『伊東競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月14日


 伊東競輪開設60周年記念「椿賞争奪戦」は12月14日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は最終第11レースで争われ、五十嵐力の先行に乗った新田康仁が直線鋭く抜け出して快勝。地元記念で復活の優勝を飾った。2着はまくった川村晃司、3着には齋藤登志信がそれぞれ入った。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると川村晃司がいち早く飛び出してスタートを取る。並びは川村―濱口高彰―志智俊夫が前受けとなり、大塚健一郎―室井健一が川村の番手を狙って濱口の横で外併走。単騎の藤原憲征が中団に位置し、五十嵐力―新田康仁―齋藤登志信が後ろ攻めとなった。
 周回が進み、青板周回のバックから五十嵐が早めに上昇すると、川村は外にはずして牽制したが結局は車を下げた。すると、藤原、室井の順で五十嵐ラインに切り替える。赤板で先頭に出た五十嵐がペースを落として後方をうかがう一方で、川村はカマす素振りを見せるも車間を詰めただけで動かない。すると、濱口と大塚がバックを踏み切れず、勢い余ってそのまま中団に切り替え、更に大塚は接触して車体故障を起こして後退した。五十嵐はジャンから踏み込んで先行態勢に入り、一本棒に持ち込む。バックで藤原が自力まくりを敢行すると、新田が合わせて番手から早めに追い込んで優勝。3年ぶりの記念Vを遂げた。川村は後方から猛スピードでまくってきたが、仕掛けが遅く僅かに届かず2着まで。

新田康仁選手
新田康仁選手
 新田康仁が地元で復活の狼煙を上げた。目標の五十嵐力が主導権を奪い、最終バックは絶好の番手回り。まくってきた藤原憲征をけん制しながら力強く前に踏み込み、チャンスをモノにした。
 「この優勝は本当に嬉しいです。地元は自分1人だし、プレッシャーはかなりあったんですけど、五十嵐君のおかげですね。上手く駆けてくれました。藤原君が中団から仕掛けてくるのは予想外で、慌てて踏んだら車が出なくて焦りました。脚が三角に回ってましたね。川村君に外からいかれてしまうと思いましたけど、何とか勝てました」
 長いスランプに苦しんだ1年だった。この開催を迎えるまで、8場所で勝ち星はゼロ。F1開催でも決勝に乗れない日々が続いていたが、シリーズ2日目に勝ち星を挙げると、そこから一気に流れが好転した。
 「前回の競輪祭で脚の手応えは感じていたけど、今回は2日目に勝てたのが大きかったですね。あれで流れが自分に来ました。今年は成績が悪すぎて、精神的に参ったけど、どん底はもう過ぎたし、これ以上、悪くなることはないでしょう。来年は気合を入れて頑張りますよ」

 後方から大外を豪快にまくり上げた川村晃司は2着まで。記念初Vは成らなかった。
 「前を取って引いてからのカマシを考えていました。でも、切り替えられて、どうなったのか自分でもよく分からなかったですね。あそこまで後ろになるのは想定外。作戦ミスですね。とりあえずいけるところまでと思って踏んだんですが、届かなかったです。チャンスがあっただけに悔しいですね」

 南関コンビを追走した齋藤登志信が3着に流れ込んだ。
 「いい展開でした。最後は新田君の内をいきたかったけど、それでも優勝はなかったですね。今回は状態が良くて、結果も出ました」

 五十嵐力は赤板前から果敢に先行。新田のVに貢献した。
 「新田さんに任されて責任重大でした。押さえて駆けた方が無難かなと。今回は体調があまり良くなかったし、焦って踏んでしまい、全然かからなかったです。新田さんの優勝で良かったです」

 単騎の藤原憲征は中団からまくって見せ場を作った。
 「今日はまくるつもりでした。あそこの位置にずっといても、川村さんが来てかぶって終わりですからね。力は出し切りました」

 大塚健一郎は川村の後位で濱口高彰と激しく競り合ったが、打鐘過ぎの2センターで車体故障してしまった。
 「濱口さんと2人で川村さんの前に出てしまい、下がろうとした時に接触してしまった。しょうがないですね」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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