盛り上げてくれるだろうし頼もしい。自分に関しては体調が万全でないなかで決勝に乗れたのは大きかったね」と納得の様子。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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