決勝戦 レース経過 | |
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号砲で内の3車が飛び出す素振りを見せたがその後はけん制。ゆっくりと中村一将が正攻法につけると、中団は新田康仁が確保。周回は中村―田中俊充―石井秀治―新田―萩原孝之―林巨人―加藤慎平―坂本貴史―山崎芳仁の並びで落ち着いた。 青板前から坂本が動くと、この動きに中部コンビが続く。坂本は中団で足を止め、しきりに内の石井の位置を確認する。赤板前の4コーナーで中村が先に誘導員を下ろすと、すかさず坂本がそこを叩いて主導権を奪取。思惑どおり人気の南関勢を7番手に置く。石井は打鐘過ぎから巻き返したが、この動きに気づいた山崎は1コーナー手前から番手まくり。林が石井をけん制すると、石井のまくりは不発。すかさず加藤をキメた新田が3番手にもぐり込む。やや遅れた萩原の追い上げに合わせて中村もバックからまくって出るが、加藤と3車で接触して中村が落車。加藤も前から遅れて優勝は完全に前3名での争いに。番手まくりの山崎は最後まで踏み切って今年最終戦を見事に優勝。3番手から中を割った新田が2着に食い込んだ。
「石井秀治君の巻き返しは早いだろうし、400mくらいは自分で踏まないと優勝はないなって思っていた」 坂本貴史と2車の北日本ライン。数的なアドバンテージがある訳でもなく、山崎にとっても決して楽なメンバー構成、展開ではなかった。早めに石井にフタをした坂本が、赤板目がけて踏んで主導権。林巨人―加藤慎平が切り替え続く。初日から3連勝と破竹の勢いの石井の反撃に、山崎は最終ホームから番手発進。選択の余地はなかった。 「(坂本)貴史がゆるめずにそのまま行ったから。(ラインが)2車で大変だったけど、あれだけ行ったら。あとは自分が優勝するしかないんで。自分も何度も前でやっているからわかるし。俺が1着を取らないとって思った。想定はしていた展開だったけど、なにしろ距離が長かった。新田(康仁)さんとか自力のある選手もいるし、思い切り行って沈むよりはと。バックから踏み上げていった」 直線で林、新田を振り切っての完勝劇だった山崎は、今年2度目記念Vで13年のフィナーレを飾った。 「もう来年で35歳になりますからね。いきなり脚が上がる訳でもないし、与えられた中でひとつ、ひとつ頑張るしかない。グランプリにもまた出たい気持ちがあるし、(出場に)近づけるように」 冷え込むバンクで最後に底力を見せた山崎の14年は、1月8日からの名古屋F1で幕を開ける。 後方に置かれた南関ライン。石井が打鐘の3コーナーから前団に襲いかかるが、最終1コーナーで林のブロックで失速。新田康仁は林マークの加藤慎平をキメて好位を奪取。直線で山崎に詰め寄ったが昨年に続く準Vで、悔しそうに天を仰ぐ。 「石井君が出られない最悪のパターンも想定していた。ただ、その時は林君のところに降りて、林君をキメて最後にザキさん(山崎)をゴール前で抜くっていう考えだった。結果的に(加藤)慎平のところに降りるしかなくて。もう1車前でしたね。最善は尽くしたけど…」 林巨人は記念初優出にも臆することなく、持ち前の俊敏な立ち回りを披露。山崎を追いながら、石井を猛ブロックで止めて直線勝負。山崎の踏み直しに合わされ3着も大いに見せ場をメイクした。 「作戦通りといえば、作戦通りでしたね。初めての記念の決勝でも緊張せずにできた。でも、1コーナーで石井さんを張って脚を使っているし、山崎さんが最終バックからもう一度伸びて行って。それで自分の気持ちに余裕がなくなった…」 シリーズの連勝は3でストップ。最終1コーナーで散った石井秀治が唇を噛む。 「(山崎の)番手まくりは頭にあった。もうちょっと自分のスピードがあれば…。山崎君のところまで行けてれば、また違っていたんでしょうけど」 |