『岐阜競輪開設61周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:9月26日


 岐阜競輪開設61周年記念「長良川鵜飼カップ」は9月26日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が最終12レースで争われ、永井清史が逃げ切って快勝。地元記念初制覇を果たした。2、3着にもラインの山口幸二、山田裕仁がそれぞれ流れ込み、地元勢で上位独占を決めた。また、11レースに行われた97期のルーキーチャンピオンレース「若鷲賞」は地元の松岡篤哉がまくって地元優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で村上博幸が前を取ると、正攻法に浅井康太を迎え入れる。すんなりと並びは落ち着き、浅井―村上―加倉正義―永井清史―山口幸二―山田裕仁―梶應弘樹―笠松信幸―加藤圭一で周回を重ねる。
 インを斬って一度はレースを動かすかに見えた笠松だが、赤板ホームでも動かず、正攻法の浅井はしきりに後方に目をやる。先に動いたのは中団の永井だった。1センターから上昇を始めると、打鐘で誘導員を下ろしてペースを落とす。笠松―加藤が続き、下げた浅井は7番手。中バンクに上がって永井に追い出しをかけるが、永井は全く動じない。永井がホームから踏み込むと笠松、梶應はそれぞれ口が空き、車間を切っていた浅井は大きく遅れてしまう。車間を詰めてまくる浅井が不発に終わると、流れは完全に岐阜トリオへ。番手から山口、3番手から山田が外を迫るが、逃げた永井が後続を振り切って嬉しい地元記念初優勝を飾った。

永井 清史選手
永井 清史選手

 岐阜のSSトリオがそろい踏み。鉄壁のラインに死角はなかった。レースは2分戦。浅井康太を後方に置いて永井清史がペースで駆けると、そのまま力強く押し切った。
 「浅井はそんなに早く仕掛けないと思っていたので、自分が持つところからペースで駆けました。練習みたいな感じで踏めましたね。バック追い風でスピードに乗ってくれました。踏み直しもしっかりできたと思います。ライン3人で決まって一番いい結果。今回は(加藤)慎平さんがいない分も自分が頑張りたいと思っていたし、優勝できて良かったです。声援も大きくて、本当にありがたかったです。これをきっかけに巻き返していきたいですね」

 番手の山口幸二は懸命に追い込むも届かなかった。
 レース後は永井を称える。「本当に永井が強かったね。踏み出しで付いていくのがきつかった。自分は今の持てる力を出し切れたと思う」

 3番手の山田裕仁はギアを4回転に上げてレースに臨んだ。
 「実戦で4回転は初めて。すんなり永井が駆けて3番手だと優勝は厳しいし、何かを変えようと思って試してみたんですが、ちょっと重かったですね。番手が踏むのを待ってから踏んだけど、こんな絶好の展開はめったにないし、自分のタイミングで踏んだ方が良かったかな。でも、岐阜3人で決まって結果としては良かったですね」

 浅井康太は後方から好回転でまくり上げたが、前までは遠かった。
 「もがき合いは避けて、今日はまくりでゴール前勝負できればと考えていました。スピードはかなり良かったんですけど、前もかかってましたからね。中団で少し車間が空いていたし、距離がちょっと遠かったです。でも、今回はいい手応えをつかめました」

 村上博幸は浅井と共倒れの6着。
 「準決勝で浅井君の世話になったので、決勝も前を任せて期待していたんですけどね。今日の展開では厳しかったです」

 単騎の加藤圭一は成す術がなかった。
 「笠松君の動きにちょっと期待してみたんですけどね。今日のメンバーだと戦い方が難しかったです」


ゴール



ルーキーチャンピオン(11R) レース経過

 スタートを決めた鈴木謙二が井上嵩を受けて東京両者が前受け。以下、齋藤一茂―久木原洋、中井太祐―稲毛健太―藤野貴章と続き松岡篤哉―上田隼の岐阜コンビが後ろ攻めとなった。
 隊列は一本棒のまま赤板を過ぎると、打鐘で中井が一気に踏み込む。これを見た齋藤も合わせて踏み出し応戦。この時、中井後位の稲毛と齋藤後位の久木原は追い切れず離れる。齋藤が誘導を交わし一旦は先頭に立つが、中井が最終ホーム手前からすぐさま巻き返し先行態勢に。追い上げた井上が番手を奪取、井上マークの鈴木は離れ、叩かれた齋藤が三番手にはまる。軽快に風を切る中井に対し、最終二角から松岡が八番手から反撃開始。脚を溜めていた松岡はジワジワと前団に迫る。一方、三角手前から井上が番手まくりに出るも、これは中井に合わされ不発に終わる。すると齋藤が中井と井上の間を割って怒涛の追い込みを見せるが、ロングまくりとなった松岡が直線で大外を強襲。ゴール寸前で齋藤を捕らえ優勝をさらった。

松岡 篤哉選手
松岡 篤哉選手

 地元開催の一発勝負で人気を集めた松岡篤哉が、見事にプレッシャーを跳ね除ける豪快なまくりで同期を蹴散らした。「ちょっとレースの組み立てには甘い部分がありましたね。最終ホームでゴチャついていたのを見て、1センターから踏んでいきました。コーナー部分を乗り切れば、勢いが付いていたしいい所まではイケるかなと思ってました。齋藤君が抜け出していたけど、何とかゴール寸前で届いてくれました」
 在校時代から常に井上の後塵を拝してきただけに、喜びもひとしお。「師匠(山口富生)からは『獲りにいけ』って言われていたし、それが実現できて良かったです。井上君には競輪学校でやられっ放しだったので、大事なレースで今までの借りを返せて嬉しいです」と満面の笑みを称える。

 地元同士でマークした上田隼は悔しさをにじませながら「3回位バックを踏まされてキツかった。ホームで仕掛けてくれていれば、僕にもチャンスがあったかも。あの展開では僕は届きませんね」と振り返る。

 うまく番手に入り込んだ井上嵩だったが、意外にも車が出ずに失速。「美味しい展開になり過ぎました。誰も自分の所に追い上げて来ないのを確認できたし、十分勝てるレースだったのに…。一番悪いタイミングで踏み上げてしまいました。もっと待ってからか、逆にもっと早く踏んでいけば結果は違ったはず」と残念がる。

 齋藤一茂は前々に攻めた事が好結果につながった。しかし、検車場に戻るなり「悔しいな~。あと少しで勝てる所だったのに。2着だけど結局は勝てなければ意味がないでしょう。叩かれても3番手だったし、いい位置に入れたなと思いました。前の動きを見ながら、しっかりコースを突いていけたんだけど、外のスピードに負けてしまいました」と説明。

 中井太祐は積極的な仕掛けで存在をアピールも、4コーナーで力尽き7着に沈んだ。「後攻めの松岡さんが先に押さえると思っていたけど、なかなか動かなくて誘導上がってしまうし、打鐘から先に踏んでいくつもりでした。齋藤さんに少し抵抗されたけど、出切った時には後ろの稲毛君が離れてましたね。井上さんが僕の後ろにいるのが分かってからはペースを緩められなくて…。でも自分の力を出し切ったから仕方ありません」

 藤野貴章は俊敏な切り替えから突っ込みを狙ったが、接触して車が止まってしまった。「前が離れて苦しい展開になってしまいました。でもそこからはスイッチして何とか対応できました。(4コーナーの出口で)前の中井君とハウスしてしまいました。あれがなければ、もっといい勝負になっていたと思いますよ」と語る。

ゴール





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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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