『豊橋競輪開場63周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月22日
 豊橋競輪場で開場63周年記念「ちぎり賞争奪戦(G3)」の初日が、22日に幕を開けた。梅雨晴れの絶好のバンクコンディションで行われた1次予選と初日のメーン特選3個レースは、見応えのあるスピードレースが展開された。特選では10レースで金子貴志が鮮やかなまくりを決めると、11レースの深谷知広も島野浩司を連れて華麗な逃走劇を披露。地元からは前記3人が勝ち上がり、2日目の優秀「まくる君カップ」にコマを進めた。
 また23日の2日目は競輪、オート、ボートのコラボ・トークショーなど、様々なイベントやファンサービスが予定されています。ファンの皆様のご来場を心からお待ちしています。ぜひ豊橋競輪場へ足をお運び下さい。
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石井毅選手
石井毅選手
 63周年記念、1次予選は波乱の幕開けとなった。高配当を演出したのは石井毅(写真)。押さえに出た越智展孝ラインの4番手に切り替えると、最終ホーム手前からインを突いて越智の番手を奪取。追い込み勝ちでオープニングを飾った。
 「越智君があのまま駆けてくれれば、先手の中団を取ってと思ってました。脚も軽かったし、まくりに構えてもよかった。そしたら、越智君があんまりにも駆けないから、これじゃ小松崎(大地)君にカマされちゃうんじゃないかと思った。それでああいう形になった。前回でも踏んでいる感じは良かったし、練習はしっかり積んでいる」

<2R>
渡邊健選手
渡邊健選手
 ホームバンクの豊橋勢のトップを切った渡邊健(写真)が、逃げた竹澤浩司に乗って追い込みワンツー。幸先いいスタートに自然と笑みがこぼれる。
 「竹澤君がすごいヤル気で行ってくれた。竹澤君は強いし、僕はただ連れていってもらった感じです。もう自分自身の調子がどうこうとかより、竹澤君が頑張ってくれた。僕もここに勝負をかけていたし、感じは悪くない」
 長尾博幸にフタをされると竹澤浩司は迷うことなく7番手まで下げてから出直し。打鐘過ぎに主導権を握り、後続を一本棒にして先行。積極的な走りが光った。
 「脚も軽かったし。ポイントでしっかり踏めれば、最後までもつ感じですね。(渡邊に)抜かれているけど、悪くはない。初日に先行できて感触を確かめられたのも大きいです」

<3R>
 福田知也との2分戦。山田久徳は福田を警戒しながら、打鐘前の2コーナーで主導権を握りペースで駆ける。
 「あそこで(内を)空けなかったら、ラインで決まってたと思うんですけど…。ジャンのそこだけですね。あっ旋がなかった5月に練習をしてたし、ずっと調子はいいんです。最後も踏み直しができている」と、逃げ切りにも山田は、組み立ての甘さを反省しながら振り返る。
 一度は5番手まで下げた福田知也は、打鐘の3コーナーからインを進出して山田後位で渡辺一貴と併走。最終4コーナーまで競り合いの決着はつかず、直線で踏み勝って2着に入る。
 「結構、早く(山田が)押さえに来たから、自分にとっては(戦法の)選択肢が広がった。あんまりにも前が流してたんで、(番手まで)行きました。渡辺さんは(競りは)百戦錬磨だし、勝っても負けても勉強になる。やっぱりうまかったですね」

<4R>
一ノ瀬匠選手
一ノ瀬匠選手
 一ノ瀬匠(写真)が緩急つけたペース駆けで別線を手玉に取った。久々の押し切り勝ちに「奇跡が起きた」と、うれしそう。
 「ここまでのレースの傾向が先手有利でしたから、とにかく駆けてしまえば何とかなるなと。鈴木さんも中団狙いだったし、落ち着いて駆けられました。風が回っていて、バンクが軽いです。ただ、勝負は2次予選。ここからが自分にとっては本番です」
 井手健は一ノ瀬を交わせずに思わず苦笑い。
 「前に小倉で連係したときも抜けなかったんです。今回は自分が落車明けってことを割り引いても、アイツが強かった。点数以上のものを持っているよね」
 鈴木雄一朗は組み立てミスを悔やむ。
 「もっと相手に脚を使わせないとダメでした。組み立ても淡白で、中団狙いが相手に見え見えだったから、ダラっと流されてしまった。ああなればペースにはまってしまいますよね」
 山下渡は鈴木の不発を受けて直線強襲を狙ったが…。
 「2センターで長谷(俊昭)さんの動きを見てしまいガツンと踏めず、伸び切れなかったです」

<5R>
 鈴木良太が加賀山淳マークから鋭い伸びで1着を手に。競りをしのいでの快勝劇に納得ずくといった表情だ。
 「石山(直哉)君が前を取ったし、その時点で絶対に来るなと。鈴木(伸之)君が押えるなりして動いてくれれば展開も変わっただろうけど、動きがなかったので、競りモードに切り替えました。何が何でも守ることでいっぱい。しのいで交わせているし、出だしとしては上々でしょう」
 加賀山淳は後続のもつれをしり目に絶妙駆けで2着に逃げ粘った。ところが「今日は後ろを競らせないようにというのがテーマでした。人の動きに期待してしまったり、思うタイミングで行けなかったりで結局、競りになってしまった。結果的にワンツーでしたけど、レースそのものは失敗でした」と、出てくるコメントは歯切れの悪いものばかり。

<6R>
 打鐘の4コーナーから楢原由将がカマすと、後ろの下田和美は付け切れず。楢原はラインの援護を失いながらも主導権奪取。
 「後ろに倉野(隆太郎)さんが入ったのがわかったし、それでやばいと思いました。番手まくりをされないように、出てからは流してペースで駆けた。ただ、無我夢中でした。100勝を数少ない先行で決められたのはよかった」
 師匠、加倉正義とセットのシリーズで初日に区切りの100勝を挙げた楢原。2日目以降に胸を弾ませる。
 番手にはまった倉野隆太郎だが、楢原に二の足を使われて3着がいっぱい。疲れ果てた様子で検車場に引き揚げて来た。
 「めっちゃ、きつかった。自分としては3周くらい行ったかんじです。これで明日から当たりが出てくれれば、いいんですけど」

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 磯田旭が友定祐己を叩いて先行策。番手から願ってもないチャンスをモノにした真崎新太郎が、同県の後輩をねぎらう。
 「磯田君はああいう先行をしてくれれば、これからもラインができるし。磯田君も(3着に)残っているから、自信にもなると思う。良いレースをしてくれたんで、ありがたいですね」
 磯田ラインの3車を出させて中団キープした人気の友定祐己だが、前団との空いた車間がなかなか詰まらない。
 「(磯田に)カマされてから、普通ならあれでバックくらいで追いつくんですけど。そのままだった。あれでまくれなかったらダメですね。5番(磯田)が先行すると思わなくて…」

<8R>
荒木伸哉選手
荒木伸哉選手
 徹底先行タイプ不在のメンバー構成。不慣れな押さえ先行に荒木伸哉(写真)は、汗をぬぐい苦笑い。
 「一番やったことのない走りだから。慣れないことをしたけど、今日はみんな先行した人が残っていたから。自分なりに踏み直せたけど、それより葉狩(伸泰)さんの勢いがすごかった。自分なりには頑張った」
 逃げた荒木にまくりで迫った葉狩伸泰。最終3コーナーで一度は止まりかけるも、しぶとく踏んで1着をもぎ取った。
 「最近は長い距離を踏む練習もしているし、今日はカマそうかなって思っていた。結果的にまくりになったけど。いつもならあそこで行けなくてダメだったりするけど。練習しているから何とか諦めずに行けました」

<9R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 ここからは特選。大方の予想通り水谷好宏が主導権。番手無風の稲垣裕之(写真)は、最終バックで阿竹智史のまくりに合わせてやむを得ずの番手発進。
 「急に風が出てきたんで、水谷君もきつかったと思いますよ。それでも頑張ってくれた。阿竹君が最終バックで来た時に、ブロックで止まるかと思っただけど。自分にそこまでの余裕がなかったし、(前に)踏ましてもらいました。3番手の富永(益生)さんも仕事してくれたし、いい勉強になりました」と、稲垣はラインの力に感謝する。
 叩きに出た阿竹智史は最終ホームで水谷に合わされ、立て直した最終バックでは稲垣が番手まくり。2度の反撃に遭いながらも、しぶとく食らいつき2着に入った。
 「もう運だけでしょう。前を見てしまったし、あとは踏めるところを踏んでと。ああなってしまってし、自分が行かないと前も出ないだろうし。稲垣さんがハコまくりしたら、あとはつけて回ってと思ってました。ただ、今日は体自体は重かった」

<10R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 打鐘の最終バックを目がけて神山拓弥が思い切って飛び出す。神山がそのままペースを緩めずに先行態勢に入り、金子貴志(写真)に絶好の4番手が転がり込んだ。
 「神山君が踏んでくれたんで、それを追いかけて詰まったところから行こうと。神山君はあんなに踏むと思わなかったですね。押し切れているから、いいと思うんですけど。今日はバックが向かい風でなんか豊橋じゃないようなバンクの感じでしたね」
 近況、勝ち星を量産している金子が好調ぶりをアピール。
 2着に流れ込んで人気に応えた山口富生が、金子の強さを絶賛する。
 「地元だから金子君は仕上がっているんじゃないですかね。僕もちゃんと付いていけてるし、いいんじゃないですか。前回からレース間隔が短いし。それで刺激が抜けてないのが、逆にいいのかもしれない」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 スタートけん制で前受けを余儀なくされた深谷知広(写真)は、後方に下げて最終ホーム手前から強引に叩き返すとあっさり主導権を奪取。懸命に抵抗を試みる菅原晃を力でネジ伏せた。
 「感じは良くないけど、結果が良かったんで。前回が終わってから自転車に乗ってなかった分の影響だと思います。今日、乗れたんで、また明日からは違ってくると思います」
 島野浩司は一瞬、深谷との車間が空いたが、菅原のブロックをしのぎ2着をキープ。
 「自分としては上デキです。深谷君は1コーナーから伸びていくし、きつかった。そしたら今度は4コーナーで強烈に踏み直されるし…」
 「全開で駆けました」と、深谷を合わせに出た菅原晃だが、あっさり捕まり肩を落とす。
 「合わせるつもりで踏んでいるんですけど。軽く行かれましたね。その後も(島野に)勝ってたつもりだったんですけど…。全然ダメでした。こういう間違いを、またしないように」
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