『大垣競輪開場58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:5月9日


 大垣競輪開場58周年記念「水都大垣杯」は5月9日、4日間の熱戦に幕を下ろした。連日、初夏を思わせる陽気に恵まれた今シリーズ。気温同様にヒートアップした頂上争いを制したのは山口富生。深谷知広、柴崎淳の仕掛けに乗って直線鋭く抜け出し、嬉しい地元記念初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲と同時に望月永悟が勢い良く出て、目標の北津留翼を迎え入れる。北津留―望月―宮倉勇のラインで前受け、中団に渡邉一成―岡部芳幸の福島コンビが入り、深谷知広―柴崎淳―山口富生―志智俊夫の中部勢が後攻めの形で落ち着く。
  赤板前の4コーナーから深谷が一気に仕掛けて主導権奪取。北津留が4番手に入り、渡邉は8番手に置かれる。深谷は2度、後ろを振り返って別線の動きを確認し、打鐘前から全開でスパート。内をすくった渡邉が北津留の前に出て5番手を確保する。北津留は6番手で立て直し、渡邉を追えなかった岡部が最後方の態勢で最終ホームを通過。逃げる深谷のかかりは良く、渡邉、北津留はともに仕掛けられない。最終2コーナーでは柴崎が番手から発進。中部3人で完全に上位独占の態勢となり、絶好展開の山口が直線で柴崎を交わして優勝を飾った。番手まくりを放った柴崎が2着に粘り、志智が3着に流れ込んだ。

山口富生選手
山口富生選手

 SS不在の今シリーズ。地元のSS、山田裕仁や兄・幸二には「今回が最後。もう獲れるチャンスはないぞ」とハッパをかけられた。当然、地元勢のエースとなる存在。連日「責任感」という言葉を並べたシリーズでもあった。
  深谷知広が先行し、番手まくりの柴崎淳を交わして念願の地元記念優勝を飾ると、「ゴール後1周は嬉しくて…」。今までの思いが一気にこみ上げた。
  「今までは決勝に乗ってそこから(優勝を)考えてた。今回はあっせんが入ったときから、その気持ちを強く持って。思いは一番強かったですね。今日はできるだけ脚を溜めてたけど、4コーナーを回っても進みが悪くてアッチャン(柴崎)の優勝かと思ったら直前でやっと交わせた。俺やーって感じでしたね。(スポンサーの)ドラゴンゲートは場内でファンサービスをしてくれてたし、その前で良いとこを見せられて良かった」
  勝因を問われると迷わず「結束力ですね」と話した。
  「僕1人じゃ勝てない、嬉しいですね。これからも上のレースや、良いところで活躍したい。岐阜はSSが多くて、走るのはF1ばかりだけどビッグが来たら気合を入れて走りたいですね」

 番手まくりに出た柴崎淳が2着。しっかりと役割を果たしてホッとした表情を浮かべる。
  「深谷もタレてきてたから誰かが来てからでは無理でしょ。自分のタイミングで仕掛けて、残れたら僕の優勝。それくらいの気持ちでした。踏んだのは1センター過ぎから。地元の富生さんが優勝してくれたので良かったです」

 志智俊夫も地元勢として連日、山口に負けない活躍を見せていた。3着だったが、ホームで口が空きそうになるピンチをしのいでの結果に胸をなでる。
  「ホームで千切れてキツかったけど、深谷も行ってくれてるし、3着までには入らないとと思ってた。富生さんも優勝したし、1番人気で決まって良かった。よく頑張ったと思います」

 別線にはあまりにチャンスがなかった。内をすくって中団を確保した渡邉一成だが、まくり届かず4着が精一杯。
  「何もできなかった。深谷は流さずに踏んで行くので外はキツい。内から前に行かないといけないペースでしたね。志智さんの内まで行ければ面白かったけど、もう全然ダメです」

 前受けの北津留翼は渡邉一成のトリッキーな動きに仕掛けのタイミングを逃した。
  「中団を取って1センターからと思ってたら、内をしゃくられて変に脚を使った。あれは予想外でしたね。ダメでした」

 逃げた深谷知広は「ラインにしっかり貢献できた。仕掛けるタイミングはあそこしかないと思ってたし、あとは一成さんがどこから来るかなと思ってたけど良かったです」と初めての記念決勝で見せ場を作る。

 渡邉の動きに続けなかった岡部芳幸は「後ろの動きに合わせて前に出ようって作戦でした。一成は1回内に行きかけてやめたし、引くもんだと思ってたから、付いてくのはちょっと無理でしたね」と向かない流れを悔やんだ。


ゴール




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