『名古屋競輪開場69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月20日

 名古屋競輪場を舞台に開催された開場69周年記念「金鯱賞争奪戦・楽天カップ(GIII)」は、5月20日に最終日が行われた。細切れでどの選手にもチャンスがあると思われた混戦の決勝を制したのは、渡邉雄太。主導権を握った簗田一輝との連係から、番手まくりで記念初制覇を遂げた。また、一発勝負の「S級ブロックセブン」は、まくった小埜正義が先頭でゴールを駆け抜けた。

決勝戦 レース経過

 スタートは単騎の中川誠一郎をのぞく8名がけん制。嫌った渡部哲男が追いかけると、周回は中川-佐々木豪-渡部-簗田一輝-渡邉雄太-川村晃司-笠松信幸-鈴木謙太郎-諸橋愛の並び。
 青板2センターから鈴木が上昇すると、ホームから佐々木も合わせる動きを見せる。それでも2コーナーで鈴木が誘導員を下ろすと、そこを川村、さらにこの動きに続いた簗田が叩いて打鐘過ぎから主導権を握る。一度、中バンクに上がった簗田は4コーナーの下りを使って一気にペースアップ。ホーム7番手から佐々木が巻き返し、ジワジワと前団に迫ったがバックからは渡邉が番手まくりに出る。上手く南関後位を取った川村だったが渡邉の仕掛けに口が空いたところを、簗田にからまれ完全に置いて行かれる。これで2番手以下が離れると、渡邉がそのまま押し切って記念初優勝を飾った。バック最後方から大外を回した中川が2着に強襲。3着の川村は簗田との接触が痛かった。


渡邉雄太選手
渡邉雄太選手

 22歳と23歳の静岡コンビがつくり出したハーモニーが、混戦で物を言った。初の記念決勝にも舞い上がることなく、簗田一輝が絶妙のタイミングで主導権を握る。番手の渡邉雄太(写真)も2車のラインながら、慌てることなく間合いを取った。
 「(初めての番手だったけど)イメージトレーニングはしていた。後ろは誰も来てなかったんで、前だけ見ていた」
 最終ホーム手前から7番手の佐々木豪が反撃。3番手の川村晃司が空けた車間を詰めると、渡邉は迷わず踏んで番手まくり。3コーナー過ぎに簗田と川村が絡んで、直線の入り口では後続を引き離していた。
 「あれで(別線を)引きつけたら終わりだから、行かさせてもらった。(簗田)一輝のおかげです。(番手から出てからは)ちょっと影が見えたんでヤバいかなと思ったら、一輝がやっててくれたんですね。後輩が結構出てきたんでこういうこと(番手での優勝)もあるんだと」
 一昨年にヤンググランプリ(GII)を獲った渡邉は、初めての記念ファイナルから5度目の舞台でチャンスをつかんだ。
 「(記念は)もうちょっと獲れないかなっていう感じもあった。自分だけの力じゃないし、後輩とのレースで(優勝できて)うれしい。目標はひとレースごと全部勝てるように。それで成長していきたい」
 デビュー4年目の若武者は、これからも周りに流されることなく着実に歩を進めていく。

 人気に推された単騎の中川誠一郎は、例によってどっしりと構えて最後方。一撃にかけて、最終バック手前からまくるも2着が精いっぱい。
 「届いたかなって思ったら、さらに前に(渡邉が)いました。あんなに離れてたんですね。単騎でもう少し前にいたい気持ちもあったんですが、かぶってしまったら面白くないですから。佐々木君が仕掛けるだろうから、それを待って行きました」

 川村晃司は思惑通り静岡コンビ受けて、3番手の好ポジションを確保。しかしながら、簗田と接触してスピードが鈍り、ゴール勝負に持ち込むことができなかった。
 「静岡勢が絶対に行くと思っていたので、あの位置を取って勝負しました。付いていって(最終)2センターぐらいから外を踏めば、後ろの笠松(信幸)君にもチャンスがあると思っていたんですが…。6番(簗田)も掛かってたし、渡邉君も掛かっていて本当にいっぱいでした」

 5番手の鈴木謙太郎は、仕掛ける前に愛媛コンビにかぶって不完全燃焼。
 「終始、余裕があったんですけど。来たのが(中川)誠一郎さんだと思ってスイッチしようとしたら、4番(佐々木)だった。せっかく(吉田)拓矢に決勝に乗せてもらったのに生かし切れなかった」

 打鐘の3コーナーで主導権を握った簗田一輝の落ち着いた走りが、渡邉を優勝へと導いた。
 「静岡のどっちかが優勝できればと思っていた。2車だったんで、そこをどうにかしないとっていうのがあった。これからは記念の決勝の常連になれるように」





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