『大垣競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月14日

 大垣競輪開設68周年記念「水都大垣杯(GIII)」は、3月14日に最終日が行われた。初日特選組が7人勝ち上がった決勝戦は、1着入線の浅井康太が外帯線内進入で審議の結果、失格に。平原康多が繰り上がって今年3回目、通算27回目のGIII優勝を果たした。なお、9レースで争われた「第117回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」は、山口拳矢が地元ファンの期待に応えて伝統の一戦を制した。

決勝戦 レース経過

 号砲で浅井康太が出て、正攻法に構える。隊列は浅井-柴崎淳-原真司、吉田拓矢-平原康多、郡司浩平-守澤太志、古性優作、上田尭弥の順で落ち着き、周回を重ねる。
 赤板手前から上昇した郡司が1コーナーで切って前に出る。そのうえを吉田が打鐘で叩いて先行策。この3番手を郡司と追い上げた古性で取り合う。もつれた隙を逃さずに単騎の上田が最終ホーム前からスパート。1センターで吉田をあっさり抜き去り、浅井がこれを追いかける。平原が浅井の後位にスイッチしてバックを通過。4コーナーで外に持ち出した浅井が中を割ってきた平原を締めこみながら先頭でゴールしたが、平原と接触した上田がゴールで落車。1位入線の浅井は外帯線内進入により失格となり、平原が繰り上がりで優勝を飾った。


平原康多選手
平原康多選手

 最終2コーナーで浅井康太の後ろに切り替えて、最後は逃げる上田尭弥と浅井の間のコースを踏んだ平原康多(写真)。1着入線の浅井は失格と判定され、2着到達の平原が繰り上がって今年3回目の記念優勝を飾った。
 「最後は必死に中を割ったので状況が分からなくて、僕が上田君を落車させたのかと思っていました。(最終2コーナー手前で浅井に切り替えてからは)バックで行く脚がなくて、直線勝負になったのが悔しいですね。自分は(吉田)拓矢の頑張りに尽きるけど、浅井の失格での優勝なのでちょっと歯切れが悪いというか…」
 それでも、初日特選は吉田の番手で最大限の仕事をして2着。二次予選と準決勝は自力のレースで快勝して、連勝で決勝にコマを進めた。
 「決勝は運が良かっただけですけど、勝ち上がり戦はそれなりに自分なりには走れたかなと思います。次のウィナーズカップは若手の自力選手が多いから、ロケット的なレースが増えると思う。ヨコっていうよりは前々に踏む力がないと置いて行かれるので、強い選手に勝つために自力の力を上げていかないといけないなと思います。今回は前検日に入る前に腰痛が出たりしたので、ケアをしながら底上げしていきたい」
 18年共同通信社杯以来のビッグ制覇となるか。次の戦いに目線を移し、さらなる上積みを図る。

 単騎の古性優作は、打鐘手前から吉田に合わせて踏み込んで、郡司浩平と3番手を取り合う。最後まで外併走で平原を追いかけて2着に入った。
 「赤板の動きが失敗でした。上田君が自分の後ろに付いていると想定しての動きだった。後ろが吉田君になっていたのは想定外。流れのままに切っていれば良かったですね。今日(決勝)は郡司君のペースに付き合ったり、上田君をアテにしてしまったけど、もっと自分勝手に自分のピッチとか自分のレースをしていたらおもしろかったかもしれないです」

 最終バックで古性の後ろに切り替えた原真司が3着。地元記念で確定板入りを果たした。
 「駆け出しはキツかったけど、道中は風を受けてなかったし流れていました。付いていけて良かった。(これで競輪祭の出場権利を獲得し)小倉までにもうちょっと脚力を付けておきます」

 最終1センターで上田に叩かれた吉田拓矢は、レースをこう振り返る。
 「カマされちゃいけないところだったし、ペースとか詰めの甘さがありました。脚は残っている状態でゴールしてしまったので、もったいなかったです。結果は浅井さんの失格もあったのであれですけど、平原さんが優勝したので良かった。でも、納得いく終わり方をしたかったです」

 古性と併走になった郡司浩平は仕掛けどころを失ってしまった。
 「動きの状況判断も悪いし、車の出も悪いし、気持ちもなんかピリッとしなくて…。その中でも結果を出さないといけないのに。お客さんに迷惑かけた開催になりました」





【ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)】

山口拳矢選手
山口拳矢選手

 地元期待のルーキー・山口拳矢(写真)が冷静なレース運びで同期対決を制した。レースは、8番手から動いた松本秀之介が前受けの鈴木陸来を押さえる時に、両者が接触して赤板の1センターで鈴木が落車する。そこへ寺崎浩平も乗り上げて競走は7名に。熊本コンビに乗っていた菊池岳仁は打鐘手前で松本を叩いて単騎で先行勝負に出るが、番手にはまった松本が車間を詰める勢いで最終2コーナーからまくり出す。3コーナーで菊池をとらえて、松岡辰泰の絶好の展開かと思われたが、松岡の後ろでジッと脚を溜めていた山口が直線鋭く伸びて1着でゴール。高々と右の拳を突き上げた。
 「しっかり期待に応えられて良かったです。(落車のところは)ちょっと距離があったので巻き込まれはしないなと思ったけど、前に踏んで良い位置を取らないとって思いました。(前で松岡が)車間を空けているのは見えたし、2周からスピードが上がっていたので後ろからは来れないだろうと思って、あとは行けるところから行こうと思っていました。今回でちょっと勝負強さは見せられたのかなと思います。これからビッグの出場機会も増えてくると思うから、しっかり経験を積んで、まずは記念を獲れるように頑張りたいです」

 ゴール手前で山口に交わされた松岡辰泰が2着でゴール。
 「あと一歩足りんかったですね。(山口)拳矢さんがやっぱり来たかっていう感じでした。(松本から)車間を切って、目標にして踏んでいったけど、風が強かったし脚を消費してました。熊本記念とかで(松本)秀之介とまた一緒に走れるように頑張りたい」

 赤板の1センターでラインの2人が落車してしまった青野将大だったが、最終2コーナーで石原颯をすくって山口の後ろを奪取。山口を追いかける形で3着に入った。
 「(前が落車して)焦りはなかったけど、一瞬迷っている間に後ろの方になってしまいました。瞬時の切り替えができなかったのが経験不足ですね。(最後は)伸びる(山口)拳矢の後ろしかないと思って踏みました。落車は残念だったけど、同期と走るいい機会になったし、みんなの強さが分かったので帰ってまた練習します」
 単騎でも果敢に逃げた菊池岳仁だったが、最後は末を欠いた。
 「落車のアクシデントもあったけど、ああいう流れなら切ってしまった方が勝ち筋があると思いました。切って松本君が自分の番手にはまってくれれば、自分にも勝つチャンスがあるかなと。力を出せるレースはできたと思うので、次につなげていきたいです。今後のレースは先輩達とラインを組むので自分らしい走りをしていきたい」





次回のグレードレースは、第12回国際自転車トラック競技支援競輪が3月19日~21日の日程で宇都宮競輪場において開催されます。
S級S班は不在ながら、実力拮抗した選手が勢ぞろいしました。どの選手にもチャンスのあるシリーズとなりそうです。
なお、同開催でガールズケイリン2R3日制が行われ、こちらも先日400勝を達成した石井寛子を中心に是非ご注目ください。
3月7日時点の出場予定選手データを分析した、第12回国際自転車トラック競技支援競輪の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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