『被災地支援競輪大垣競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月9日
 平成28年熊本地震被災地支援・大垣競輪場開設64周年記念「水都大垣杯(G3)」が3月9日に開幕した。一次予選から熱戦の連続だったが、後半レースから高額配当が連発する荒れ模様の1日となった。2日目の10日は優秀「麋城賞・山田裕仁カップ」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目は先着入場800名様にスピードくじ配布、抽選で200名様に場内売店利用券(500円分)をプレゼント。場内ステージではスピーチーズライブ、山口幸二さん&山田裕仁さん予想トークライブなどイベントが盛りだくさん。ぜひ大垣競輪場でお楽しみください。
<1R>
神田龍選手
神田龍選手
 後ろ攻めの神田龍(写真)が赤板で上昇して、打鐘で中島将尊を叩く。打鐘過ぎの4コーナーで久米康平が巻き返し、最終1センターで逃げる神田を抜き去るが、番手の室井健一が離れる。援軍を失った久米が懸命に踏み込んで最終バックを先頭で通過。番手にはまった神田が久米との差を徐々に詰めると、直線で鋭く抜き去った。
 「カマされるとは思わなくて…。久米君が強かったです。(久米の)ラインが付いてきていたら、厳しかった。今日は展開がたまたま向きました。自転車は久留米の時に使っていたものに戻したら、余裕もあったし良い感じでした」
 坂上忠克が神田に続いて2着。中部ワンツーが決まった。
 「神田君がしぶとかったですね。走る前は元気なかったのに、ガンガンかかっていく感じでした(笑)。抜くのは無理だなって思ったので、後ろだけ見ていました。最後は離される感じがあったけど、脚の感じは良かったですよ」

<2R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
 川口公太朗が、赤板で前受けの山下一輝に並びかける。山下は2コーナーで突っ張ったが、川口に出切られて番手に飛び付く。隊列が凝縮されたところで、吉原友彦が打鐘の4コーナーからスパート。抵抗する川口をバックでまくり切ると、最後は石毛克幸(写真)がゴール前で差し切った。
 「やり合ってくれたので、ホームでいってくれればと。もうワンテンポ早くと思ったけど、仕掛けてくれましたね。(4角をハコで回って)びっくりしました(笑)。いつも、後方か、からまれているので。(久しぶりのレースで)緊張しました」
 吉原友彦は「自力が出せたのでうれしい」と笑顔でレースを振り返った。
 「今日は(初手)中団で、後ろからきたラインに付いて行って。そこから何でもと思っていました。やり合ってくれて展開も向きましたね。重くてタイムは出ていないと思うけど、2着までは入れているし。(自力を出せた)気持ちが大きいですね」
 山下一輝は番手を取り切れず9着に沈んだ。
 「突っ張り切れなかったですね。(伊藤健詞の)口が空いていたし、引かないつもりだったので(飛び付いた)。四日市(記念)より感覚は良いと思うけど、(悪い流れを)引きずっていますね。自分で変えないと」

<3R>
 後攻めの真船圭一郎が中団の藤木裕にフタをしてから打鐘前に仕掛ける。いったん前に出た真船を前受けの守谷陽介が内からすくって先行策。番手の吉永和生が真後ろからまくってきた真船を止めて追い込んだ。
 「すべて守谷のおかげです。タヌキ先行は上手いですね。やっぱり点数以上の脚があります。3番手に(真船が)入ったのが分かったので、タイミングをずらそうと思ってました。ワンツーが決まって良かったです」
 守谷陽介は近況の不振が嘘のような快走を披露。突っ張り先行で2着に粘った。
 「記念はテンションが上がりますね。隙があったので、内から行きました。落ち着いて楽に先行できたので。ペースで踏めたし、勝ち上がれて良かったです。最近は頑張って練習していて調子もいい。その成果を出せました」
 中途半端な組み立てとなった藤木裕は外併走で苦しくなって不発。バック過ぎから内に斬り込んだ三谷政史が3着に食い込んだ。
 「守谷さんが頑張りすぎですね。藤木だから外併走で休みながらでも行ってしまうと思っていたので、ちょっとびっくりしました。茂木(和臣)さんを締め込んだ時に内に入ってしまって、そのまま空いているコースを真っすぐ行きました」

<4R>
 後ろ攻めの宗崎世連が赤板で上昇して2コーナーで誘導を降ろすと、吉本卓仁がすかさず踏み込んで打鐘で宗崎を叩き主導権。追い上げた三上佳孝は中団を強引にキメて、最終ホームで島田竜二の内へ潜り込む。前団がもつれたところを逃さず仕掛けた荻原尚人が逃げる吉本をまくり切って最終バックを先頭で迎えると、最後は佐々木雄一が楽々と差し切った。
 「オギ(荻原)を残さないとダメですね。少し抜くのが早かったですね。オギも出切るまでに脚を使っていましたから。自分の状態は引き続き好調です」
 最終3コーナーで佐々木の後ろに切り替えた島田竜二が2着に食い込んだ。
 「卓仁の頑張りのおかげ。伸びは良いと思うけど、もっとヨコの動きができればしっかり止められたのに…」
 荻原尚人が3着に踏み止まった。
 「展開が向きました。(吉本に)合わせられずに出切れているし、状態は良いと思う。体は動けていますね」

<5R>
 木村弘が青板のバックから上昇。フタをされるのを嫌った長尾拳太は7番手に下げる。いったん中団に降りた木村は赤板の1コーナーから踏み込んで主導権を奪うと、巻き返してきた長尾を突っ張って踏み合いに。これで展開が向いたのは四国勢。後方で様子をうかがっていた大西祐は、最終1センターから仕掛けて前団をひと飲み。これに続いた児玉慎一郎は出口眞浩のブロックをしのぐと、ゴール前で交わした。
 「ああいう展開になると思っていたので、レース前に大西に『踏み遅れるな』と話していました。でも、いくのがちょっと遅かったですね。出口君にいいのをもらってしまって。綺麗に止まったけど、最後はタレてくれたから抜けました。大西との相性は良かったり、悪かったり。でも、良いのが8割りです」
 3着にも高市訓但が続き、四国で確定板を独占した。しかし、大西祐は白星を挙げられず苦笑い。
 「絶好の展開になりましたね。ローラーに乗った感じも、顔見せでも、感じが良かったです。でも、本番が重くて。児玉さんが出口さんに絡まれて、上を走ってズルをしたけど抜かれてしまいました。押し切らないとアカンですね。でも、ワンツースリーで良かったです」
 長尾拳太は前団を叩けず7着。地元記念の勝ち上がりを逃して、しばし呆然。
 「叩ける脚がないですね。ジャンでもっと踏めば、大西さんが立ち遅れるかなとも思ったけど(中団が空かなかった)。出切れていれば…」

<6R>
 一戸康宏が中団の窓場千加頼にしばらくフタをして、打鐘から主導権を握る。これで7番手に置かれた窓場は4コーナーから反撃。ジワジワと前団に迫ると、山下渡のブロックを乗り越え、粘る一戸をゴール前で捕らえた。
 「叩ければ良かったけど、叩ける感じではなかったので、外併走で休みながら行きました。1センターで小原(将通)さんとからんでかなり失速したけど、なんとか山下さんのブロックも乗り越えられました。ラインで決められなくて申しわけないですね」
 絶妙のペース配分で駆けた一戸康宏が2着に粘り込んだ。
 「意外と1番(窓場)がじっとしていたので、すんなり駆けられました。脚は全然、問題ないです。もっと強烈に踏み直せれば良かったんですけどね。なんとか2着に残れて良かったです」
 紫原政文は最終2コーナーで篠塚光一を外に弾いて、窓場の後位にスイッチ。懸命に追って3着に入った。
 「前回が悪かったんですけど、今日は久々に動けました。(スイッチしたのは)あそこしかないと思って。(窓場の)まくりに付いて行って、(山下が)ブロックした時に内に行ければ良かったけど、そこまでの余裕はなかった」

<7R>
 丹波孝佑が打鐘過ぎに野口大誠を叩くが、金子幸央がすかさず巻き返し最終ホームで主導権。4番手に切り替えた佛田一夫以降を引き離して力強く逃げた金子が、別線を封じて最終4コーナーを迎える。ゴール前で芦澤辰弘がきっちり差し切った。
 「今日は金子君が強かったです。自分のできることを精一杯やるだけだったし、最後はしっかりラインで決まるような踏み方をしました。その辺の判断はできたと思います」
 逃げた金子幸央が2着。力強い走りで関東ラインを上位独占に導いた。
 「風は分からなかったです。後ろがしっかりしているので、安心感はあったし、緩んだところで仕掛けていこう思っていました。自分の仕事はできたと思います」
 ライン3番手の田村真広がきっちり3着に流れ込んだ。
 「前2人が調子良いし、安心して付いていきました。出切ってからは絶対誰も来れないと思いましたよ」

<8R>
酒井耕介選手
酒井耕介選手
 嶋津拓弥、佐藤和也の順で前に出ると、その上を押さえた角令央奈が先行策に出る。佐藤和也が中団を確保し、嶋津が7番手。隊列は一本棒で最終ホームを通過する。番手の酒井耕介(写真)は波を作って別線をけん制すると、直線で抜け出した。
 「記念は恵まれすぎ。ほとんど、初日はクリアしています。ダメだったのは平記念くらいかな。付いていて、後ろを見て蛇行する余裕もありました。嶋津君も、見たらはるか後ろにいたんので良かったと。結果、(嶋津を後方に置いて佐藤ラインと)協力みたいになってくれましたね」
 佐藤和也はまくってきた嶋津に合わせ、バックから踏み上げる。しかし、前団をまくり切れず2着まで。
 「タイミング的に、角君とやりあったらまくり頃になってしまうので、出させました。(バックから仕掛けたが)本当は2コーナーからいきたかったけど、嶋津君がきたからいくしかないと。重かったですね。2着まではきたけど、もうちょっと車が出る予定でした。来る前の練習は調子が良かったので、先行でもと思ったけど」
 苦しい展開となった嶋津拓弥は、大外を懸命に踏み続けて3着に入った。
 「ミスりましたね。すんなり先行できるかと思ったけど甘かった。(大外を踏まされて)きつかったですね。でも、あれで出切れる脚がないと。まだまだです」

<9R>
楠木孝志郎選手
楠木孝志郎選手
 打鐘で飛び出した飯田憲司に対し、4コーナーから水谷好宏が襲いかかる。前団のもがき合いを楠木孝志郎(写真)が豪快にまくって快勝した。
 「水谷さんがホームで行って、切り替えて一気にまくれれば良かったんですけどね。スパッと行ける脚はまだないけど、だいぶいい頃の感じを思い出してきました。ちょっとずつ良くなっているし、感じはいいですね」
 最終バック8番手から外をまくり上げた高橋幸司が楠木を追っていく形で2着に入り、高配当を演出した。
 「先行もできなかったし、組み立ても中途半端でした。(直近4カ月の競走得点は)88点しかないんですけど、明日は倍ぐらいの点数の走りができるように頑張ります」

<10R>
田中晴基選手
田中晴基選手
 後ろ攻めの稲毛健太が赤板で上昇して前受けの新山響平を押さえる。新山は7番手へと下げて、徐々にピッチを上げた稲毛がグングンと加速して一本棒のまま最終ホームを迎える。中団を確保していた松谷秀幸が最終2コーナー手前から仕掛けると、そのスピードをもらった田中晴基(写真)が直線で鮮やかに突き抜けた。
 「今日は中団中団の作戦でした。脚はたまっていましたね。南(修二)さんに松谷さんが止められたかと思ったけど、乗り越えてくれた。自分は引き続き調子が良いし、自力選手にお世話になりっぱなしです」
 南のけん制を堪えた松谷秀幸が2着に入り、南関ワンツー決着となった。
 「きつかったです。落車しなくて良かった。今日は中団中団で行こうと思っていたました。道中の橋本(強)君の切り替えは効きましたね。後ろに2人付いていたので、とにかく仕掛けようと思って踏み込みました」
 赤板から2周先行の稲毛健太が長い距離を最後まで踏み切り、3着に踏ん張った。
 「前々に行った方が残ったりしているし、駆けてしまえばなんとかなるかなって思っていました。新山君に1回やられているので、今日は主導権取れて3着に残れて良かったです」

<11R>
柴崎淳選手
柴崎淳選手
 竹内雄作が赤板の1センターでハナに立つと、巻き返してきた河端朋之を突っ張って出させない。河端は筒井敦史のアシストで3番手に降りる。番手の柴崎淳(写真)は車間を切って竹内を援護すると、直線で追い込んだ。
 「雄作の好きに走ってもらいました。大体のことはわかるので。(後ろに河端がいて)気持ちに余裕がなかったですね。雄作の踏み直しもすごかったです。差せたけど、自分の調子はいまいち」
 河端朋之は2センターから再度仕掛けたが、柴崎を交わせず2着。
 「叩ききれなかったです。雄作は強いですね。筒井さんに場所を取ってもらって、筒井さまさまです。柴崎君が車間を空けたとき(最終バック前)にいけばよかったんですけど、(自分も)バックを踏んだ感じがあって出られなかったです。(久しぶりの実戦で)この自転車に1、2カ月ぶりに乗るので、ダッシュの感じがつかめていないですね。でも、初めて記念の特選に乗って優秀にいけたので、明日は良い経験をしたい」
 地元の竹内雄作は、河端らを相手に持ち前の先行力を発揮。3着に残り、優秀に駒を進めた。
 「反応は良いと思います。でも、ラインで決められなかった。優秀はラインで決まるように頑張ります」
 長島大介は2コーナーから踏み込むも、河端に合わされて不発。仕掛けのタイミングを悔やむ。
 「ホームでいけなかったです。(和田)真久留の位置(8番手)ならいったけど…。欲が出てしまいました。自分でレースを作らないと」
 和田真久留は、最終ホームを8番手で通過。2センターからまくり上げるも、前は遠かった。
 「後ろ(攻め)から、風が強い中で押さえにいって、後ろになって。無駄な組み立て。脚を使っただけでした。(後ろの渡邉)晴智さんに申しわけないです」

<12R>
山内卓也選手
山内卓也選手
 最終レースは3連単の配当が50万円を超える大波乱の決着となった。レースは小松崎大地が打鐘から先行。3番手からまくった吉澤純平を成田和也が最終3コーナーでブロック。内に斬り込んだ岡田征陽とからんで成田が落車。さらに岡田、吉澤、東口善朋も落車する。バックから内を進出していた山内卓也(写真)が落車を避けて追い込んだ。
 「危なかったですね。成田さんが転んで、その後に(岡田)征陽がグラグラしていたので、どっちに行くか見て、外に行ったので、思いっきり内に行きました。落車もあって素直に喜べないですね。でも、初日特選の1着はなかなかないので」
 小松崎大地が後続のもつれもあって2着に粘り込んだ。
 「すべて成田さんのおかげです。いつも仕事をしてくれるので、あとは任せて目いっぱい踏むだけでした。明日も自力で頑張ります」
 最終バック最後方から落車を避けた大塚健一郎が3着に食い込んだ。
 「1回目(の落車)は意識して避けられたけど、2回目は無意識で体が動いた感じですね」
 人気の稲垣裕之は5番手で不発に終わった。気持ちを切り替えて二次予選から仕切り直す。
 「3番手の吉澤君もまくれていないし、小松崎君が強かったですね。詰める勢いで仕掛けて踏み出した瞬間は行ける感じがあったけど、落車もあって、その後に少し接触して行けなかったです」
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