『岐阜競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月21日


 岐阜競輪場開設59周年記念「長良川鵜飼カップ」は激闘の4日間に幕を下ろした。S級S班を巡る賞金争いなど話題の多い開催となったが、決勝戦も好調な自力型同士が激しくぶつかる見応えのあるレースとなった。バンクに詰めかけた大勢のファンが大声援を送る中、後ろ攻めから冷静に主導権を握った浅井康太が山口貴弘、石橋慎太郎らを完封。番手から抜け出した濱口高彰が地元記念連覇を達成した。

決勝戦 レース経過
 スタートで武井大介が勢いよく飛び出して誘導員に追いつく。これで石橋慎太郎-桐山敬太郎-武井大介の南関勢の前受けは確定。内枠を生かした浅井康太が中団を欲しがるも、手島慶介がアウトに車を合わせて中団は譲らない雰囲気。結局浅井が下げて、中団は山口貴弘-手島-大槻寛徳。浅井-濱口高彰-村上博幸の中近トリオが後攻めで周回が進む。
 赤板前に浅井が上昇開始。石橋のアウトに車を併せると、石橋は外に車を外して誘導員を斬った。そこで石橋がペースを落とすと、浅井がゆっくりと上昇しハナに立つ。浅井は打鐘ではペースを緩めたままで、石橋は引き切るのにひと苦労したが、七番手まで引いた。中団の山口、七番手の石橋の動きを見ながら浅井がペースを上げていき、最終ホーム過ぎからスパート。浅井のかかりが素晴らしく、バックからまくり上げた石橋、これに合わせて踏み込む山口は、共に車が出ない。ゴール前は中近勢の争いになったが、番手から濱口が抜け出し、地元記念連覇を達成。中割り気味に踏んだ村上が2着、逃げ粘った浅井が3着でラインで上位独占となった。


濱口高彰選手
濱口高彰選手
 浅井康太がペースを上げた瞬間、濱口高彰の優勝は半ば決まっていたようなもの。全日本選抜では連日見る影もない競走に終始してしまったが、すぐに立て直してくるのがベテランの経験がなせる技だ。最高の形で一年を締め括り、トレードマークの笑顔がよみがえった。
  「本当に、ここに来るまで何もやっていなかった。開催中も指定練習すらしなかった。それが良かったんでしょうね。山口(幸二)君と話していたんですが、アップすらいらなかったかも(笑)。三日目ぐらいから手応えを感じていました」
  中部コンビの完全勝利。考え得る中で最も理想的な勝利の形となった。
  「今日は浅井君が冷静だったし、強かった。最終2コーナーの踏まなきゃいけないポイントでしっかり踏み込んでくれたし、最終バックでスピードに乗り切っていたので、これは誰もまくれないと確信しました。村上君もしっかり内を閉めてくれてたし、今日はラインのおかげで勝てました」
  ただ一人、岐阜勢の優出。重鎮として強い責任感で臨んだ。
  「(加藤)慎平があんな形でいなくなってしまったし、準決勝で松尾淳とヤマコウが飛んでしまったので、その分も頑張らなくちゃと気合が入りました。これでまた頑張れますね。嫌なイメージのまま一年を終えたくなかったので、本当に嬉しいですよ」

 敢闘賞は浅井康太だ。4日間、先行勝負を貫き通し、また株を上げた。
  「本当に昨日の競走で(力を)出し切ったので、今日はローラーでウォーミングアップをしているときも体が重かった。それが顔見せに出たら軽くて、やれそうな気になりました。今日は気温が低かったので、かかり切らなかったですね。いつもは一つだけのマッサージオイルを、今日は3つも使ったんだけど(笑)。自分のペースに入らなかったけど、濱口さんが優勝してくれて良かったです」

 記念初Vを狙った石橋慎太郎は後方からまくり上げたが不発。
  「打鐘でカマせましたね。今日は(体が)重かったら中団にこだわるつもりだったんだけど、周回が軽かったので車を下げてカマシ狙いに切り替えたんだけど。もう少し早く引けば良かった。今日は浅井君にうまく駆けられてしまった。もったいない」

 山口貴弘は中団を確保したが、そこからの伸び脚が…。
  「今日は番手戦は考えてませんでした。どっちのラインも力があるから、隊列を短くしても、もう一方を引き出すだけ。とにかく中団から攻めるつもりだったけど、浅井君が強すぎました。対戦するときは、もっと考えないと駄目ですね」

 手島慶介は「何もできなかった。作戦は全て山口君に任せてました」と言葉少なに語る。

ゴール




↑ページTOPへ


情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.