『名古屋競輪開場72周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月6日

 名古屋競輪場開場72周年記念「金鯱賞争奪戦(GIII)」は、3月6日にが最終日が行われた。決勝戦は、眞杉匠が、S班の松浦悠士らの反撃を封じて堂々の逃げ切り。嬉しい記念初優勝を果たした。なお、9レースで争われた「第119回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」は、在所ナンバーワンでデビュー後の実績も最上位の犬伏湧也が人気に応えるまくりで伝統の一戦を制した。

決勝戦 レース経過

 号砲で阿部力也が飛び出し、松浦悠士が追う。眞杉匠-阿部-伏見俊昭、松浦-小川真太郎、東口善朋、高橋和也、渡邉雄太-内藤宣彦で並びは落ち着いて周回を重ねる。
 青板4コーナーで渡邉が動き出し、赤板1コーナーで眞杉を交わして先頭に立った。松浦が3番手に切り替え、単騎勢はそのまま中四国コンビの後ろに続く。7番手に引いた眞杉だったが、打鐘と同時に巻き返しを開始。合わせてペースを上げる渡邉を最終ホーム手前で叩き切った眞杉の先行態勢となり、阿部、伏見のコンビもしっかり続く。松浦は眞杉ライン3車を行かせて4番手にスイッチ。そして松浦は2コーナーからまくり勝負にいく。だが、眞杉は掛かっていて、松浦は3コーナー入り口で阿部のブロックを受けてスピードが止まる。直線に入ると、松浦は伏見と接触して落車し、高橋、内藤も巻き込まれる。後ろのアクシデントを尻目に快調に逃げた眞杉は、渾身の力で抜きに来る阿部を制して押し切り、記念初Vを達成した。


眞杉匠選手
眞杉匠選手

 眞杉匠(写真)が、逃げ切りで記念を初制覇。関東のニュースターが、強敵を打ち倒した。
 阿部力也がスタートを取って、眞杉ラインは前受けがかなった。赤板で切った渡邉雄太ラインを松浦悠士が追い、すんなり車を下げた眞杉は7番手。残り1周半からスパートした眞杉は、あっという間に渡邉を叩き切った。
 「車番が悪かったので、初手は前か後ろだったんですけど、後ろよりは前の方がいいなと思って。先行争いにはならないなと思ったし、3人で出切れてペースに入れられた。昨日(準決)と変わらず、同じような感じのレースでしたね」
 最終ホームで松浦が眞杉ラインにスイッチし、追い付きざまにまくり上げていく。相手はS班だとしても「最終ホームからは後ろは見てません」と言うように、出切ってからは己との戦いだった。松浦のまくりは阿部のブロックもあって失速する。内に降りようとした松浦と伏見俊昭が接触し、松浦が落車。内藤宣彦と高橋和也も乗り上げてしまう。番手から迫る阿部の追撃を振り切った眞杉が1着でゴールした。
 「ゴール前で接触した音が聞こえて、先頭でゴールしたけどドキドキだった。(優勝を確信したのは決定の)発表を聞いたときです。(審議は)自分は違うだろうなと思ったけど、ゴールした時は(優勝が)俺でいいのかなって感じでした」
 初々しい笑顔でレースを振り返ったが、今節の強さは圧巻の一言。初日特選では単騎まくりで中国S班コンビを破り、準決では清水裕友から、決勝では松浦から逃げ切った。今節からギア板を変えて挑んでいたが、それが大当たりだったようだ。
 「変えたギアがいいですね。周回とかの速度だと引っ掛かりがある感じで重いんですけど、スピードに乗ってからは軽く感じる」
 昨年のダービーで初めてGI決勝に進出。実力を考えれば、いつGIIIを獲ってもおかしくなかった。この直後には、地元でのGIIが待っている。
 「これで良い流れでウィナーズカップに行けるのでよかった。坂井(洋)さんに追いつけました。坂井さんは練習仲間。ライバルだけど、(坂井が)記念を獲った時は自分も嬉しかった。ウィナーズで一緒に走りたいし連係したい」
 最高の流れで地元でのビッグレースを迎えられる。眞杉のこの優勝は、栃木勢、さらには関東全体に大きな追い風になりそうだ。

 松浦をブロックした阿部力也は、返す刀で眞杉を抜きにかかる。だが、眞杉の強靭な踏み直しの前に差し切るには至らず。
 「悔しいっすね。嬉しいけど悔しい方が大きい。絶対抜くと思って意気込んでたけど、昨日(準決)よりも掛かっていた。ゴール前勝負にもならなかった。(眞杉は)4コーナーでまた加速していった。なにもかもが足りない」

 眞杉ライン3番手の伏見俊昭が、内を締めて3着に続いた。
 「いや、強い。昨日(準決)もそうだったけど、強い。松浦君が降りてくると思って、そこだけしのがないとって思っていた。落車はあったけど(ライン)3人で決まってよかった」





ルーキーチャンピオンレース

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手

 在所1位の犬伏湧也(写真)が、一発勝負を制して同期の頂点に立った。レースは、岡山コンビが前を取り、単騎の志田龍星が続く。犬伏は4番手のポジショニング。後方の単騎勢に動きはなく、誘導と車間を空けた橋本凌汰が打鐘から一気にスパートする。上杉嘉槻が8番手から巻き返すが、それでも犬伏は冷静に構えたまま。犬伏は志田龍星が仕掛けた上を、最終バック付近からまくって飲み込んでいく。力でねじ伏せた犬伏が4コーナーで出切って勝負あり。四国ラインの2人を連れ込み、ゴール後は喜びを噛みしめるように拳を握った。
 「初手の位置は作戦通りでしたね。中団が欲しかったので。(別線は)多分僕たちのことを見てって感じになると思ったので。あおりが凄かったですね。ホームで上杉君が来て、出ようか迷ったんですけど、ひと呼吸入れようと思った。まくりに構えてもいけるかなって思った。でも、結構しんどくて届くかなって感じでしたけど、最後の下りで抜けるなって感じだった。本当にラインで決まったのが嬉しいですね。後輩が付いてくれて、まくりの形にはなったんですけど3人で決まったので。(この喜びは)師匠(阿竹智史)と大師匠(小倉竜二)に伝えたいですね。あと、練習仲間にも伝えたいです。本当にラインのおかげだと思っている。後ろについてくれた分、前との距離も短くなってくれたので。(次の目標は)やっぱりGIに出たい。まだまだレベルを上げないとですけど頑張っていきたい」

 犬伏マークの上野雅彦は、口が空きながらも懸命に追い掛けて2着に入った。
 「(犬伏は)めちゃめちゃ強かったです。レースはあんな感じになると思っていた。風も強いし単騎の選手も多かったので。動くとしたら山根さんラインかなって思っていた。犬伏さんがどうするかなって思っていたんですけど、本当に強いので信頼していました。(最終)1センターで浮いたので内を締めるか迷ったんですけど、バックで行っちゃうなって思った。3コーナーはきつかったですね。次はしっかり犬伏さんの前で頑張れるように。前でしっかり引っ張っていけるようになりたい。(今後の目標は)石原(颯)さんにも言われているんですけど、そろそろ決勝に乗りたいですね」

 上杉嘉槻は単騎ながら8番手から仕掛けて一度は先頭まで出切った。最後は飲み込まれて8着も、見せ場は十分に作った。
 「どこかではいかないとと思っていました。(打鐘過ぎ)2センターの風もすごかったし、ホームでかなりブワって風を受けたんですけど、なんとかいけるところまでいこうと思った。結果は8着でしたけど、このルーチャン(ルーキーチャンピオン)の舞台で最終バックを取れたことは次につながると思う」




大垣競輪開設69周年記念「水都大垣杯」が、3月10日~13日の日程で開催されます。
本開催では、S級S班から平原康多、郡司浩平、守澤太志の3名が出場予定で、地元岐阜県からは、竹内雄作、長尾拳太、山口拳矢、山口富生、谷田泰平、橋本優己らが参戦予定です。
SS班は強力ですが地元戦にめっぽう強い山口拳矢を筆頭に、黒沢征治や上田尭弥、佐々木悠葵、前走高知でGIII初出場初優勝を飾った阿部将大といった若手の一発にも期待です。
GIIウィナーズカップを占う意味でも目が離せない4日間になりそうです。

3月1日時点の出場予定選手データを分析した、「大垣記念GIII 水都大垣杯」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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