『一宮競輪開場63周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月28日
 一宮競輪場を舞台に開催されている開場63周年記念「毛織王冠争奪戦(G3)」は、シリーズも後半戦の3日目に突入。メーンの準決3個レースでの戦いは、熾烈を極めた。順当に準決へとコマを進めた浅井康太、岡田征陽、長塚智広のSS班3人はそろってファイナルへ。また、新田祐大、地元の山内卓也も勝ち上がり、決勝は豪華な顔ぶれとなった。いよいよ最終日の29日に、毛織王冠をかけ号砲が鳴らされる。
 本場では、スピードくじで豪華景品が抽選で当たるプレゼントを行っています。29日の最終日は先着3000人にスピードくじを配布。「ニンテンドー3DS LL」、「ケイリンマン時計」などが抽選で当たります。また、「伴ちはる」演歌ショー、スペシャルトークショーとして「高橋健二氏、美行氏 来る!」(友情出演 中野浩一氏)などのイベントも予定されています。ぜひ、一宮競輪場へ足をお運びください。
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北津留翼選手
北津留翼選手
松岡健介選手
松岡健介選手
 打鐘を目がけて勢い良く出た泉利和が、松岡健介を連れて主導権。近畿勢の後ろをキープした北津留翼(写真)は、絶好のポジションも最終2コーナーで浅井康太にかぶって仕掛けられない。4コーナーでは苦し紛れに、松岡の内を突き審議対象。セーフ判定の3着で、北津留の顔に笑顔が戻った。
 「(松岡の)番手発進もあるかと思って、あの位置になりました。僕も最終ホームのゆるんだところで仕掛けて行けばよかったけど…。もうちょっと脚があれば、浅井さんが来る前に仕掛けられた。今日は不完全燃焼です」
 松岡健介(写真)は別線の反撃を警戒しながら、最終2コーナーから番手まくり。果敢に風を切った泉の意気に応えて、浅井との踏み合いを制した。
 「(最終)1コーナーでゆるんだところを浅井君が来ると思ったし。浅井君が来たのを見てから自分が踏んだんじゃ絶対間に合わない。(浅井に)飲み込まれてしまうんで、踏ませてもらいました。自分も出てペースだったけど、すぐに浅井君が来たし。すごいスピードだった。行かれたと思ったけど、余裕があったし。なんとか凌げました」
 打鐘過ぎに飛び付いた浅井康太は、4番手を奪取。タイミングを逃さずまくりで前団に襲い掛かると、松岡との壮絶な踏み合いを演じて2着。納得の顔で汗をぬぐう。
 「(もつれていた)後ろがどうなっているかは、わからなかったですね。そこからは無理やり仕掛けた。3コーナーでは寄りすぎて、(松岡に)ぶつかりかけてしまった。あれがなかったらもっといい勝負になっていたと思います。(状態的には)まだまだだけど。力を出し切っての2着なんで」
 浅井の後ろを磯田旭に明け渡した柴崎俊光が、肩を落とす。
 「相手も自力の選手だし、(内から)復活してきますよね。浅井君の番手を死守できなかった、きつかった…」

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新田祐大選手
新田祐大選手
岡田征陽選手
岡田征陽選手
 打鐘では先行態勢を取った中村一将―西岡正一の後ろがすんなりと転がり込んできた新田祐大(写真)だったが、2センターで別線の福岡の2人に内、外を行かれて、6番手からの立て直しを余儀なくされた。しかしながら、終わってみれば、次元の違うまくりで圧勝。
 「中村さんが駆け始めている時に、内と外と両方から来られてしまった。最悪の展開になった。あれで近藤(隆司)さんにまで来られたら、さらに難しいレースになったと思う。そこからは行けるところから仕掛けて、3コーナーあたりで先頭に立ったんで(岡田征陽と)ラインで決まった。初日、2日目とすごい風の中で同じような仕掛けをしていたんで、今日は楽だったですね」
 最終1センターから踏み込んだ新田に一瞬遅れた岡田征陽(写真)は、新田の強さに舌を巻いてクールダウン。
 「(新田は)最終ホームくらいまでずっとバックを踏んで、流れのないところから踏み出している。新田君は本当に強かったですね。自分はいい勉強になりました。あれを成田(和也)さんとか、今回で言えば長塚(智広)さんとかは抜くんだからすごい。逆にそのくらいの脚がないとタイトルは獲れない」
 新田、岡田の2人には行かれたものの、西岡正一は小川勇介の猛追を抑えて3着で決勝に進出。
 「中村さんはよく掛かっていた。小川君がまくれないくらいだから。(自分たちのラインで)決まったと思ったんですけど…。新田君じゃなかったら、来れてなかったと。最近は気持ちの余裕が出てきたし、落ち着いて走れるようになった。それがこうやって記念の決勝とかに、乗れるようになってきたんじゃないかと思っています」と、規格外の新田のパワーを西岡が振り返る。

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池田勇人選手
池田勇人選手
山内卓也選手
山内卓也選手
 西谷岳文が出た上を池田勇人(写真)が、打鐘で押さえて先行態勢を取る。関東勢にとっては理想的な流れ。長塚智広の大仕事もあって別線を完封した池田が華麗に逃げ切りを決めた。
 「自分たちにとってはあれが一番いいレース形態だった。スタートで中団を取れたのも大きかったですね。今日は風がなかったし、昨日で長い距離を踏んでいるからその分は楽でした。最近はこういうメンバーで走れるんで、すごい刺激になる。その中で勝負もできているから、状態も悪くないです」
 長塚智広は池田の番手で大立ち回り。吉田敏洋の反撃を猛ブロックで止めると、今度は内をすくった山内卓也の体当たりを凌いで2着キープ。山内が辛くも3着で決勝に進んだが、地元勢の大きな壁となって立ちはだかった。
 「池田君が強いから、自分が(後ろで仕事を)できるんで。今日は番手に付きがいがあった。池田君の気迫に引っ張られましたね」
 打鐘の4コーナーから反撃に出た吉田敏洋だったが、長塚の再三に渡るけん制で不発。
 「高原(仁志)君が斬りこんで行ったところを、同時に自分も(仕掛けて)行ったけど…。あれじゃ長塚さんどうのこうのじゃなくて、出られない」
 山内卓也(写真)は苦渋の選択で、最終2コーナーで関東ライン後位にスイッチ。4コーナーでは長塚を弾くも、最後は立て直した長塚に差し返されて3着。
 「デキが良くて決勝に乗ったんじゃないんで…。自分ではもっとスムーズにと思ったけど。苦戦しましたね。なんとか決勝に乗った感じです、最低のラインですから。今日も3番手を先に入って、(吉田を)迎え入れたかったけど内に(吉原友彦が)来てたんで…」
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