『豊橋競輪開場61周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:7月29日


 豊橋競輪開場61周年記念「ちぎり賞争奪戦(GIII)」がいよいよ今日から開幕。連日続いた猛暑から一転、この日は荒れ模様の天候となったものの、注目の深谷知広と脇本雄太は、共に磐石なレースで難なく二次予選へ進出を決めた。
 なお、明日(30日)は場内でも、炊飯器やオリジナルクオカードが当たるスピードクジが先着入場1000名様に配布されるほか、特設ブースではお客様参加型のサイクルタイムトライアルなども実施されますので、こちらの方もお楽しみに。


<1R>
 オープニングレースを制したのは浦山一栄。打鐘から押えて駆けると、巧みなペースで後続をもつれさせ、まんまと押し切った。
  「最初から先行するつもりだったけど、雨で視界が悪い分、別線も見えづらそうだったし、思い通りの展開に持ち込めました。小埜君と三宅君がやり合ってるときはシメシメって感じでしたよ。ただ、菊池君が失格してしまったので、手放しでは喜べませんね。明日は、もっとメンバーが強くなるけど、自分は自分の競走をするだけです」


<2R>
 先行した松本一成の番手から抜け出した廣川貞治が1着。1レースに続き東京勢が連勝を飾った。
  「余裕はなかった。バックでは自然と車間が空いてしまったけど、結果的にはそれが良かったのかな。3.86にギアを上げ、重く感じたけど最後はその分伸びているし、これからもなんとか使っていけそうです。豊橋は前回のFIでもピンピン(1着、1着)で勝ち上がっているし、相性は良いですね」
  最終ホームから巻き返した地元の鈴木伸之は、2角での小林孝文のブロックをしのぎきり、2着に食い込んだ。
  「小林君に当たられて、完全に止まってしまい、正直『ヤバイ』と思った。でも、立て直して必死に踏んだら運良く3番手に入れました。あれがなければ終わっていましたよ。本当は1着が欲しかったけど、地元記念で勝ち上がれたことにはホッとしています」


<3R>
 3レースを制したのは山原利秀。高田大輔の先行に乗り、直線で鋭く伸びた。
  「本当は初手で中団を取り、関君がいったん斬った所をカマす作戦だったけど。思い描いた流れとは違ったけど、いずれにせよ大輔は先行する気が満々だったし、本当に頑張ってくれた。今日はあいつの頑張りに尽きます」
  中団確保から、谷田泰平に合わせてまくった関一浩は3着に食い込んだ。
  「僕の脚では中団まくりしか勝機はないので、スタートの位置争いはシビアに行かせてもらった。思い通りの組み立てはできました。最後は山原さんが車間を空けていたのできつかったけど、力任せで踏んだらなんとか入着できた。僕の実力からみれば、この結果は満足です」
  関の仕掛けに離れた中山善仁だったが、内を突き2着に強襲した。
  「本当は関に付いていかなくてはいけないけど、北さんに締めこまれ離れてしまった。かといってズルズル下がるわけにもいかないので、申し訳ないけど内を行かせてもらいました。自転車の感覚もイマイチだし、明日までにもう一度セッティングを微調整します」


<4R>
 先行した女屋ラインの後位からレースを進めた、國村洋が最終4角から踏み込み直線で突きぬけた。
  「今日は顔見せから、メチャクチャ脚が重かったけど、レースが始まってからはどんどん軽くなった。目標の無いレースだったけど、何とか勝てて良かった。記念では久々の1着だし、明日もしのいで何とか準決には乗りたいね」
  和田健太郎は最終バックから仕掛けるも、2着までが精一杯。
  「前も緩んでいたし、1コーナー辺りで仕掛けていれば、なんてことなく1着が取れたはず。でも、前を気にし過ぎて動けなかったのは僕の甘さですよね。後ろにも迷惑をかけたし、自分の状態も良かっただけに、本当に情けない」


<5R>
宮崎康司選手
宮崎康司選手
   今期S級に昇級したばかり宮崎康司(写真)が気風のいい先行策を披露した。打鐘から一気に飛び出すと、そのまま1周半逃げ切り。地元期待の倉野隆太郎を下す大金星を挙げた。
  「レースの流れに恵まれた部分もあるけど、とにかく行けるところまでと思い切って行ったことが良い結果につながりましたね。脚の状態がそんなに良かったわけでもないし、まさか逃げ切れるとは思っていませんでした。これが良いアピールになったと思うし、明日も気を引き締めて頑張るだけです」
  番手追走の小川巧も宮崎の強さに舌を巻く。
  「あいつは、打鐘でも脚を使っているし、手嶋に内をしゃくられたところでも脚を使っているのにね。直線では全力で抜きに行ったけど、全く詰まりませんでした。中四国にも、頼もしい若手が出てきたね」


<6R>
高谷雅彦選手
高谷雅彦選手
   打鐘から押えて駆けた高谷雅彦(写真)が巧みなペースで別線を一蹴。ラインで確定板独占を演出した。
  「ここに来る前には、僕が音頭を取って、街道合宿をしてきた。その成果を出せたことは嬉しいですね。今日はメンバー的に先行一車と恵まれた部分もあったけど、脚の感じも良かったし、バックも流れました。今日は1Rで、同じ歳の浦山君も逃げ切っていたので、何とか僕もと思っていたし、S級特進がかかっている弟子の佐藤和也にも、良い刺激を与えられたと思います」


<7R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
   打鐘から飛び出し貫禄の逃げ切り勝ちを見せた脇本雄太(写真)だったが、レース後は反省の弁が口を突く。
  「澤田さんを競らせないように考えて走ったつもりだったけど、結局、白岩さんに粘られてしまった。僕が波を作って内を空けてしまったことが良くなかったのかな? 前回、向日町で連係した時と同じ失敗をしてしまいましたね。ただ、僕自身は、踏み出しから軽く感じたし、しっかり踏み直しも効いたので、脚は悪く無いですよ」
  白岩大助に飛び付かれた澤田義和は、しのぎきるも脇本から離れ5着に沈んだ。
  「狙われることはわかっていたけど、打鐘でいったん出切ったことで一瞬気を抜いたら、再び白岩君に来られてしまった。ちょうど締め込んでいる瞬間に脇本がペースを上げてしまい、付け切れなかった。ギアも少し足りなかったのかな?」
  直線を強襲し、2着に食い込んだ高木竜司もレース後は反省しきり。
  「前が競りになるのも、競り合った末、脇本君から離れることも読みどおりだったのに。でも、一番情けないのは、自分が8番手に置かれてしまったことです。後ろにも申し訳ないことをしました」


<8R>
深谷知広選手
深谷知広選手
   最終ホーム7番手から巻き返した深谷知広(写真)がロングまくりで快勝。地元ファンの声援に勝利で応えた。
  「本当はもう少し良いタイミングで仕掛けられればよかったけど、先頭が掛かりきる前に出きりたかったのでムリクリいきました。出切ってからは、巧く回せて最後は踏みなおせたし、回した割りには上がりタイムも悪くなかったので、調子は悪くないのでしょう」
  渡邊健をどかし深谷の番手を奪取した関戸努が2着に続いた。
  「深谷がまくりになった時点で、番手飛び付きを狙っていました。本当は桂馬を入れてあげたかったけど、あいつも踏み遅れていたので、渡邊さんに押し返された反動を使って前に踏ませてもらえました」
  関戸にどかされた渡邊健も必死に食い下がり3着入線を果たした。
  「僕は深谷に良いスピードをもらえていたので、食らいつけました。本来なら大敗のケースなんですけど、深谷サマサマですね」


<9R>
江守昇選手
江守昇選手
   特選レース初戦を制したのは松岡孔明ラインの3番手からレースを進めた伏兵・江守昇(写真)。松岡の中団まくりを横田努が大きく牽制すると、空いた内に瞬時に飛び込み直線で突きぬけた。
  「落ち着いてレースは見えていたし、内に行けばチャンスがあると思っていました。結果的に落車に巻き込まれずに済みましたね。半年振りの1着が記念の特選だなんて信じられませんよ。これで準決勝を確定させられたことも大きい。僕は4~6着が多い選手なので、これをきっかけに勝ち星を増やしていきたいですね」
  先行した牛山貴広も2着の結果に納得の表情を見せる。
  「ホームは結構重く感じたけど、道中は結構楽に踏めていました。直前に、全日本選抜に出る栃茨勢の合宿に参加させてもらい、充実した練習ができていたし、今日はその成果が競走に出せましたね」
  江守に続いて内を突いた平沼由充も2着同着で優秀競走へと駒を進めた。
  「五日市君がかなり良いスピードだったので、僕もその勢いを殺さぬように空いた内を突きました。今日みたいな力勝負の3分戦になると4.08のギアの威力が生きますよね」
  最終バック7番手から好回転でまくった五日市誠だったが、落車した井上剛のあおりを食って7着に沈む。
  「ゴール前まで伸びていくイメージだったんですけどね。脚にまだ余裕があった分、なんとか落車はまぬがれた。落ちなかっただけも良しとします」


<10R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   目まぐるしく前が入れ替わる細切れ戦を制したのは矢口啓一郎(写真)。最終ホーム手前からロングまくりを放つと、前団をまとめて飲み込んだ。
  「カマシになったのは結果論だけど、自分で早めに動いてレースを動かすことができたし、今年に入ってから一番のレース。踏んだ感触も良かったし、バックもうまく流れてくれました。それにしても久々に記者さんに囲まれましたよ(笑)」
  追い上げて矢口後位にハマった佐々木龍也が2着に続いた。
  「狙っていたわけではないけど、流れの中で前々に踏んだ結果、稲村君が離れていたので、たまたま矢口君の後位に入れました。自分なりにも踏んだ感じは悪くないですね。二次予選に回って、深谷君や脇本君に当てられたら、かなり厳しくなるし、ここで優秀に進めたことは大きいね」
  3着に入線した荻原尚人はサバサバとレースを振り返る。
  「自分でレースを動かせたし、その中でこの結果は悪くない。ただ、やっぱり脚はまだ足りないですね。本当は矢口君の仕掛けにスイッチしたかったけど、もう脚が一杯で、付いていけませんでした」
  地元戦の島野浩司は内につまり7着。初戦を白星で飾ることはできなかった。
  「柴崎に任せた結果だから仕方ない。あいつも前々に攻めてくれていましたしね。ただ、僕の車の出はイマイチでした」


<11R>
富永益生選手
富永益生選手
   金山栄治が打鐘から飛び出すと、番手の富永益生(写真)が栗田雅也のまくりを牽制しつつ、直線での踏み比べを制した。
  「今日は内から栗田に踏み勝ったし上出来ですよ。普段なら負けパターンですから。栗田はスピードは格上なので、前に踏みつつスピードを合わせながら牽制できたし、その勢いで前に踏めたことが直線で伸びた要因かな。地元戦での1着は素直に嬉しいけど、これはまだ序章に過ぎない。ここで気を抜かず残り3日間もしっかり確定板に乗っていかないとね。最近はなかなか特別競輪にも参加できていないし、競輪祭の権利も視野に入れて頑張っていきますよ」
  まくりきれず2着に敗れた栗田雅也は悔しさを隠し切れず。
  「富永さんに牽制を受けたと言っても、別に違反性のない普通のブロックですからね。あれでスピードが殺されてしまうのは自分が弱いと言うこと。後ろに3人付いてくれたし、意識してワンテンポ早めに仕掛けたつもりだったけど、車の出が悪かった。内容的には全然納得できませんよ」
  いったんは栗田の仕掛けに離れた幸田光博が懸命に追い上げ3着に食い込んだ。
  「突き抜けられる勢いだったし、1着かなと思ったんだけどね。最後は良かったけど、栗田の仕掛けに千切れてしまったし、道中は反省点ばかりだね。ぺダリングがギクシャクしている感じです」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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