『伊東競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:12月12日
 伊東温泉競輪場で開設68周年記念「椿賞争奪戦(GIII)」が、12月13日に4日間シリーズの熱戦の火ぶたを切って落とす。渡邉晴智、渡邉雄太の師弟コンビをはじめ岡村潤、新田康仁の地元勢に郡司浩平、岩本俊介、和田健太郎らの南関勢が、豊富な戦力で他地区を迎え撃つ。12日の前検日は途中から雨も上がり、翌日からの激戦に備えて選手各々が入念な調整を行った。
 本場では開催中の毎日、未確定車券抽選会、専門解説者による予想会とトークショーなどが予定されています。伊東温泉競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

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野口裕史選手
野口裕史選手
 オープニングレースは、野口裕史(写真)に注目が集まる。9月に3場所連続の完全Vで特昇を果たすと、ここまで記念シリーズも含めて好走。今シリーズの初日も、持ち前のパワーを発揮する。
 「ここまでレース間隔が結構空いたので、いっぱい練習ができました。最近は緊張しなくなって、練習のように走れています。慣れてきたところで、33バンクはどういう感じになるか。(距離が)長めでも踏んで、実力を試したいです」
 対するは山本直。多彩な戦法を駆使して、野口にキャリアの差を見せつける。
 「(状態は)いい感じになってきました。楽しみですね。初日は、みんな積極的なので、こっちも動かないと後方に置かれてしまう。なんでもやって、できることをしっかりやりたいです」


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 神田龍は前回の西武園FIで、S級初Vを無傷でゲット。勢いに乗って、今開催も台風の目になるか。
 「(西武園のVは)自分でもビックリしたし、自信になりましたね。(要因は)防府から自転車を戻しました。(中25日の)ここまでは前半に風邪を引いたけど、最後は練習ができました。状態は悪くないので、あとは積極的に行ってどうなるか」
 志佐明は、10月向日町FIでS級初優出。その後は不安定な成績だが、積極的な姿勢は崩していない。
 「(初S級の)今期は、このままいけばS級点も取れそうだし、得るものはありました。今は後ろを引き立てるのが役目だと思っているけど、ただバックを取っているだけと言われないようにしたい。記念も慣れてきたし、33バンクも苦ではないです」


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 このレースの得点最上位は伊代野貴照。しかし、落車からの復帰戦だけに、状態が気になる。
 「怪我は右の腰の打撲です。血が溜まって腫れてしまって。いまも完全に腫れが引いたわけではないけど、自転車には乗ってきました。伊東は出身地なんですよ。初日は酒井(拳蔵)君に任せて。相性は良いと思うので、勝てるように走ってくれたら」
 地元の飯田憲司は、前回の川崎FIで今期の初優出。準決は3着も、強気な先行策で勝ち上がった。
 「前回の川崎は、状態が悪くなかったですね。地元の記念は初めて走ります。でも、ここまで中4日なので、変わったことはやらずに来ました。(目標は)ひとつでも勝ち上がれるようにですね。目の前のレースに集中して、そこからなので」


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 一息の成績が続いていた小原唯志だったが、11月高松FIを222着。続く岐阜FIは634着と精彩を欠いたが、問題ない様子。
 「岐阜はちょっと重くて。(敗因は)体調面ですね。でも、気にしていないです。今回は(状態が)いいと思いますよ。33バンクは(記念の)準決に乗れているイメージがあるし、頑張りたいですね」
 佐藤龍二は、夏からバック数が徐々に増加。仕掛けるポイントで勝負はできている。
 「(バック数が増えているが)体が動いた結果だし、とくに意味はないです。後手を踏まないのがコンセプトなので、前々になんでもやって。ここまでは、あんまり練習ができた感じではなくて、調整程度ですね。(良い状態を)維持できていればいいくらい」



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石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 ここ4場所、勝ち星のない石塚輪太郎(写真)は、優出も10月の奈良FIから遠ざかっているが、自分のスタイルを貫く構えに変わりはない。
 「練習もしているし、いまより点数があったころと比べても脚が落ちているとかはない。結果に結びついてないのが悔しい。選手になってから引退するまでずっと調子がいいっていうこともないんで、我慢の時期かなと思ってます。部品とかも換えてダメだったんで、もう元に戻した。あとは自分のレースをしっかり」
 ベテランの紫原政文は、直近の2場所で連続の準決シンガリ負けに苦笑い。
 「いいようで、悪いようで…。なんとも言えんですね。準決で続けて9着っていうのが。2場所前は仕方がないっていうのがあったけど、前回は悔しかった。(目標が)ダメな時は自分でやるくらいの気持ちでいます。そうじゃないとなんのために練習をしているのかわからない」


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 近況2着が多い工藤文彦は、積極的な仕掛けでラインへの貢献度が高い。
 「最近、先行をするつもりがそれほどないのに、そういう(先行の)形になってますよね。競走が(間隔が)詰まっていて、練習もそれほどできてない。状態もそこまで良くはないんで、(中4日で)疲れを取る程度ですね」
 ここ3場所で2着が2回ある泉谷元樹だが、それ以外は8、9着の大敗と順調とは言い難い。
 「踏んでいる感じは悪くないんですけど、(成績が)近況は悪い。カラ回りをしている。(来期がA級なので)キッカケというか、つながるようにしないと。(初日は)まずは工藤さんを後方に置いてですね」


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 8月のオールスター前の練習中の怪我が尾を引いている高橋陽介は、原因がはっきりしているだけに吹っ切れている様子。
 「怪我をしてから明らかに調子が良くない。(9月の)青森記念はまとめたけど、人の後ろだったりしてまとめられた。時間がたてば良くなってくるのもわかっている。だから、焦ってもしょうがないし、現状は悪いなりに頑張ります」
 朝日勇は前回の岐阜FIで初日落車の憂き目をみて、2日目以降を欠場。中6日の今シリーズで状態はどうか。
 「擦過傷はないけど、打撲の方が…。こればっかりは走ってみないとっていういところもあります。ただ、参加している以上は、大丈夫って自分に言い聞かせておきます」


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吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 吉本卓仁(写真)は競輪祭を83968着。久しぶりのGIに得るものは多かった。
 「(前回の)競輪祭はその時の体が一番いい状態というか、絶好調だったんで悔しいとかはない。ただ、根本的にパワー不足。それを痛感しました。スピードは戻ってきているんですけど、そのスピードに乗せるまで脚をそこまで使わないでとかそういうところですね。昔の良かったころには戻らないんで、その感覚じゃなくて、(新しい自分をつくりあげられるように)しっかりとやっていきたい」
 吉田裕全は、前回の川崎FIの485着が長期欠場から復帰場所。自己ジャッジはどうか。
 「やれたかなていうのが半分ですね。腰の横突起と肩甲骨を折って、肩の方で長引いた。まだ、(肩甲骨に)ネジは入っている。ちょっと踏み出しが厳しいけど、付き切っちゃえば突っ込めるかなっていうのがある。(前の相川永伍は)高校の1個先輩だし、自分も(番手で)できるかぎりやります」


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岩本俊介選手
岩本俊介選手
 競輪祭を68999着。シンガリ3連発の岩本俊介(写真)は、続く岐阜FIを661着と近況は失速気味。
 「(来年の1月に鎖骨骨折で入っている)針金を抜くんで、それが終ればもうちょっと楽になるかなっていうのはある。怪我明けが意外と走れたんで、その反動かなっていうところもある。それに戦法を読まれている。それでも行ける時は行けてたんですけど…。あんまり動きが良くないんじゃないかと」
 来年の1月に50歳の大台を迎える島野浩司は、変わることなく静かに口を開く。
 「来月に50歳になります。(競輪選手は)気持ちの続くかぎり、できるかぎりやりたい。(前回の落車で)フレームがダメになった。気に入ってたのだった。慌てて練習用のフレームを出したんで、セッティングとかは走りながらやっていくしかない」


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鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 積極的な組み立てで前期よりも大幅な競走得点アップを果たした鈴木竜士(写真)が、先行選手としてのプライドを見せる。
 「先行選手なんで。普通の自力っていうよりは、先行選手だって言いたい。しっかりバックを取る競走を。今年の1年ですか? まだ振り返るのは早いでしょ(笑)。(ここで優勝して)記念を獲ったって、振り返ることができればいいですね」
 獲得賞金でグランプリ出場権を争った原田研太朗は、惜しくも次点の10番目。来年に気持ちを切り替える。
 「とりあえず終わったことなんで、気にしてない。気持ちは来年にです。毎年(夏、秋ぐらいが)悪いので、その手前から見つめ直さないと。それにしても今年は悪くすぎた。冬と春がいいんで、仕切り直しです」
 和田健太郎は前回の競輪祭で落車に見舞われるも、最終日を白星で締めた。
 「怪我自体は、たいしたことはなかった。だけど、フレームがダメになったのは痛かった。前に使ってたフレームを持ってきたけど、根本的には一緒。セッティングもそれなりに出ていると思います」


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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)は、ホームバンクの川崎FIを211着でV獲り。中4日で今シリーズに乗り込んできた。
 「前回はとくべつ調子がいいってわけじゃなかった。ただ、その前の競輪祭がパッとしなかったんで悔しかった。(川崎は)自分で思った以上にいいレースができた。ここは結構、呼んでもらっているし、責任ある仕掛けをしたい」
 競輪祭、四日市記念と未勝利に終わっている竹内雄作は、そこから中7日。一戦、一戦を大事に来年に向けて積み重ねる。
 「走っている方が自分に足りないものもわかるんで、(ローテーションは)しんどいけどいいですね。疲労もあったんで、しっかり休んでから練習をしました」
 渡部哲男は、10月の寛仁親王牌の落車による怪我で長期欠場を余儀なくされた。2カ月以上ぶりの実戦は、いきなり単騎を選択した。
 「前橋に2週間(入院して)いたし、(復帰に)2カ月掛かりました。モガけたのは、競輪祭をやってるころですね。まだ6割くらいの感じがするけど、あと3、4割を求めたらすごい時間が掛かるし、実戦じゃなきゃわからないところもある」


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渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 5月の名古屋で記念初制覇を飾った渡邉雄太が、師匠の渡邉晴智とのセットでシリーズのスタートを切る。
 「力を出し切れるように走りたい。(伊東は)たまに走りやすい感じがある。(練習は)計画的にできたし、しっかりやってこられました」
 渡邉晴智(写真)は、前回の競輪祭88849着と一息。伸びを欠いていた印象が強い。
 「競輪祭ですか? あれが実力ですよ。ただ、前回よりは全然いいと思う。やれるだけのことはやってきた」
 吉田敏洋は、前回の四日市記念の初日に落車。しかしながら、最終日まで走り抜き2勝をマークした。
 「擦過傷はそんなにたいしたことはなかったけど、いくらスピードが出てなかったとはいえ、地面に落ちているんで。無理をしないように練習をしてきました。(初日は)いい位置が取れるほど器用じゃないんで、距離が長くなっても後手は踏まないように」