『名古屋競輪開場69周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:5月19日

 名古屋競輪場を舞台に開催されている開場69周年記念「金鯱賞争奪戦・楽天カップ(GIII)」は、5月19日に3日目を迎えた。決勝のキップをかけて争われた準決は、波乱の決着が続いた。地元記念連覇が期待された吉田敏洋だったが、惜しくも4着で敗退した。いよいよシリーズも大詰め、20日の最終日には12レースで決勝の号砲が鳴らされ、今年2度目の記念チャンプが決まる。また、6レースには一発勝負で「S級ブロックセブン」が行われる。
 本場では最終日も、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。石野真子さんのライブショー、ミス日本グランプリのトークショー、先着でお菓子をプレゼント(300人になごやん)、選手会愛知支部による「ふとももカフェ、ふれあいゲーム」、山口幸二さん&吉岡稔真さんによる「公開レース展望」などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<10R>

鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 赤板の2コーナー手前で押さえて出た渡邉雄太の上を吉田拓矢が出て打鐘から駆ける。すかさず反撃のアクションを起こした山崎賢人だったが、踏みやめて最終ホーム手前から再発進。3番手を確保した渡邉と絡みながらも山崎が迫ると、鈴木謙太郎(写真)が番手発進で白星をもぎ取った。
 「ジャンからすごいペースになって、内を締めるのでキツかったです。8番(山崎)を振って(吉田)拓矢も踏み直していたので、残るかなと思ったら…。もう少しうまくやっていればね。山崎君が後ろになって一番良い展開になったけど、(吉田が落車してしまって)素直には喜べませんね」
 直線半ばで吉田、園田匠、村田雅一が、内で接触して大量落車。3番手から外を踏んだ渡邉雄太が、アクシデントに巻き込まれることなく2着。
 「道中けっこう脚と使っていたけど、とりあえずは3番手を確保できて良かったです。準決は逃げるつもりはなかった。ただ、内に稲川(翔)さんがいたのですくってこないか警戒していました。山崎さんに出られてしまい強かったけど、なんとか決勝に乗れてよかったです」
 山崎は不発。あおりを受けて最終4コーナーで外に弾かれた中川誠一郎(写真)は、なんとか3着で準決をクリアした。
 「自分で行っていれば(園田と)ワンツー決まっていたのかもしれない。ただ、前が頑張っていたし無理やり仕掛けてくれたので、判断が難しかったです」

<11R>

笠松信幸選手
笠松信幸選手

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 佐々木豪が赤板で先頭に立つと、鈴木竜士はこのラインの3番手で粘る。前団が少しもつれたところを柴崎淳が打鐘前から踏み込んで主導権を取る。内を突いて上昇した鈴木が今度は柴崎ラインの3番手を取りに行くが、最終ホームで志智俊夫に大きく押し込まれて後退。快調に飛ばす柴崎の番手で絶好となった笠松信幸(写真)が鋭く追い込んだ。
 「(柴崎)淳が頑張ってくれました。うまかったし、掛かりも良かったです。余裕がなかったですね。(最終)4コーナーで(佐々木の)影が見えたんで、踏ませてもらいました」
 中団の4番手で態勢を立て直した佐々木豪が最終バックからジワジワとまくり上げて2着に入った。
 「めちゃくちゃな競輪でした。バックから仕掛けたんですが、伸びは悪かったです。でも、みんな脚は使っていたので、気持ちで負けないように。最後まで諦めずに、図太くいけました。あれが精いっぱいです。自分だけのレースになってしまったんで、反省点はたくさんある。決勝はいいレースができればと思ってます」
 目標の鈴木が厳しいと判断した諸橋愛(写真)は前々に踏んで、しぶとく3着に突っ込んだ。
 「作戦通りにいかなかった。難しかったですね。切り替えていいもんかと。(鈴木)竜士しか見てなくて、4番(佐々木が)見えてなかった。(鈴木が)負けちゃうと思って前に行きました。反応は鈍かったけど、感覚はだいぶ戻っている」
 先行した柴崎淳は直線で力尽きて4着に敗れた。
 「いいタイミングで行けたんですけどね。笠松さんが決勝に乗れたのは良かったけど、自分も乗りたかった。そこが本当に悔しい。久しぶりに悔しくて、寝られない感じです」

<12R>

川村晃司選手
川村晃司選手

簗田一輝選手
簗田一輝選手
 上昇した川村晃司(写真)を前受けの太田竜馬が、赤板過ぎに突っ張って先行態勢に入る。4番手に川村が収まるが、阿部拓真が内から押し上げて川村は1車下げる。7番手で反撃の態勢を整えた竹内雄作は、打鐘の4コーナーから踏み込む。合わせる太田を竹内がとらえて、吉田敏洋が続く。が、四国勢を追走していた単騎の簗田一輝が最終2コーナーからまくる。簗田を目標にしてさらにまくり上げた川村が、最後は外を突き抜けた。
 「中団、中団を攻めていこうと思っていたんですけど。(最終)ホームで竹内君がすごい勢いでまくってきたんで、ちょっとピンチでした。自分はなんとか届いた感じです。ただ、椎木尾(拓哉)君に迷惑を掛けました。脚の状態はいいと思います」
 中団から臆することなくまくりを打った単騎の簗田一輝(写真)は、吉田のけん制を乗り越えて初めての記念ファイナルをつかんだ。
 「とりあえず前々を意識していました。そこから脚を溜めて一発と思ってた。自在じゃなくて自力だと思っているんで、しっかり自力を出して行けるところから踏んでいきました。記念の決勝は初めてだし、やっと(渡邉)雄太さんと一緒に走れますね」
 「反省が多いレースでした…」と、振り返ったのは渡部哲男。太田の加速に置いていかれたが、その後は冷静な判断でリカバリーして3着に追い込んだ。
 「(別線が)いつ来るかなって後ろを気にしていたら、キュンって(太田に)踏まれて空いてしまった。(太田が)前々に踏んでくれたおかげだし、それで本線(中部勢)も倒した。でも、(ラインが)2車だし自分としては難しかった。決勝こそしっかり付いていきます」
 打鐘で簗田後位まで押し上げた阿部拓真だったが、竹内、吉田に離れた松崎貴久に降りられて万事休す。簗田のまくりに付いていければ、優出が見えただけに悔やむ。
 「簗田君に付いていければ…。あんまり考えていなかったけど、道中の場所(位置)は良かったと思う。あれで外(松崎)にキメられないで我慢できるように。凌いで付いていかないと」

<最終日・6R S級ブロックセブン>

森川大輔選手
森川大輔選手

小埜正義選手
小埜正義選手
 森川大輔(写真)は、3月のウィナーズカップからの直近5場所でマークした勝ち星はわずか1勝のみ。前回の函館FIも862着といまひとつだった。
 「(7車立ては)どっちかっていうと苦手じゃない。でも、最近の成績があんまり良くないから自信があるわけじゃない。悪い原因ですか? レースが重なって配分が詰まったりして、練習不足っていうのがある。ここでキッカケにできたら。ここに向けてとかっていうのはないけど、普通に練習をしてきた」
 4月の奈良FI最終日に落車に見舞われた小埜正義(写真)は、ここが復帰戦。ろっ骨を4本を折る大怪我で体重も落とした。
 「一時は(体重が)12キロくらい減りました。そこから6、7キロ戻しました。ちゃんと練習をやっていけば、これからもっと戻ってくると思います。練習でのタイムは悪くなかったけど、ケツを上げてやってないからどうですかね。うまく走れたらいいです」
 近況、コンスタントに勝ち星を挙げている八谷誠賢は、順調そのもの。いつもと変わらない笑顔で自転車を組み上げる。
 「最近はとくに変わりなく、走れていると思います。前回の松阪から1週間ありましたけど、いつもどおり練習して、充実した日々を過ごしてきました。名古屋はいい時と悪い時が半々くらい。今回はいい方に出てほしいですね。7車立ては気にしてないので、流れのなかでいつも通り走ります」
 中近連係で森川とタッグを組む中澤央治は、リラックスムードで森川との連係実績を思い起こす。
 「(森川には)付いたことがありますよ。弱い時も強い時もね。自分は2着に連れていってもらったこともある。ただ、(今回は)付いていけるかわかりません、頑張ります」