『岐阜競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:9月7日

 岐阜競輪場を舞台に開催されている開設69周年記念「長良川鵜飼カップ(GIII)」は、9月7日に2日目が行われた。メインの優秀「ぎふ信長賞」では、単騎の松浦悠士が俊敏な立ち回りで白星を挙げて、準決に弾みをつけた。3日目には決勝進出をかけて、準決の3個レースで熾烈な戦いが繰り広げられる。
 本場では開催中の毎日、抽選でクオカードなどが当たるスクラッチくじを先着で配布。山口幸二さんによるレース展望、日本競輪選手会岐阜支部によるイベントなどが行われます。また、8日の3日目には「マチコとかすみ」のライブショー、「CHERRSEE」のライブステージなども予定されています。岐阜屋競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<6R>

神田紘輔選手
神田紘輔選手
 伊早坂駿一の上昇に合わせて動いた川村晃司が4番手をキープして、関東勢が主導権。赤板で先頭に立った伊早坂は、落ち着いて別線の動向を確認しながらペースをつくり上げる。中団からまくった川村が迫ると、最終バック手前で神山拓弥が大きく外に振る。それでも川村はしぶとく踏んで直線。逃げる伊早坂はさすがにいっぱいで、番手の神山がわずかに抜け出して1着。
 「伊早坂に悪いことをした。俺の技術不足だし、判断が難しかった。川村さんの後ろがいないのもわかっていた。もっと(川村が)スパーンと来れば、伊早坂に追いかけさせてと思ってたけど…。川村さんをイエローラインくらいまでもっていって、もう1回と思ったら伊早坂に差し込んでいた」
 「大恵まれです(笑)」と、茨栃コンビに付けて2着に流れ込んだ吉田裕全が目を細める。
 「連日、展開と番組に恵まれてる。(神山)拓弥がしっかり川村さんを止めてくれたし、伊早坂も頑張ってくれた。それに新車がいい感じで出ました」
 7番手に置かれた松坂洋平が、打鐘の4コーナーからインを進出。川村の番手まで押し上げると、最終1センターで神田紘輔(写真)を外に弾く。浮いた神田だったが、後方で立て直すとバックからまくり気味に踏んで3着に届いた。
 「松坂さんは全然気配がなかったし、(内から来たのは)気づかなかった。なんとか踏ん張ったんですけど、内から来たスピードに負けてしまった。そこからも本当は川村さんのところまで追い上げたかった。初日は消化不良だったし、脚は絶好調なんですよ」

<7R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 赤板で押さえて出た加賀山淳が先行態勢を取る。7番手に置かれた小松崎大地は、緩んだ2コーナーで巻き返す。小松崎が主導権を奪って、大槻寛徳(写真)が続くが3番手の中田健太は付け切れない。最終バック手前から車間を空けた大槻が、後続との間合いを計ってきっちりチャンスをモノにした。
 「前と後ろのおかげ。小松崎がいいレースをしてくれた。(後方になった時は)失敗するパターンかと思ったけど、本来はあれが持ち味なんで、これで復活してくれればね。(自分は)余裕もあったし、誰が来てもブロックするつもりだった」
 勝負どころで体が反応した小松崎大地は、内容の濃い積極策で2着に残った。
 「(後方に置かれたけど)勇気をもって仕掛けようと。ラインが3車だったし、大槻さんは北日本を代表する選手ですから。同期の(中田)健太も仕事をしてくれると思ってたし、勝負どころを逃さずに行けた。長かったのでいっぱいだったけど最後まで踏み切ることはできた」
 小松崎ライン3番手の中田健太は、踏み出しで離れると山田和巧をさばいて最終ホームで5番手を確保する。千葉勢に乗って2センターからインを突いて3着に入り、終わってみれば人気のラインで決着。
 「失敗したなと。あとは1周半、自力みたいな感じだった。詰まるよりも山田さんをすくっていこうと」

<8R>

桑原大志選手
桑原大志選手
 堀内俊介、川口公太朗の順で動く。いったんは前受けから引いた片折亮太が南関勢をすくうと、浮かされた堀内は川口を押さえて打鐘の2センターから先行態勢へ。南関勢を追った松岡は3番手で川口と併走から最終2コーナーでまくり上げるも、岡村潤のけん制で出切れない。結局、8番手になった片折だったが、1センターから一気の反撃。軽快なスピードで大外を進むと、直線入り口で堀内をとらえた。
 「(仕掛けて)行かなかったらないので、9着でもっていう覚悟で仕掛けました。キツかったけど、埼玉勢が勝ち上がっていたし、流れを止めたと言われないように(笑)。疲れはあるけど、レースは落ち着いて走れていますね」
 松岡が岡村に阻まれると、桑原大志(写真)は、最終2センターから前に踏んで2着に入った。
 「松岡君がとにかく頑張ってくれて、なんとか3着までに(松岡を)残す確率を上げられるようにと思ったけど…。なんとか良かったです」
 内田英介が、片折の仕掛けを追って3着。
 「(片折が8番手に置かれて)終わったと思いましたね。これは無理だろうと。そしたら、行っちゃった。付いて行けた自分を褒めたいですね。練習の成果が出ているのかな」

<9R>

川口聖二選手
川口聖二選手
 前受けの山崎芳仁は、赤板で関東3車を出させて中団を川口聖二と併走。誘導を使いながら恩田淳平もペースが上げず、山崎は1車下げて小嶋敬二の位置を取る。川口が打鐘の4コーナーで内から番手まで押し上げると、まくりに構えた山崎が最終2コーナー手前から踏んで前団を仕留めた。
 「ああなったら小嶋さんのところに行くしかなかった。そしたら(川口が)内に行ったんで、これだったらまくった方がいいなと。届いて良かったです。(最終)ホームのところは詰まったけど、まだ(恩田の後ろが)競りだったから見てました。人気もしてたし、よかったです」
 山崎と数多の連係をこなしてきた佐藤慎太郎は、ジョークまじりにワンツーを振り返る。
 「自分は無理やり力で付いていったけど、山崎との呼吸はまったく合ってない(笑)。感じ方が俺と山崎では違う。その辺をふまえてマークしなきゃいけないし、それがマーク選手の仕事でもある。山崎くらいの選手だと自分でイメージが見えるんでしょうね。だから、変に俺の考えを押しつけない方がいい」
 逃げる恩田後位を最終1センターで奪取した川口聖二(写真)は、バック手前から番手発進も山崎、佐藤慎にのみ込まれて3着。
 「山崎さんを意識していた。それで(前が)上がった時に締め込みながら、体が内に行った。あれでバックを踏んでもと思って、上原(龍)さんのところまで行かせてもらった。(自分がやりたいことは)こんな感じじゃなかった。自分だけになってしまいました。(二次予選の内容は準決に)つながらないかもしれないけど、準決は準決と思ってやるしかない」

<10R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 周回中5番手にいた南潤は、赤板の2コーナーから山降ろしで一気に金子幸央から主導権を奪って逃げる。3番手の山口泰生が金子幸に絡まれるも続いて、中近3車が出切る。別線をクギ付けにして軽快なリズムで駆けた南を番手の東口善朋(写真)が、ゴール寸前でとらえた。
 「緊張しましたね。これは(金子幸が)飛び付きだろうと思った。(ラインの)3人で出切れたし、決まってよかった。(南の)後ろ姿が頼もしいですね。なんとかしてくれるなと。僕が付いていて、新人みたいにソワソワしました」
 初日に続いて先行策で和歌山ワンツーをメイクした南潤が、汗をぬぐう。
 「作戦はなかったけど、僕が動くまで(周りは)動かんのはわかっていた。2分戦みたいだったから、3車で出切れるように注意していった。2着ばかりだけど、初日よりもホームとバックはいい感じでいけてる。初日に長い距離を踏んだのがあったから」
 南ライン3番手に飛び付いた金子幸央だったが、結局3車に出られてしまう。バランスを崩すシーンもあったが、最終2センターから追い込んで二次予選をクリアした。
 「3分戦ならまた違うレースになるけど、2分戦なんで、先行、まくり、ヨコ全部やろうと覚悟していた。とりあえず突っ張ろうと思った。番手でダメなら3番手に行こうと思った。すごいキツかったし、ハードなレースだった」

<11R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 伊藤裕貴が、先に動いた石丸寛之を押さえて出る。前受けから引いた吉澤純平は赤板の2コーナーから踏んで前団に迫ると、踏み遅れた伊藤の後位に降りる。しかし、中野彰人が内から追い上げてもつれる。後方にいた石丸は、打鐘の4コーナーから反撃。しかし、伊藤とスピードが合って3番手まで。これを見た池田憲昭(写真)は、自力に転じてまくりを放つ。抵抗する伊藤を最終2センターでとらえると、後続を突き放して勝利した。
 「石丸さんがホーム手前から行ってくれた。3番手に入ったけど、申し訳ないと思いながらまくりを出しました。ちぎれているのはわからなかったけど、後ろに阪本(正和)さんがいると思っていた。行けるか、行けないかは、わからなかった。行ってダメなら仕方ないくらいの気持ちだった。なんとかよかったです」
 中野にさばかれた吉澤純平は、後方からの立て直し。池田のまくりを追うように仕掛けて2着に入った。
 「最近良くないし、弱気になってしまいました。いつもなら、(降りずに仕掛けて)行っているんですけど。(中野にさばかれてからは)バックを踏んで立て直してから、無理矢理でした。必死に追いかけて踏んだだけです。後ろに迷惑を掛けてしまいました」
 吉澤から番手を奪い返した中野彰人が、直線で追い込んで3着。
 「(踏み遅れたのは)判断ミスです。踏み合いになるかなと思って後ろで勝負しようと思っていたら、まさか(吉澤が)降りてくるとは。伊藤君のダッシュがすごかった。強烈でしたね。勝ち上がれたのは、伊藤君のおかげ」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 野原雅也にフタをされた竹内雄作は、赤板で下げて6番手から反撃のタイミングをうかがう。警戒する野原が緩めた勝負どころを逃さず、竹内は打鐘手前で踏み込む。先行態勢を取っていた和田真久留も合わせるが、けん制を乗り越えて最終2コーナー手前で竹内が出切る。南関コンビの後ろにいた単騎の松浦悠士(写真)は、山賀雅仁をすくって竹内、志智俊夫の後ろに切り替える。志智が野原を張った一瞬の隙を松浦が突いて、押し切りを図る竹内をとらえた。
 「スタートけん制が入ったら、南関勢(が前を取る)と思ったんでその後ろからでした。和田君も結構、踏んでたし、山賀さんはかなり余裕がありそうでした。(山賀の内をすくった最終)2コーナーも(インを突いた)4コーナーも冷静にできました。志智さんも最後はもっていくと思った。このメンバーで1着が取れたのはデカいし、ああいう走りをすれば1着が取れるっていうのがわかった」
 「野原君が中団に落ち着いていたんで、ここしかないと思った」と、ロングまくりで中団の野原を乗り越えて、逃げる和田を沈めた竹内雄作。シリーズ後半を見据えて、慎重な姿勢でこう続ける。
 「最近、長い距離を行ってない部分が、こういうところに出るのかなって。(まくりが)ムクムクした出方になってしまった。もうひとつ(スピードの)ギアを上げられれば変わるんでしょうけど…。もうちょっと瞬発系(の力)が入ってこないと」
 最終ホーム手前で外を張り気味に踏んだ野原が竹内、志智に続くが、坂口晃輔に絡まれた椎木尾拓哉は連結を外す。コースを突いて差し脚を伸ばしての3着にも椎木尾は反省する。
 「(野原が)俊敏だったんで、自分もちょっとなんとかしたかった。(今回から換えて)練習で使ってたフレームもいいと思います」
 竹内の反撃に対応が遅れた野原雅也だったが、竹内ライン3番手にスイッチする動きの良さが光った。結果、その上をまくれずも、仕掛けた脚は悪くない。
 「ここで来て欲しくないっていうところで、(竹内)雄作さんに来られてしまった。そのあともあれで無理やりでも(最終)1コーナー、1センターで外を行ってたら乗り越えられてたかもしれない。組み立てですね、これを反省して(準決は)しっかりと」