『伊東競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:12月22日
 今年最後の記念シリーズ。伊東温泉競輪場を舞台に開催されている開設63周年記念「椿賞争奪戦(G3)」は、3日目を迎えシリーズも後半戦に突入した。2日目のチャレンジに続いて一発勝負で行われたレインボーカップA級ファイナルでは、松田優一が中団からまくって優勝。2、3着の江連和洋、阿部秀樹の上位3選手が、S級への特進を果たした。また、ファイナル進出を巡り、準決の3個レースでは熱戦が展開され決勝の9選手に役者がそろった。最終日の23日には椿賞をかけた決勝の号砲が鳴らされ、今年最後の記念覇者が決まる。
 本場では開催中の毎日、先着1008人にスピードくじを配布。23日にはA賞、いでゆ賞出場選手のサイン入りウインドブレーカー&オリジナルクオカード(2枚組)などが抽選で当たります。オープン懸賞では軽自動車「マツダ フレア」が、最終日に抽選で当たる応募(締め切りは23日の13時)も行っています。また、「お・も・て・な・し・富岳太鼓演奏」も予定されています。伊東競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
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松田優一選手
松田優一選手
 レインボーカップA級ファイナルは、保科千春が赤板からピッチを上げて先行態勢に。山崎将幸が最終ホームで保科の番手から発進するも、そのラインに続いた松田優一(写真)が2コーナーから仕掛ける。まくりスピードは衰えることなく、山崎を飲み込み力強く押し切った。
「2周前からスピードが上がってたので、かなりきつかったです。自分で動いていい位置を取れたのがよかったです。江連(和洋)さんも付いてくれているし、なんとか2人の勝負に持ち込みたいと思ってた。それができてよかった。前回(レインボーカップに)出た時は芦澤(辰弘)君が先行してくれたのに勝てなかった。だから、今回は勝つことができてよかった。またS級でしっかりと頑張りたいです」
 松田をピッタリと追走した江連和洋が2着に続いた。
「松田君とはもう何度も連係させてもらっているので、自分は信頼して付いていっただけ。連れていってもらって、最後は交わそうと思って踏んだけど差は詰まらなかった。(来期の)S級入りは決まってたけど、特別昇進は初めての経験なので、その経験ができたのはなんだかうれしいね」
 単騎でのレースを選択した阿部秀樹が、茨栃勢に続く形で3着に入った。
「森田(達也)君の後ろにいたら、かぶった時に内には行けないなと思って、あの位置になった。松田君が行けば内、外でも行って勝負できるし、松田君が行けなくても自分にチャンスがある。5番(森田)が6番(山崎将幸)の上を行ったら、そこへスイッチするつもりでした」
 ひとり来期S級への勝負駆けだった森田達也。松田の仕掛けで踏み場をなくして万事休す。7着に肩を落とす。
「先に行かれてしまった時点で、松田君の番手に行くしかなかったけど自分が遅れてしまった。自分が先に出て行く感じじゃないとダメでしたね。後ろにも誰がいるかわかってなくて、(後ろを)確認しておくべきでした…」

<10R>
坂本貴史選手
坂本貴史選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 中団の坂本貴史(写真)を警戒して早めに併せ込んだ小埜正義だったが、前受けの田中誠にペースを上げられてすべてが水の泡に…。小埜との併走をじっとこらえた坂本は、中団を抜かりなくキープして最終2コーナーからまくって出る。
「自分が前ならあそこで突っ張るし、(田中誠の突っ張りを)しっかりと頭に入れていたんで踏み遅れなかった。それに自分で叩こうって気持ちもあったんで。最終ホームくらいで小埜さんが来たら合わせようと思ったけど、来なかったんで自分のタイミングで仕掛けていきました。記念の決勝は去年(1月の)平以来の2回目です。石井(秀治)さん、中村(一将)さんは自分より格上だし、自分は出し惜しみしないよう頑張ります」
 マークした坂本との間を小埜に割り込まれそうになった山崎芳仁(写真)だったが、打鐘前に付け直し盤石の態勢。坂本をきっちりとらえてシリーズ2勝目を挙げた。
「前(田中誠)が突っ張るとは思わなかった。そこからは(坂本に離れないように)内に行かないとって思って。坂本君がまくっていって、自分は合志(正臣)さんのブロックが来ると思ったんで、2mくらい外に行った。そこさえ乗り越えられれば、坂本君には追いつく自信があった」
 北日本勢を選択した田中俊充は、最後まで前の2人に食らいつきうれしい記念初優出を決めた。
「とにかく離れないようにって、それだけでした。記念の決勝は初めてですね。脚の感じはいいと思うし、調子は悪くないですよ」

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新田康仁選手
新田康仁選手
加藤慎平選手
加藤慎平選手
 先行態勢を取った新田康仁(写真)だったが、抜群のタイミングで仕掛けた中村一将に叩かれて難しい選択を迫られた。結果、中村ラインの3番手の伊藤健詞と打鐘の2センターで絡んで、そこからの立て直し。苦しみながらも2着で決勝へと進んだ。
「自分が(主導権を握って)駆けるつもりの作戦だったけど、その順番が早く来ちゃった。もうそこからは臨機応変にと思ってたし、あそこでは引くに引けなかった。(加藤)慎平君が外から入ってきて、いい感じで降りられた。それで伊藤さんに迷惑を掛けてしまった。伊藤さんがいなければ、自分は転んでいたと思います。(渡邉)晴智君と遠澤(健二)さんとラインで決めたかったけど、自分だけで申し訳ない。脚の状態は悪くないです」
 打鐘の3コーナーで主導権を奪取して逃げた中村を、番手から追い込んで1着の加藤慎平(写真)が絶賛する。
「もう今日は(中村)一将さんですよね。ここで行かなきゃっていうところで(中村の)体が動いている。自力選手の鑑(かがみ)ですよ。だから自分はそこのタイミングに突っ込んでいくだけでいい。本当に追い込み冥利に尽きる。自分がこういう時に助けてくれる先行屋っていうのはさすがですね」
 逃げ粘っての3着に中村一将は、目を細め静かに振り返る。
「自分が前を取っても(積極的な)先行型が自分以外にいないんで、なんとかなるかなと思っていた。今回の新車がどうのっていうよりは、今日はひとつ前のレースだった。初日、2日目と最終レースを走っていて、その時と比べたら気温が下がっていなくて風もなかったんで(走りやすかった)。加藤君はいつも信頼して付いてくれますから」

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石井秀治選手
石井秀治選手
林巨人選手
林巨人選手
 藤木裕の率いる中近ライン3車が主導権を握って、近畿勢との人気を二分した石井秀治(写真)は4番手のインで菊地圭尚と併走。打鐘の4コーナーで菊地を弾いて中団を死守すると、返す刀で近畿勢をまくりで粉砕した。
「やばかった。あれで誰か切ってもらえると思ったんですけど。下げる訳にもいかないし。あとは本当にたまたまですけど、よかったです。決勝も一生懸命頑張りますよ」
 石井のまくりに流れ込んだ萩原孝之は、石井の強さにあきれるように振り返り反省する。
「(菊地との)併走で石井君がどうなるのかと思って。自分の位置を確保しようと思ってしまった。あの展開じゃ石井君はダメかと思ってしまって…。もっと信頼しないとダメですね。自分も余裕はあったんですけど、石井君の踏み出しでいっぱい。強いですね」
 藤木ラインの3番手から最終4コーナーでコースを確保した林巨人(写真)が、直線で軽快に伸びて3着。記念決勝のキップを自らの手でつかんだ。
「本当に余裕があったんで、あそこの4コーナーのところだけでしたね。コースだけを見ていた。記念の決勝に乗るのは初めてだし、決勝は自分が(加藤)慎平さんの前で頑張りたい。後手を踏まないように悔いが残らないように走ります」
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