『一宮競輪開設56周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月27日


 一宮競輪、開場56周年記念「毛織王冠争奪戦」の最終日は生憎の雨模様に。 小嶋敬二、山崎芳仁の自力型二大巨塔が欠場した今シリーズ。勝ち上がり段階から激しいレースの連続だったが、最終的に混戦を制し栄冠を手にしたのは果たして…。

決勝戦ダイジェスト

 スタートで山内卓也が飛び出し誘導員の後ろに付ける。志智俊夫―山口富生が上昇して山内の前に入り、中部勢が前攻めとなる。中団に佐々木則幸―小野俊之―国村洋、白戸淳太郎―鈴木誠―後閑信一の東軍が後方待機で周回が進む。赤板前から白戸が踏み上げて正攻法の志智を押さえる。志智は車を下げるが、中団の内で止まり、志智―山口―山内の外に佐々木―小野―国村で併走状態となる。誘導を使いながら後続の出方を窺っていた白戸だが、打鐘過ぎの三角で佐々木が外併走から猛然とスパート。飛び付き狙いで懸命に踏む白戸だが、小野までは出切られて、国村との併走状態で最終ホームを通過。多少もつれたところで志智が渾身の力をこめて巻き返しを図るが、三番手を取り切った白戸とのからみ合いもありスピードの乗りは今ひとつ。軽く志智を牽制した小野が、ゴール前で一気に伸び切り9月向日町記念以来の記念Vを決めた。2着には四角から絶妙に内を突き、最後は佐々木と小野の中を強襲した鈴木。3着は外を踏み込んだ後閑が入った。

 

小野俊之選手
小野 俊之選手

 後半レースから降り出した雨は激しさを増し、決勝戦の号砲を迎えたときには大粒に雨に。この視界が狭い悪条件のなか、「毛織王冠争奪戦」を制したのは、逃げる佐々木則幸に乗った小野俊之だった。検車場に引き揚げてくるなり開口一番に「今日はノリが頑張ってくれたおかげ」と、プレッシャーから解き放たれたからか、常に精悍な表情の小野だが、このときばかりは顔が緩んだ。
  「レース前、オッズをみたら1番人気。そのプレッシャーに打ち勝つことこそがプロとしての使命だから、勝てて良かったしホッとしている。レースに関しては、後ろから来たまくりを全部止めようと思ってたけど、誰も来なかった。付いていて、まだまだノリは踏める感じだったから、ノリとの車間と、抜く間合いに気を付けました。展開としては最高の形でしたね」
  地元・別府記念直後ということもあり、気持ちの維持が心配された今開催だった。
  「脚は落ちていなかったけど、今回はやっぱり精神的な疲れがあった。地元記念だけは強い意気込みがあっただけに。そういう中で日に日に集中力を上げていくのは難しかった。でも、もう吹っ切れたし、アタマを獲るレースができているから、あとは次の全日本で着が付いてくれば万々歳ですね」と、すでに照準は全日本選抜に向いている。

 絶妙のタイミングで仕掛けた佐々木則幸だったが、ゴール前でまさかの失速で4着に。今回は体調が響いたようだ。
  「展開は悪くなかったし、せめて3着には残りたかったけど、いかんせんこの調子ではね。もう少し調子が良かったら、小野とゴール前好勝負ができたかも。次(全日本選抜)は中3日だから何とも言えないけど、出るからには頑張る」

 2着には、間隙を縫い直線鋭く伸びた鈴木誠が入った。
  「雨が降って視界が悪かったし、最後に見てしまった分、仕掛けがワンテンポ遅れた。晴れていればもう少し面白かったと思う。でも、今回は結果を残せたし、次に繋がるレースができた」

 3着の後閑信一も今回は大きな収穫を得た開催となった。
  「色々と夜遅くまでセッティングをいじった甲斐があった。決勝も伸びはバッチリだったし、良い勝負ができた」

 一方、まくれず8着の志智俊夫は「佐々木君が行くのが遅かったし、白戸君が粘ったと思っていた。隊列が長くなっていて、予想以上にモガく距離が長くなってしまった」

 ゴール前で落車した白戸淳太郎だったが、幸い怪我は打撲程度。中途半端な競走を悔やんだ。
  「引くなら引く、三番手をやるならしっかりとキメないと。こんなレースでは記念は絶対に獲れませんよね」
 
  地元の山内卓也も悔しさが隠せない。
  「落車続きでどうも自分の調子がつかみきれていない。自分で何とかできるくらいの調子なら、一丸(安貴)さんだって決勝に乗れていたはずなのに…」と先輩を気遣う。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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