『豊橋競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:9月5日


 豊橋競輪場で開催されている開場60周年記念「ちぎり賞争奪戦」も三日目と大詰めを迎えました。今日は決勝のシートを賭けて激戦が繰り広げられた準決勝4レースを中心にお届けします。また、明日11レースに行われるルーキーチャンピオンレース「若鷲賞」の出場メンバーも競輪場入りしましたので、こちらのレポートも併せて御覧下さい。
 なお、最終日となる明日も競輪場では恒例となったスピードクジ配布や予想会に加え、折り畳み自転車が当たる「最終レース1着当てクイズ」やうなぎの掴み取りサービスなど楽しいイベントが盛りだくさん。ぜひこの機会に本場へと脚をお運びください。


<8R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
   1着権利の狭き門をくぐり抜けたのは桐山敬太郎(写真)。先行した小野大介を力で捻じ伏せ先頭でゴール線を駆け抜けた。
 「今日は先行のハコってコメントしている選手もいたので最初からまくりと決めていました。競りの割には小野君もかなり飛ばしていたけれど、僕も落ち着いて仕掛けられましたね。今回は無欲で走れている分、結果が出ているのでしょう。体調はイマイチだったけれど、まさか決勝に乗れるなんてね。欠場しなくて良かったです。明日もオールスターにつなげられるような思い切ったレースをみせますよ」
 桐山の番手だった三住博昭は懸命な追い込みを見せるもタイヤ差届かず決勝の切符を逃す。
 「桐山がドンピシャのタイミングで仕掛けていたからね。小野にブロックを食らった桐山を抜けないのだから、力不足としか言いようがない。でも、僕も腰が万全な状態じゃない中で順位決定Aに乗れるのだから上出来です」
 積極的に先制した小野大介だが、後ろが競りとなって隊列が短くなった事が痛手となった。最後は自ら桐山をブロックするなど、必死の抵抗を見せたが、直線で失速し4着に沈んだ。
 「仕掛ける場所も間違ってなかったし、バックからもきちんと踏み直せたんですけどね。桐山さんのスピードが違いすぎました。後ろがもつれている事は全然わからなかった。力を出し切った結果だから仕方ないけれど、二分戦で後ろが競られては相手の思うツボですよね。今度はその辺ももう少し考えてレースを組み立てます」


<9R>
高橋和也選手
高橋和也選手 島野浩司選手
島野浩司選手
   苦戦が続いた地元勢だが、このレースはきっちりファンの声援に応えた。スローペースに業を煮やした佐々木健司の先行を、最終二角から仕掛けた高橋和也(写真)が鮮やかにまくり切り地元記念ファイナルへの切符を手に入れた。
 「先行も考えていたけれど、前がずっとイエローラインあたりまで上がっていたのでまくりに切り替えました。二角で踏み出したときは良い感触だったけれど、バックで何発か牽制を食らってしまい危なかったです。でも最後まで何とか踏み切れたし、落ち着いてレースも見れていたので感じとしては悪くない。記念決勝はこれが初めてです。全然実感は無いけれど、地元記念なんて滅多にないチャンスなので、何としても頑張りたいですね」
 高橋のハコを死守した島野浩司(写真)が2着。地元勢のワンツー決着に喜びを爆発させる。
 「(高橋)和也もあの状態から良く仕掛けてくれた。僕も前反にキツいブロックを食らったけれど、それでも前と離れず付いていけたのだから悪くはないです。前日の落車の痛みが無いわけではないけれど、競走に影響はありません。今日は必死すぎて地元戦って事も忘れていたけれど、決勝に乗れた事は素直にうれしいですよ」
 高橋に合わせて仕掛けた前反祐一郎だが、島野とのヨコ勝負に屈し3着。決勝進出を逃し悔しさを滲ませる。
 「仕掛けるタイミングはドンピシャだったので『行ける!』と思ったけれど、大熊さんに当たってしまいスピードが鈍ってしまった。その後もまくった高橋に必死に食い下がったんですけど、最後に島野さんに強烈なブロックを一発もらったところで脚が終わってしまいました」


<10R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手 永井清史選手
永井清史選手
   最終ホームで永井清史の番手にはまり込む絶好の展開となった石丸寛之(写真)がゴール前できっちりと抜け出し今シリーズ2勝目で決勝へと進んだ。
 「とにかく前々を心掛けてレースをしました。打鐘過ぎで僕が上がっていったら、永井も仕掛け、一旦降りようと思ったらハコにハマっていました。あいつは僕を警戒して相当流していたので僕もなかなか仕掛けられなかったけれど最後はきっちり差せましたね。初日は脚がパンパンだったけれど今日はだいぶ良くなっている。決勝は自力が多いけれど僕は細切れ戦が大好き。面白いレースが見せられると思いますよ」
 石丸にはまり込まれ万事休すかと思われた永井清史(写真)だったが、巧みなペースで脚を温存し3着に逃げ粘った。
 「今日は常に石丸さんの前でレースをしようと思っていた。石丸さんが上がってきて被るのが嫌だったので、合わせて踏み出しました。(山口)富生さんが離れて石丸さんが入り込んだのはすぐに気付いたので、そこからは石丸さんのまくりに合わせられるように、ペースを落としてとにかく脚を溜めました。焦らずに冷静にレースが見れていましたよ。手応えもあるし、調子は良いですね」
 2着入線は石丸後位にハマった松本一成。久し振りの記念決勝に顔もほころぶ。
 「今日は相手が格上なので、とりあえず打鐘から積極的に仕掛けたら、いつの間にか永井―石丸さんの3番手にハマっていた。前は赤パンツ(SS班)の人たちだし、下手に動かず内だけ締めて付いていったら2着ですよ。こんなラッキーってあるんですね。今日、脚を温存できた分、明日も良いレースができると思いますよ」


<11R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手 合志正臣選手
合志正臣選手
   連日鋭いタテ脚が目立つ岡部芳幸(写真)がこの日も豪快なまくりで圧勝し、決勝メンバーへと名乗りをあげた。
 「最終ホームで緩んだところを海老根が先に仕掛けてくれたので、その後を追走しうまくスピードをもらえた。海老根が行かなきゃ僕が行くつもりだったけれど正直ホームから仕掛けたらもたなかったでしょう。流れが向きましたね。今回はギアを一枚あげたぶん、踏んだ感触は良くないけど、車の進みは悪くない。上がり11.0も悪くないタイムですしね」
 前を任せた山田英明が不発に終わると瞬時に切り替えて岡部ラインを追走した合志正臣(写真)が3着に食い込んだ。
 「決して体調が良いわけでは無いけれど、レースはしっかり見えていますね。最後の直線で伸びているのはギアが噛み合っているからかな? 今回から3.79にあげたけれど、日に日に感触がつかめてきている。ただ、本当に絶好調の頃なら今日の展開なら2着まで行けているんですけどね」
 最終ホームから強引に巻き返した海老根恵太だったが四角で力尽き決勝を逃した。
 「仕掛けたタイミングが悪かったですね。あのままだと志村(太賀)君の一角先行になってしまうし、後ろから岡部さんが来ているのも分かったのでちょっと焦ってしまいました。志村君にバッチリ合わされてしまいましたね。調子は悪くないと思うんだけどなぁ…」



ルーキーチャンピオン(11R) レース展望
 明日6日の11レースに95回生の精鋭9名によるルーキーチャンピオンレース「若鷲賞」が行われます。次世代のスターによるフレッシュで熱い戦いが繰り広げられます。本日、前検入りした選手の様子をレポートします。

 実力ナンバーワンは上原龍(写真)だ。在校1位の成績で卒業記念レースも優勝。デビュー後は無傷の9連勝でいち早くチャレンジレースをクリアし、その後も出世街道を順調に歩んでいる。
 「明日は中部が二段駆け態勢だけど、相手がどうこうというより、自分自身の力が重要なんで。気負わずに落ち着いていきたい。強い人が一杯いるから巧くいくか分からないけど、自分から動いてレースを作りたいですね。師匠(市村和昭)には『頑張ってこい』と言われました。ここで骨折して入院してるんです。師匠の二の舞にならないようにしたいですね(笑)」 冗談を飛ばすほどの余裕を見せていた。

上原龍選手
上原龍選手
重倉高史選手
重倉高史選手
村上直久選手
村上直久選手
緑川修平選手
緑川修平選手
山崎司選手
山崎司選手
 対する中部勢は山崎晃-重倉高史-坂口晃輔の並びとなった。先頭の山崎晃の動向が気になるところだ。
 「平塚のレインボーカップのときと前後は逆になりました。深い意味はなくて、二人で話し合ったら今度は逆にしようと。上原と村上さんは強烈ですからね。でも、いつも通り戦えば大丈夫だと思います。調子は普通ですね」

 番手の重倉高史(写真)は「番手は学校時代を含めて初めて。どんな感じなのか楽しみですね。自分は初日はいつもボーっとしていて、中途半端なまくりになって失敗することが多いんです。でも、明日はしっかりと気合を入れて走ります。山崎(晃)君にしっかり付いていって、そこからどうなるかですね」と、二段駆けを匂わす。

 坂口晃輔は三番手を固める。
 「平塚レインボーのときは三番手を回って、内をすくわれて失敗。今回はしっかりと走りたい」

 強地脚が売りの村上直久(写真)は今回は援軍なし。明日は中部ラインの後位から活路を見出すが、本調子を欠きトーンは低い。
 「単騎戦も考えたけど、単騎は苦手だし明日は中部勢の後ろから組み立てたい。最近は調子が落ち目だし良くないですね。完全に夏バテです。明日はムダ脚を使いたくないですね。ペースは緩まないと思うけど、チャンスがあれば一発を狙っていきたい」

 村上とは対照的に、元気が良かったのは緑川修平(写真)。報道陣の質問に力強く答える。
 「仕上がりは良いし絶好調です。師匠(添田広福)にアドバイスをもらったし、『頑張って勝って来い』と言われました。一人だけA級3班で遅れているけど、ここで挽回したいですね。普段は先行、まくりだけど、明日は勝ちにこだわるレースで頑張ります。優勝する自信ですか? あります!」

 山崎司(写真)は緑川追走から優勝を狙う。
 「今回は前を抜けるようにスピード練習をやってきました。感じは良かったですよ。自分は選ばれただけでも光栄だけど、チャンスがあれば優勝を狙っていきたい。自分は後ろを回った方が成績が良いので楽しみ」

 芦澤辰弘は上原に前を託す。
 「最近は決勝に乗ってないけど、勝負できる脚はあると思います。上原さんは強いし、スピードに乗せて貰った方が持ち味を発揮できるのでチャンスはあると思います」

 才迫勇馬は単騎勝負を選択した。
 「持ち味を発揮するのは一人でも自力でやった方がいいと思います。前回(熊本)からあまり間が空いていないけど、良い状態を維持していると思います」


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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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