『被災地支援競輪岐阜競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:9月3日
 岐阜競輪場を舞台に開催されている平成28年熊本地震被災地支援・開設67周年記念「長良川鵜飼カップ(G3)」は、9月3日に3日目を迎えた。シリーズも後半に突入し、メーンの準決3個レースでの戦いは熾烈を極めた。地元のエース竹内雄作は、惜しくも4着で決勝進出を逃した。また、SS班の武田豊樹と新鋭の吉田拓矢の茨城勢は、2人で優出を果たし決勝でもタッグを組む。いよいよ大詰め、4日の最終日には「長良川鵜飼カップ」をかけて、決勝で白熱したバトルが展開される。また、第9レースには一発勝負の熊本地震災害復興支援レースが行われる。
 本場では、抽選でプレゼントが当たるスクラッチくじを配布(先着2000人に配布し、現金1000円、地元銘菓などが当たる)。「スギちゃん」のお笑いライブ、日本競輪選手会の岐阜支部による「選手会イベント」、山口幸二さんによるレース展望なども予定されています。岐阜競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
山本伸一選手
山本伸一選手
田中孝彦選手
田中孝彦選手
 青板のバックから早めに上昇を始めた戸田康平が、中団の山本伸一(写真)に併せ込んでフタをする。戸田は赤板の2コーナーから再度踏み込んで主導権。「久しぶりに構えてしまった」との山本は、一本棒の7番手に置かれる。4番手の鈴木庸之は、大きく切った車間を詰めながらまくるも不発。最終バックから踏んだ山本がその上をまくって、直線で楽に前団を飲み込んだ。
 「(打鐘で)行こうかなっていうのはあった。でも(戸田が)踏んだし、ちょっと弱気だった。あれで行っても、出切れたことは出切れたと思うんですけど。ただ、そういう経験は必要だし、いつもワンパターンだとね。行く時は行って、構える時は構えていかないと。初日は先行だったけど、(新車は)まくりの方が力が発揮できると思っていた。今日はめっちゃいい感じだったし、本当によかった」
 山本のまくりに付け切った藤木裕が、吸い込まれるように大外を伸びて2着。
 「(山本)伸一さんだけ届く感じかなって思ったけど。あれを付けられたのは大きい。最低限の仕事はできたかなって思います」
 単騎の田中孝彦(写真)は、鈴木ライン後位の6番手にポジショニング。慌てず直線で冷静なコース取りから3着に伸びた。
 「(戸田、山本)どっちが先行してもノブさん(鈴木)が中団と思ってたんで、その後ろかなと思いました。ノブさんは飯嶋(則之)さんが付いてるから、仕掛けてくれるだろうし、そこに乗っていけばいいんで。本当に流れがいいですね。ツイてるだけです」
 思惑通り4番手を手に入れた鈴木庸之だったが、不発でシンガリに敗れ天を仰ぐ。
 「あ~、あれでまくれないんですね…。もうちょっと待ってからでも良かったのかもしれないけど。山本さんにビビリました。さすがに1コーナーでは来るだろうと思った」

<11R>
南修二選手
南修二選手
渡部哲男選手
渡部哲男選手
 後ろ攻めから上昇した中井俊亮が、赤板前で誘導を切って先行態勢。中団は前受けから車を下げた竹内雄作と追い上げた佐藤博紀で併走となり、中井は落ち着いて打鐘3コーナーから全開で踏み込む。うまくペース駆けに持ち込んだ中井が、そのまま力強く押し切り初の記念優出を逃げ切りで果たした。
 「竹内さんが内にいるのはわかりましたし、(うまく)ペース駆けに持ち込めたと思います。記念の決勝は初めてなので、明日も自分の力を出し切って頑張りたいです」
 南修二(写真)は「中井君が強かった」と、絶賛する。
 「中井君は積極的に行ってくれましたね。中団が取り合いになっていたのはわかったし、冷静に走っていました。あとは竹内君がどうするのかなって考えながら走っていたけど、来なかったですね。展開が向きました。自分の脚もいい感じだと思います」
 初手から近畿勢を追走していた渡部哲男(写真)が、竹内との3着争いを制して久々の決勝にコマを進めた。
 「先行するのは中井君かなと。決勝乗るには中井君、南君の3番手が近道だと思ってました。竹内君に内から来られたけど、そこだけはしっかり締め込んで。前が強かったし今日は付いていっただけです」
 中団にこだわった地元の竹内雄作は、最終1コーナーから苦し紛れに3番手まで内から追い上げたが、結局さばくことはできず。最後まで力を出し切れなかった。
 「今日は中団で勝負と(決めていた)。いつも引いてばかりいたらダメなんで。ただ中途半端で、結果的に迷惑を掛けてしまいました。すいません。そのぶんも、最終日は出し切れる様に頑張りたいです」

<12R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 赤板で飛び出した吉田拓矢に武田豊樹、岡光良が続くが、東龍之介が追い上げて番手は競り。打鐘を通過してコーナーに入ると、武田が外の東を弾いて番手を死守。吉田がそのまま逃げるが、最終ホームから柴崎淳が反撃に出る。好スピードで前団に迫り武田のブロックを乗り越えた柴崎だが、今度は吉田が自ら止めて柴崎は失速。前団の隊列が凝縮されて、石井秀治の仕掛けに乗った武井大介が狭いコースをこじ開けて突き抜けた。
 「柴崎が先に踏んでくれたからよかったです。(石井)秀治先輩の読みがズバリ当たりました。柴崎が仕掛けてくれたんで、あとは秀治さんが行けるかどうかだった。(石井が)ちょっと止まったんで、俺は内に行っちゃいました。岡君がタレてたんで、バックを踏んでから立て直しだったんですけど、行けたんでよかったです」
 「まくりを止めたかったけど、止まらなかった」とは、競り勝って2着の武田豊樹(写真)。吉田の番手を守り切ったが、ブロック及ばず、こう振り返る。
 「俺の経験不足、技術不足。普段、練習では前に踏むことしかしてないですから。番手を取り切ることっていうのをやってないから。レースでしかない脚力の消耗があった。でも、そんなことは言ってられないんで、ラインを守るのに必死だった。東君も必死だっただろうし、お客さんは競輪のだいご味を感じられたと思う。自分もいいレースができたし、相手あってのことなんで(東に)敬意を表します」
 逃げて3着の吉田拓矢(写真)だが、武田とそろっての優出には笑みを浮かべる。
 「なかなか武田さんと決めることができてなかったので、自分のなかでは収穫があります。ただ、ワンツーできなかったのは自分の力不足です。3.86のギアで踏み直しもできるし、いいレースはできていると思います」
 前団を射程圏に収めていただけに、石井秀治が4着を悔やむ。
 「(最終)3コーナーでロックオンしていたんで、もう1着コースだと思った。そしたら吉田君が自分でもっていったから。あれであのあおりが…。判断力は良かったと思います」

<最終日・9R 熊本地震災害復興支援レース>
服部克久選手
服部克久選手
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 今回は熊本からただひとりの参戦となった服部克久(写真)は、復興支援の意味をかみ締めながら一発勝負に臨む。
 「いい意味でいつもとちょっと違う気持ちがですね。勝ちたいのはみんな一緒ですけど、自分は内容のあるレースをしたい。中途半端にならないように、全力で感謝の気持ちを持って走ります。熊本もですけど、別府もそうだし、九州全体に(災害の)影響はある。この前の台風では東北や北海道も大きな被害を受けてますから。そういうなかで復興支援のレースでできるのは意味があると思います。いまの脚だと後方に置かれたらまくれないっていうのがあるんで、前々に攻めていきたい。いい時に比べたらまだまだなんで、後手は踏まないようにしたい」
 近況、F1シリーズでは勝ち星を量産している小嶋敬二(写真)は、前回の久留米F1を振り返りファンへのアピールを約束する。
 「(久留米の初日で連係した)伊藤裕貴君は行かなきゃいけないっていうプレッシャーで(仕掛けるのが)早かったですね。見てるとすごく強いんですけど、(番手からまくって)出て行く形になった。(災害で)競輪にこれない方々もいると思うので、勇気や希望を与えられるようなレースをしたいです」
 地元の原真司は、地元での高ぶりを抑えて小嶋マークを表明する。
 「(地元は)気合が入り過ぎて、いつもあんまり良くない。抜き過ぎても良くないし、難しいですね。練習でも感じが上がってきたんで、しっかり小嶋さんに付けたい」
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