『名古屋競輪開場72周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:3月5日

 名古屋競輪場で開催されている開場72周年記念「金鯱賞争奪戦(GIII)」は、3月5日に3日目が行われた。準決バトルは熾烈を極め、3個レースともに激戦が繰り広げられた。松浦悠士は二次予選からの連勝で決勝に進んだが、もう1人のS級S班、清水裕友は7着で敗退した。3月6日の最終日には、シリーズを勝ち抜いた9選手による決勝戦が行われる。また、9レースでは「第119回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」が一発勝負で争われる。在所ナンバーワンの犬伏湧也をはじめ、中四国地区から5人が出場するレースは、将来のS級S班が見込まれる有望な選手もいて目が離せない。
 なお、本場では、開催を通して近藤幸徳さんをはじめとした愛知支部OB予想会、山口幸二さん予想会が毎日予定されていますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<10R>

高橋和也選手
高橋和也選手

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 初手中団の渡邉雄太が、藤井侑吾に合わせるように切って先頭へ。一瞬仕掛けを待った藤井だが、竹内翼が内を踏んだところを赤板2コーナーから一気に叩いて先制を決める。藤井が隊列を一本棒にして駆け、番手の高橋和也(写真)は車間を切る。5番手から渡邉がまくるが、高橋は大きく外に張ってけん制する。落ち着いて踏み込んだ高橋が抜け出し、地元記念の決勝に1着で駒を進めた。
 「自分がうまく走れれば藤井君と決められた。(打鐘前に)中団がゴチャついていたし、藤井君が落ち着いていた。すごい掛かりだった。藤井君がすごいやる気で、なんとか援護できればと思っていた。自分は付いているだけで全部やってくれた。3日間番手は初めて。感じ自体はすごくいい。名古屋記念は4年振りで、(吉田)敏洋さんと笠松(信幸)さんが欠場で、地元でなんとかしたいって今まで以上に思っていたので決勝に乗れて良かった」
 赤板で中団から切った渡邉雄太(写真)は、打鐘前に竹内に内を狙われるがしっかりと締め込んで中団をキープ。まくりで2着に入った。
 「(赤板で)4番(藤井)が外で止まったのでどうしようかと思った。1番(竹内)がどうするかだったけど、しゃくってきたのでそこだけ気を付ければ中団は取れるなと思った。もうちょい早めに仕掛けていれば直線で届いたかな。(最終)3コーナーでもう1回伸びたし、いけるなって思ったんですけどね。初日だけキツいレースだったんですけど、展開は読めているような気がする」
 渡邉マークの小原太樹は直線で中のコースを踏むが、接触して車体故障を起こしてしまう。外を踏んでいた渡邉ライン3番手の内藤宣彦が、3着に突っ込んだ。
 「(小原の車体故障で)僕は3着繰り上がりみたいな感じだし複雑ですね。小原君が中にいったので、外しかコースがなかった。決勝に乗れているので調子はいいとは思うけど、前次第ですね」

<11R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手

伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 前受けから6番手に下げ切った眞杉匠(写真)は、打鐘手前から巻き返す。眞杉が松岡篤哉を叩き切り、マークした阿部力也、伏見俊昭まで3車で出切る。眞杉の掛かりは抜群で、近藤龍徳をさばいて5番手からまくった清水も不発。番手から迫った阿部力也の追撃も振り切り、眞杉が末良く逃げ切った。
 「(初手は)中団からが良かったんですけど、誰も来なかったので。普通に押さえに来たら突っ張ろうと思っていたんですけど、しっかりと切りに来たので引きました。ギア板を変えてちょっと重いかなって思うんですけど、レースがいいので大丈夫だと思います。昨日(2日目)よりも今日の方が踏み抜けたと思います。しっかりクールダウンをして決勝も頑張りたい」
 2着の阿部力也は、眞杉の強さに舌を巻いた。
 「強いっすね。もうその一言しか出ないですね。付いていくのも正直、ギリギリでした。あおりを作られたら厳しかったかもしれないですね。でも、なんとか付いていけた。2日目までよりは伸びはいいと思うんですけど、あれは差せないですよ。結局、セッティングはいじらずにフォームを意識してやっています」
 伏見俊昭(写真)がしっかりと内を締めて3着に続いた。
 「(スタートで)けん制が入ったので前からになりましたね。突っ張るか引いてカマしになると思っていたので、仕掛けるポイントだけに集中していました。ジャン(打鐘)のカマシのスピードはすごかったですね。これが超一っていうスピードでした。あれができるのは脇本(雄太)君か、眞杉君くらいだと思います。自分のところまでは出切れたので3番手の仕事として内だけは空けないように。入ってくる選手も多いので、そこだけはしっかり。日ごとに良くなってきていますね」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 切った松浦悠士(写真)と小川真太郎の間を踏んで、スローペースのまま隅田洋介が前に出る。石塚輪太郎が打鐘でカマして、松浦は7番手に置かれる展開。松浦が最終2コーナー手前からまくると、4番手から隅田が合わせるように出る。松浦は隅田マークの鈴木竜士とからんだが、2センターで隅田の外を踏み込む。ゴール前は横一線の争いも、制したのは松浦だった。
 「スタートは前か後ろだなと思っていました。後ろなら切ってから考えてと。打鐘前に中を割られたのが想定外で7番手になってしまった。前の様子はわからなかったけど、さすがに遠いし、掛かりも良かったので追い付いたタイミングですかさずいかないと厳しかった。なんとか届いた感じですし、正直、(小川との)ワンツーは信じられない。余裕はなかったけど(隅田の後ろで)1回休まないとどうにもならないと思った。隅田さんの加速を使えたのが大きかったですね。苦しい展開で、届かないと思ったところからの1着なので調子はいいです。いつもはああいう展開の時に立ち遅れることが多いんですけど、前と車間も空かなかったし、ダッシュも良かった」
 松浦を追ってさらにその外を踏んだ小川真太郎(写真)は、タイヤ差届かず2着。
 「スタートも取れなかったし、全部松浦さんが仕留めてくれた。(鈴木と松浦がからんだところで)怯んで車間を空けてしまった。気にせずに付いていけば抜けたと思う。(松浦の番手で)すごい勉強になった。自分でやっても、人の後ろでも感じはいいです」
 東口善朋は、石塚の番手から隅田を外に張りつつ前に踏んで3着に入った。
 「2車だったので中団からすんなり先行しても3番手を取られるし、他に脚を使わせたかったので前からになった。石塚君は冷静だったけど、僕がバタバタしてうまく付いていけなかった。隅田君をブロックしつつ踏んでいかないといけなかったし、それぐらいのスピード差だった。周りは見えているし判断もできている。もう少し伸びが欲しいけど調子は悪くない」

<最終日9R ルーキーチャンピオンレース>



犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 119期ナンバーワンの犬伏湧也(写真)は、すでにS級でも大活躍。直前の2月四日市FIでは2度目のS級優勝をつかみ、断然の実績を引っさげて登場する。ここは四国3車の先頭を買って出た。
 「しっかりラインで決められていることが多いし、先行もできているので(S級の)ペースをつかめてきたかな。まだ航続距離を伸ばしていきたいし、レースの流れをつかみたい。経験値を増やしていきたいですね。(今の目標は)GIに出られるように頑張りたい。四国は3人いるし、ラインを組んで頑張りたかった。後ろに付いてもらえるので頑張りたい」
 犬伏の番手は上野雅彦が務める。ヨコの動きも苦にしないタイプなだけに、しっかりとマークしてラインを機能させたいところだ。
 「S級に上がるのが目標だったんですけど、こんなにすんなりと上がれると思っていなくて、どう走るかもあやふやだった。最近はやっと前々に走れるようになってきた。もっと全体的に底上げしていきたい。S級はA級と違って、駆ける選手も嫌な駆け方をしてくるし、そういうところで気持ちを入れて走らないと。ルーキーシリーズで人の後ろを回ったことがある。狙われる位置だと思うし、迷惑を掛けないように」
 山根将太も戦いの舞台をS級に移している内の一人。1月豊橋記念では2勝を挙げ、前回、小倉FIの準決では、原田研太朗の連勝を止める金星を挙げた。
 「ちょっとずつ良くなってきたし、走れているかなって感じはする。でも、全体的に足りていないので、まだまだ課題だらけ。(明日は)橋本(凌汰)君に任せます。橋本君とはよく一緒に練習しています。人の後ろは初めてです」