『一宮競輪開場60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月23日


 11月20日からはじまった一宮競輪開場60周年記念「毛織王冠争奪戦」は、本日23日で4日間の全日程を終了した。注目の決勝は強烈な向かい風のなかを深谷知広がまくり、直線で金子貴志が追い込んで優勝した。

決勝戦 レース経過
 牽制状態のスタートから深谷知広が意を決して出て前受け態勢。深谷―金子貴志―服部竜二、小嶋敬二―山口幸二、川村晃司―村上博幸、坂本亮馬―有坂直樹で並びは落ち着いた。
 青板バックで早くも川村が上昇を開始。3コーナーで川村が前団まで上がると、深谷は車を下げて、正攻法の位置が川村に変わる。赤板から今度は小嶋が動いて前団に上がりかけるが、川村は1コーナーで誘導を交わして思い切り突っ張る。ペースが上がって、小嶋は中団五番手の位置に戻ってしまい、代わって打鐘から仕掛けようとした深谷も結局また七番手に下がる。しかし、目一杯飛ばして行く川村に対し、深谷は最終ホーム手前から反撃に出る。強烈な掛かりの川村の前に最初は思うように車が出なかった深谷だが、1コーナー辺りからグングンと加速。川村の番手から村上も外を牽制しつつ懸命に前に踏み込んで行くが、深谷はこれを全く問題にせず、バック手前で前団を飲み込んだ。深谷には金子、服部と続いて直線へ。さすがに一杯となった深谷を直線半ばで交わした金子が久々の記念Vを奪取。金子の内に入った服部はコースが詰まって伸びを欠き、2センターで愛知勢に切り替え、直線外を踏み込んだ坂本が、金子と僅差の2着に突っ込んだ。


金子貴志選手
金子貴志選手
 美しい師弟愛。開催はドラマチックな結末で幕を下ろした。レース前の作戦とは全く異なる展開となったものの、弟子の死力を尽くしたまくりに乗り、師匠である金子貴志が2年ぶりの記念優勝を手にした。
 「今日は後ろ攻めの作戦だったし、自分の仕事に集中しようと思ってました。もしかして坂本(亮馬)に粘られるかと思ってたけど、そうなったら勝負するしかないと。展開は違ったけど、小嶋(敬二)さんが赤板で行ってくれたし、深谷も頑張って行ってくれたおかげです。バックでは(村上)博幸と坂本も出てきそうだったけど、自分は前しか見てなかった。記念の優勝は久しぶりだし嬉しいですね」
 今節は一宮をホームとする「地元の人達に貢献できれば」と前検日に言っていただけに、「自分にたまたま良い流れになったんで。これも皆のおかげです」と、最後は金子らしく、仲間への気遣いも忘れない。
 次は大一番の競輪祭。「競輪祭はまずは勝ち上がらないといけない」と、初戦に集中する。「たくさん後輩が出てきてるし、今回みたいなときは番手で頑張るけど、自分もまだ自力が出るうちは前で戦いたい。愛知も皆頑張ってるんで、自分も遅れないようにしないと」と、この優勝を機に今一度気を引き締める。

 坂本亮馬は直線で鋭く迫ったが2着まで。
 「この風だし自分から押さえに行くつもりはなかった。中団を取れたけど、まくりに行ったら深谷に絶好の展開になってしまうんで出られなかった。あとは村上さんが止めてくれるのを期待したけど。体の状態が悪かっただけに今日は苦しかったですね。でも、今回は2次予選で負けて帰ってたかもしれないくらいだったんで、決勝に乗れて2着はやった方でしょう」

 3着の服部竜二は金子とワン・ツーならずで「ちょっと内に差しこみ過ぎたかな」と悔しがる。「今日は風がすごかったんで付いていくだけで必死だった。深谷が強かったし、ものすごくキツかった。でも、この3着は大きいし、今後に励みになる」。

 深谷知広は最後は脚が一杯。引き揚げてくるなり床に倒れ込んだ。
 「後ろ攻めのイメージしかなかったんで焦りました。もう少し早く出てれば小嶋さんにも迷惑をかけずに済んだんですけどね。苦しかったけど出切れたんで、3コーナーでは一瞬夢を見たし、ラインで決まったかと思ったんですけど、最後はもう一杯でした」

 小嶋敬二は川村に追い出しをかけたが、その後は仕掛けどころなく終わった。
 「この風だったしキツかったね。なるべく深谷の邪魔はしないように仕掛けよう思ってたけど、一杯だったし何もできなかった。(SS班残留のため)賞金を上積みしたかったけど、最後の競輪祭に賭けます。今までの不振は何だったんだって思うくらい今は調子が良いんで、次こそは頑張ります」

 村上博幸は番手まくりで応酬したが、後続に飲まれた。
 「今日は(川村)晃司さんが先行して自分が番手でどう対処するかのレースだったけど。風が強くて条件が悪すぎたし、ラインが2車だったし。今日は策がなかったですね」


ゴール




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