『名古屋競輪開場60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:3月30日


 名古屋競輪開場60周年記念「金鯱賞争奪戦」が3月27日~30日の日程で行われ、4日間の日程を終了した。
 地元のエース・吉田敏洋は準決勝で敗退したため、決勝はSS班の永井清史、加藤慎平の闘心會コンビに人気が集中。レースは永井の先行に乗り、加藤が直線で抜け出し6度の記念優勝を遂げた。

決勝戦 レース経過
 号砲と同時に大薗宏が勢い良く飛び出してスタートを取る。隊列は吉本卓仁―兵藤一也―大薗のラインが前団、永井清史―加藤慎平―笠松信幸で中団を形成、菅田壱道―斉藤正剛―遠澤健二が後攻めの形で落ち着く。
 赤板で菅田がゆっくり上昇。前受けの吉本はすんなり車を下げ、菅田が誘導員の後位に入る。吉本と中団併走になった永井は打鐘で一気に仕掛けて主導権を奪う。菅田は難なく4番手を確保し、吉本は7番手に置かれる。永井は後続の出方を確認しながら徐々にペースアップ。1列棒状の態勢で最終ホームを通過。バックから菅田がまくり上げるも車の出はいまひとつ。番手絶好となった加藤が菅田をけん制しながら直線鋭く追い込み、今年初優勝を飾った。地元の笠松が2着に流れ込み、中部ワンツー決着。兵藤が吉本マークから3着に突っ込んだ。先行した永井はゴール前で末を欠いて4着。


加藤 慎平選手
加藤慎平選手
 チャレンジャーの菅田壱道、吉本卓仁が格上の永井清史にどのような作戦で挑むのか。若手2人の出方が注目されたが、レースは菅田が押さえたところを永井がすんなり先行する意外な展開に。こうなったら巻き返しは不可能だ。加藤慎平が番手無風で4コーナーを立ち上がると、直線で追い込んで優勝した。
 「今日はメンバー構成的にも自分が1番車でどこでも取れるし、どこからでも力勝負ができると思っていた。永井の掛かりは良かったし、菅田が大分外を踏んで来たけど3コーナーに入るところだったから止まるかと。あとは兵藤が下りてくるから内を締めてました。4コーナーまでしっかり締めてたけど、締め込み過ぎて永井とハウスしてしまった。今日の展開で獲れないんじゃダメだし、しっかりと優勝できたんで嬉しいですよ」

 優勝の立役者である永井には「今日は全てアイツのおかげ。頑張ってくれました」と後輩の労をねぎらうが、一方で「1周先行くらいなら俺から逃げ切って欲しい」と、厳しい言葉をかける場面も。信頼する後輩に期待をしているがゆえの言葉だ。「永井には求めるものが大きいし、G1とか上で一緒に戦っていくためには俺が『コイツは抜けん』というくらいになって欲しい」。

 笠松信幸はしっかりとマークして2着。準決に続き、前の2人の強さを実感した。
 「今回は車が流れてるし、永井の掛かりが普通の人とは違うからギアを(4.08に)掛けました。内をしっかり締めて、中を割ろうとか考えずに外を思いっ切り踏んだんだけどね。前が強かったですよ。でも、自分もこれが良い経験になったし、また一戦一戦頑張ろうという気持ちになりました」
 永井清史はゴール直前でわすかに失速し、4着に沈んだ。
 「初手は中団で、押さえた所をすかさず仕掛けようと思ってました。菅田君は蓋をしてくるかと思ったけど、すんなり出させて貰えましたね。ペースで掛けられたけど、最後にハウスされてひるんでしまった。しっかり踏んでいればと思うと悔しいですね」
 菅田壱道は中団を取ったものの、伸びを欠いて6着。すんなり先行の永井が相手では分が悪い。
 「初手はどこになってもいいように作戦は立てていた。突っ張るフリをして中団が理想だったんだけど。前を斬って(永井と)もがき合っても仕方ないし、中団から思い切って出ようと思っていたけど1回みてしまい、仕掛けがワンテンポ遅れてしまった。早く行ければ慎平さんの前までは行けたと思うんだけど」
 吉本卓仁もまくり不発で悔しがる。
 「(菅田が)永井さんをすんなり出させるとは思わなかった。カマせれば良かったけど、ジャンから早く(永井が)行ってしまったし、もう後ろをしっかり見られていたから動けなかった。人の動きに頼りすぎたのが失敗しました」
 その吉本後位から兵藤一也が迫って3着に入ったが「前に任せた結果だから仕方ない。空いてなかったけど内を行くしかないし。あんまり出なかったね」と、致し方なしといった様子。
 遠澤健二も内のコースを巧く突いたが、伸び切れず5着。
 「もう少し余裕を持っていればね。良いコースが見えたんで。目を瞑っていくくらいの強い気持ちで突っ込んでいれば面白かったね。その辺の気持ちを練習で作っていかないと」


ゴール




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