『大垣競輪開場60周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月4日
 大垣競輪開場60周年記念「水都大垣杯」は11月4日に最終日を迎えた。S級S班からは、およそひと月半ぶりの復帰戦となった深谷知広が唯一の決勝戦進出。稲垣裕之、荒井崇博、上原龍らの機動型と対峙したが、打鐘で一気に叩いた深谷知広が志智俊夫、藤田大輔を引き連れ後続を千切る。深谷に続いた志智が番手絶好の展開を利して、地元記念優勝を手にした。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に関東の3車が飛び出す。上原龍-神山雄一郎-朝倉佳弘が前団、深谷知広-志智俊夫-藤田大輔で中団、稲垣裕之-佐藤慎太郎が後攻め、単騎の荒井崇博が最後方の順で隊列は落ち着く。
 青板周回の2コーナーから稲垣が早くも上昇を開始。前受けの上原に並びかけると、単騎の荒井は稲垣のラインを追っていく。稲垣が打鐘前に誘導を斬ると、その上を一気に深谷が叩いて出る。深谷はその勢いのまま踏んで主導権。志智、藤田はしっかりと続き、踏み遅れた稲垣は大きく離れた4番手で前団を必死に追いかける。深谷が快調に飛ばし、稲垣は車間を詰められない。バックを過ぎても差は縮まらず、最終4コーナーでは深谷ライン3車で上位独占の態勢。番手絶好となった志智が直線で力強く踏み込み、地元優勝を飾った。深谷がしぶとく2着に粘り、3番手から外を伸びた藤田は僅差の3着。


志智俊夫選手
志智俊夫選手
 幕切れはあっけないものだった。正攻法の上原龍を青板2コーナーから上昇した稲垣裕之が押さえ、前は併走状態。「前が併走で絶好の展開になった」と、後方でタイミングを計った深谷知広が打鐘目掛けて一気に踏み込む。ライン3車で後続を千切って先行態勢に入ると、踏み遅れたほかのラインは出番なし。優勝の行方は3人に絞られ、深谷の後位から踏み出した志智俊夫(写真)が地元Vを手にした。
 「深谷君は打鐘の踏み出しがやばかった。準決勝と比べ物にならないくらいです。チラチラ後ろを見たけど、ほとんど流してないし、別のラインは付いてこれるスピードじゃないと思った。(山口)幸二さんも(山口)富生さんも勝ち上がれず、自分だけが地元から決勝に乗っていたので、あとは抜くことだけ考えて思い切り抜きに行かせてもらった。(07年に岸和田記念を取って以来)また記念を取れるとは思ってなかった。深谷君があっての優勝だが、あとは特別競輪でどこまでやれるか。競輪祭で恥をかかないように、時間があるのでしっかり準備して小倉に向かいたいですね」
 
 打鐘から1周半の先行策で2着に粘った深谷知広。いつものごとく、出し切った様子で苦悶の表情を浮かべながら引き上げて来たが、仕事は出来たといわんばかりに口調は軽かった。
 「前で併走してたし、展開は絶好。今回から投入した4倍ギアはある程度踏めているが、まだまだ実戦と練習で使ってもっと踏みこなせるようにしないといけない。勝てなかったが、3着じゃなくて2着に粘れてよかった」

 記念決勝に初めて勝ちあがった藤田大輔が3着に続いた。準決勝終了後は、一番最後に「中部勢の後ろを固める」とコメントを出し、その選択がばっちりとはまった。これで来年度の競輪祭の権利も確保と藤田にとっては嬉しいことづくめだ。
 「メンバーを見て、この位置が一番優勝に近い位置だと思った。だけど、前が強すぎて優勝までは遠かったですね。結果3着だけど、競輪祭の権利は素直にうれしいです」

 早めにレースを動かした稲垣裕之だが、大きな差を付けられて、その後は見せ場は作れなかった。
 「自分のモットーである、先行か最低でも中団を狙った組み立てと思ったんですが。予想外のスピードでした。負け方も情けない。今後の糧にしてもっと練習するしかない」

 上原龍も初めての記念決勝の舞台を踏んだが、何もできずで表情は険しい。
 「本当に何もしてないし、これならとっとと引いて強引にでも巻き返したほうが納得が出来たかも。力の差を感じさせられました。悔しさしかないです」

 稲垣裕之をマークした佐藤慎太郎は、「もっと稲垣君が踏み込んでいれば、飛びつくなりできたかもしれないけどね。しかたないっしょ」とサバサバとレースを振り返った。


ゴール
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