『豊橋競輪開場71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月28日

 豊橋競輪開場71周年記念「ちぎり賞争奪戦」が1月28日に開幕した。メインの初日特選は、まくった深谷知広のさらに外を単騎でまくり切った松浦悠士が快勝。一次予選では、地元の吉田敏洋や、武田豊樹、志智俊夫らが白星スタートを切った。29日の2日目は、二次予選7個レースで準決勝進出が争われる。
 開催中は毎日、イベントステージにて「伊藤克信の総天然色 豊競予想劇場」と題した予想会を実施します。さらに、29日の2日目は二次予選7個レースの勝利選手インタビューが行われます。本場へご来場の際は、検温・手指の消毒・マスクの着用等にご協力をお願いいたします。混雑状況により、入場制限を行うことがありますのでご了承ください。

<1R>

 赤板過ぎに中島将尊が、打鐘前に花田将司が切ったところを中井太祐が叩いて先行態勢に入るが、そこに今岡徹二がカマシで襲いかかる。今岡は最終ホーム過ぎに出切るが、この動きに続こうとした中島を張りながら中井がバックまくり。大崎飛雄馬にからまれながらも続いた神田紘輔がゴール前で逆転した。
 「(大崎と)接触があって、それを耐えたぶん2センターから4コーナーで踏みすぎてしまいました。余裕はあります。去年の松阪記念で決勝に行って、あれから1年が経ったんで久しぶりに決勝に行きたい」
 3番手で立て直してまくった中井太祐が2着に粘った。
  「(今岡徹二は)出させてもいいかなっていう判断で、すぐに中島(将尊)君が追い上げてきたので、位置をしっかり取って出ていきました。風は全然なくて、豊橋じゃないみたいでした」


<2R>

 赤板過ぎに先頭に立った三好陽一がペースを上げないと見るや、小原太樹が中団から踏み上げて打鐘過ぎ4コーナーで先頭に立つ。これで仕掛けやすくなった高橋和也は7番手から一気のカマシ。続いた原真司が抜け出した。
 「(別線が)後ろから来てる気配もなかったです。カカっていましたね。スピードも上がっていたので付きやすかったし、展開に恵まれました。最近はずっと感触がいい。今年初1着なんで良かったです」
 タイミングを逃さず仕掛けた高橋和也の動きも良かった。
 「(小原が)切りに行って、ちょっと流れたのでカマしに行ける感じになりました。ダメでもホームから行くつもりだったんですけど、いいタイミングで行けました。みんな脚を使っていたので、すぐにまくって来るラインはないだろうと思ってペースに入れて、最後は踏み直したけど差されちゃいました。ラインのみんなが勝ち上がれたのは良かったです」


<3R>

伊代野貴照選手
伊代野貴照選手
 各ラインで切り合いになり、打鐘で坂本貴史が前に出たところを小林史也がすかさず叩いて主導権を握る。後方になりそうだった松田大が内をすくって、3番手で坂本と併走に。坂本は外併走から踏み上げるが、合わせてバックから番手まくりに出た伊代野貴照(写真)が押し切った。
 「相手が強かったので作戦は立てにくかったですけど、(小林)史也が頑張ってくれました。(坂本に)真後ろから来られて一回踏んだ時に止まったかなと思ったけど、そこからバック踏むよりはと思ってシビアに行かせてもらいました。アップの時にローラーに乗りながらセッティングを触っていい形になりました」
 坂本マークから中を割った杉山悠也が伊代野に迫った。
 「終始落ち着いていました。(坂本)貴史がどこから行くかなと思っていたら、久米君に合わせて踏んでくれたけど、伊代野さんに合わされてキツそうでしたね。雨は嫌いですけど踏めていたので(感触は)いいと思います」


<4R>

 中団から合わせて動いてきた工藤文彦を叩いて飯野祐太が打鐘から先頭に立つ。そこを4コーナーから伊藤裕貴がカマして来るが、竹田和幸が離れて裸逃げに。適度な車間を保って追いかけた飯野が直線で伊藤をとらえた。
 「意外な展開でした。自分が切って、工藤さんが来るかと思っていたんですけど。先行は結果できなかったけど、一車だったので飛びつきました。ジャンのところも、最終バックでも詰まったところがあったので、そこで行かないといけなかったですね。これでは二次予選とか特選の人たちを相手には通用しないんで修正します」
 竹内智彦が飯野にピタリと続いてワンツーを決めた。
 「(伊藤を)ホームで止めて飯野の先行でもいいかなと思ったけど、一車だったので(飯野を番手に)はまらせた方がいいなと。でもそのまま追いつきざまにバックから仕掛けて行ってれば良かったですよね。(自分の)感触は今日(初日)は楽でした。まあ踏むところもそんなになかったので」


<5R>

菊池竣太朗選手
菊池竣太朗選手
 合わせて出てくる菊池竣太朗(写真)を脇本勇希が強引に押さえて先頭に立つと、そこを月森亮輔が叩いて打鐘過ぎ2センターから主導権を握る。叩かれた脇本は2コーナーまくりで前団を飲み込むが、そこを目がけてバックから仕掛けた菊池が鮮やかにまくり切った。
 「中団、中団で脇本君が駆けてくれたらラインで決まると思っていたけど、月森さんの先行になりました。それでも早めに脇本君も踏んで行くと思ったので、その上を行こうと。突っ張って先行でもいいと思っていたので気持ち的にも余裕があったし、感触も悪くなかったです。練習でも(岡村)潤さんに差されなかったことがないのでうれしい」
 菊池に鋭く迫った岡村潤だったが逆転はならず。
 「(菊池)竣太朗の脚なら行けると思っていました。ホームで行けるタイミングがあったので、そこでちょっと構えてしまって最後は…。でもそういう意味では反応ができているので。あっせんが空いて練習ができたぶん重たく感じたけど、明日(2日目)からは軽くなると思います」


<6R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 後ろ攻めから押さえにきた小堺浩二を前受けの眞杉匠が突っ張る。打鐘で追い上げて3番手をキープした岡崎智哉は車間を詰めた勢いで2センターから仕掛けるが、これを張りながら踏み込んだ武田豊樹(写真)が昨年9月取手以来となる勝ち星を挙げた。
 「(眞杉は小堺が)遅かったから突っ張ったって言ってました。(岡崎は)カマシ気味に3番手に入ったから脚に余裕があるんだろうなと思ってました。眞杉君の先行は緩むところがない感じだったし良かったですね。最近は後方からの巻き返しっていうレースばかりだったので、今日(初日)は展開が向きました」
 追い上げて3番手を確保した岡崎智哉は2センターから外に持ち出すも2着まで。
 「ラインがしっかりしていたので、流れに応じて前々に踏んで、相手の出方次第でと思っていました。レースがセオリー通りに行かなかったので、作戦通りにはいかなかったですけど、ジャンでカマして考えようと思ったら、なぜか3番手に入れた。そこからは武田さんに見られて終わってしまいました。そこを乗り越えるのが自分の仕事だけど、それができなかったです」


<7R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 近藤夏樹の上昇に合わせて先頭に立った柴崎淳は引いてカマしてきた林大悟を出させず主導権を握ると、番手の志智俊夫(写真)が好展開を生かして抜け出した。
 「(渡邊健が離れてライン)2車になったのは確認してなかったです。外して内に入られたらダメなので。(柴崎は)ずっと踏んでいましたね。自分は踏み出しだけ集中していました。(一走した感触は)十分な仕上がり。(前回奈良FIの)落車でフレームもダメになったけど、直してもらって良く進んでいます」
 赤板の1センターで先頭に立った柴崎淳だったが、ほぼ2周風を切って2着に粘った。
 「(林が)もっと早く来ると思ったけど来なかったので覚悟を決めて行きました。場所も場所だったので。ずっとペースに入れてない感じ。(欠場期間に体重が増えて)風がある時は有利かもしれないですね。不安9割だったので気持ちだけでした」


<8R>

 前受けから7番手に下げた河端朋之は打鐘過ぎから一気のカマシ先行。3番手以下を引き離すと、番手の柏野智典が直線でとらえた。
 「(河端が)タレるのは、僕らにとっては優しいところですよ(笑)。もうワンテンポ早く行くかと思ったけど、どっちにしても僕は付いていけるか、いけないかでした。3コーナーくらいではワンツーだなと思った。やっぱり河端はスピードがすごかったです。僕としてはちょっと重たかったってのが正直なところだけど、付いて行けたのでマルですね」
 柏野に差されたものの河端朋之は自慢のダッシュで見せ場を作った。
 「タイミングを取って行けたので、すんなり一本棒になるかなと思いました。最後、差されているので、その辺は課題ですね。出切ってからは後ろはほぼ気にせず。柏野さんが付いてくれているので、来ても止めてくれるしマイペースで踏んでいました。点数的にも負けられないレースだったのでなんとか良かったです」


<9R>

和田圭選手
和田圭選手
 前受けから下げて7番手になった小原佑太だったが、中団から金子哲大が動いたところをすかさず叩いて最終ホーム手前で先頭に。詰めた勢いで金子も迫るが、車間を切って後続の反撃に備えていた和田圭(写真)が好展開を生かした。
 「(小原は)ペースに入れてるというか、バックで流している感じだった。初めて付いたから分からなかったけど、最後は踏み直していましたね。でももうちょっとスピードを上げておかないと、金子がまくり追い込みみたいな感じで来るかもしれないってことは伝えました。(感触は)今回おもいっきり休んだ割には、思った以上に大丈夫でした。疲れが抜けて良くなったのかもですね」
 カマした小原佑太もしっかりと2着に逃げ粘った。
 「残り1周半で行くつもりだったので、(先に金子が切って)自分としてはいい目標ができました。(和田と)ワンツーが決まって良かったけど、後半はタレてしまったので、もう少しタレないようにしたいです」


<10R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 中団の竹内雄作にフタをして前に出ようとした成松春樹を前受けの市川健太が突っ張ると、流れは中部勢に。竹内が打鐘から仕掛けてライン3車できれいに出切ると、別線には出番なし。最後は番手の吉田敏洋(写真)が鋭く抜け出した。
 「(竹内)雄作だから、ある意味走ってきた歴史が違うし、だからこそ下手なレースはできないから緊張しました。ライン3人でしっかり決まって良かった。今日(初日)は風はないけど、変な天気なのでバンクは重たい感じがする。(竹内は)あれだけ行って粘っているし、調子も上がってきてるんでしょうね」
 逃げた竹内雄作もラインで上位独占の結果に満足げ。
 「先行も考えていたけど、いい展開になりました。(成松を)市川さんが突っ張って、すかさず行けたので状態はいいです。前に出る時も踏み込んで出たっていう感じじゃなくて、ラインで出切れたっていう感じがしたし、出切ってからは自分のペースで踏めました」


<11R>

 打鐘前2コーナーで先頭に立った吉田昌司を人気の山口拳矢が中団外併走からまくりに行くが、これを杉本正隆が1コーナー、さらに2コーナーでも強烈にブロックする。これで完全に失速した山口はまくり不発。杉本が吉田をかばいながらゴール前で抜け出した。
 「吉田の頑張りが全てです。とりあえず前に出て、そこから考えた方がいいってことでした。感触はいいと思います」
 吉田昌司は杉本の好ガードを味方に2着に逃げ粘った。
 「舐められないように頑張りました。中団の併走が分かったので、自分はわざとゆっくり踏んで上手く駆けられました。杉本さんもすごいやってくれてたので、もっと踏まないとと思って頑張った。なんとか良かったです」


<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 赤板でハナに立った山田英明を、野原雅也が打鐘で叩いて先制。8番手になった深谷知広は4コーナーから反撃に出ると、最終1センター3番手から合わせてまくった山田の上を乗り越えて3コーナーで野原をとらえる。しかし、最終1センターで深谷ラインの後ろに切り替えていた松浦悠士(写真)が、さらにその外をまくり切って激戦の初日特選を制した。
 「単騎でもしっかりまくりに行こうと思ってました。前で踏み合いになったので、どうなっているかは見えてなかったですけど。深谷さんがトップスピードに入ったところで、さらにスピードを上げて行けました。自分の中ではタイミングも取れた。フレームは同じだけどセッティングを変えて、アップの段階から良かったので明日(2日目)もこのまま行きます。体の感触はいい」
 深谷の番手から伸びた佐藤慎太郎が2着に入った。
 「深谷が強かったです。自分はまだちょっと疲れがありますね。(前回の)大宮記念と同じ感じだから、準決勝くらいから良くなってくると思うし、今日(初日)より明日(2日)の方が良くなると思う」
 大外をまくった深谷知広は3着に粘った。
 「むりやり行ったんですけど、まだ疲れが抜けてないというか、重たいですね。以前、(佐藤)慎太郎さんと連係した時は力を出せなかったけど、今回はやれるだけやりました。しっかり疲れを取りながらですね」