『豊橋競輪開場63周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:6月23日
 豊橋競輪場で開場63周年記念「ちぎり賞争奪戦(G3)」の2日目が、初日に続き梅雨を感じさせない穏やかな天候の下で行われた。メーンの優秀「まくる君カップ」では、深谷知広が圧巻のパフォーマンスで主導権を握ると、番手の金子貴志が計ったように差し切り車単は一番人気での決着。地元、豊橋の人気両者によるワンツーで、場内は大いに沸いた。
 また24日の3日目は日本競輪選手会・愛知支部によるチャリティーオークションや「わんわん動物園」など、様々なイベントやファンサービスが予定されています。ファンの皆様のご来場を心からお待ちしています。ぜひ豊橋競輪場へ足をお運び下さい。

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加倉正義選手
加倉正義選手
 赤板の1コーナーで先頭に立った中村敏之輔が、じわりとペースを上げて先行態勢。最終ホーム手前から7番手の水谷好宏が巻き返すと、中村の番手で明田春喜が水谷をブロック。水谷を止めきれなかった明田は、水谷後位に切り替え直線で抜け出した。
 「(水谷を)何回か止めにいったんですけど、それでも止まらなくて…。しょうがなく番手にスイッチしました。今日は周回中も脚が軽かったし。中村君が駆けてる時もうまく脚を回せていた。前回が地元のG1だったんで、それに向けて練習したストックがある感じですね。中3日で休んで疲れも取れていたし、なにより中村君が頑張ってくれたのが大きい」
 弟子の楢原由将が不発も、加倉正義(写真)はコースを縫って直線で強襲。2着まで押し上げた。
 「堀(政美)さんが外を踏んだら、僕はきつかった。僕はずっと団子状態の後ろの無風のところにいられた。そこから自分の感覚では(入るのが)ツーテンポぐらい遅い感じがした。あれだと先に井手(健)君に入られても仕方ないでしょうね。脚の感じは前回よりはマシです。あとは微調整をして、明日の準決に臨みたい」

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山田久徳選手
山田久徳選手
 打鐘の3コーナーから山田久徳がカマすと、山田ライン3番手の須藤直道がワンテンポ遅れて追走。最終ホームでは山田ラインの3車を受けた荒木伸哉だったが、態勢を立て直すのに時間を要し反省しきりの2着。
 「ああなってしまうんだったら、最初からもっと踏んでいって大庭(正紀)さんところに行くべきでしたね。自分自身のスピードが乗ってなかったし、その辺の判断ができていない。その後も2コーナー過ぎに(まくりを)行きかけたけど、まだ脚がたまってなくて。バックくらいになってしまった。後ろに迷惑をかけて、申し訳ないですね。(仕掛ける)タイミングが悪すぎた。でも、脚の感じが悪い訳じゃないんで。準決はもっと脚力の差が大きくなるし、判断をしっかりしていないとダメですね」
 荒木を叩いた山田久徳(写真)は会心の逃げ切りを満足そうに振り返る。
 「出切った時に踏んで、それからは自分のペースで行けました。ゴールまで踏み切れたし、感じは良かった。あとは越智(展孝)さんがどうするのかと思っていた。今日はかなり緊張しましたね。記念での連勝は初めて、準決はこれで2回目だと思います」
 山田マークの大庭正紀は荒木をけん制して、逃げる山田を交わしにかかるが伸びを欠き3着。
 「山田君が強かった。出切ってからどんどん踏み上がっていく感じですね。一発(荒木を)振ってから、抜きにいったんですけど…」

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友定祐己選手
友定祐己選手
 打鐘で一ノ瀬匠が主導権を握って出るが、中団外併走から小埜正義が力任せに叩いて出て主導権を奪い返す。
 「苦しい…。もうちょっと待ってもらっていいですか」と、小埜は、大きな体を大の字にしてへばり込む。
 「もうあそこで行かないと。あのまま中団で磯田(旭)君とやっててもしょうがないし、遅く行くと友定(祐己)さんにもらっちゃいますからね。自分の(踏める)距離じゃなかったし、本当にきつかった。それでも初日の失敗があったから、今日は早めでも行くつもりだった。直線が長かったし、最後はいっぱいでした」
 友定が3番手に入ったのを確認した白戸淳太郎は、後続との間合いを図って懸命に追い込む。
 「正直、体が重いですね。なんか夏バテ気味というか…。後ろに友定君が入ったのもわかっていたし、なんとかワンツーを決められればと思ったんですけど」と、首を傾げる。
 「止められなかった」と、口を開く友定祐己(写真)は、最終1コーナーで小埜、白戸の後ろにスイッチ。早めの追い込みで突き抜けた。
 「なるべくラインでワンツースリーと思ってたけど、止められなかった。(小埜が)早く来るのは頭には入れてたけど、直線だったんで無理でした。とりあえず3番手をどかして、切り替えたけどきつかった。もっと早めに踏んで行きたかったけど、感じとしては悪くないですよ」

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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 打鐘前から主導権をにぎった菅田壱道(写真)が、別線を封じるペース駆けでレースを手中に。最後は竹内智彦が抜け出して1着入線も、最終2センターで福田知也を止めた際のプレーで失格判定となり、菅田が繰り上がった。
 「先行は考えていなかったけど、初日に今回と同じ展開で竹澤(浩司)さんがカマして逃げ切っていたから、打鐘からでも駆けてしまおうと腹を決めました。(まくりが)飛んできたら踏み直そうと思ったけど、全部竹内さんが止めてくれていた。それだけに素直に喜べませんね」
 4着入線から繰り上がり、準決進出を決めた棟方次郎も「竹内が頑張ってくれての結果だからね…」と、こちらにも笑顔はない。
 福田知也は「まくって、乗り越えて半車身出たなと思って戻ろうとした途端に、前輪がボコンとなってスピードが…。スピードが良かっただけに残念です」と、やるせないといった表情だ。

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神山拓弥選手
神山拓弥選手
 倉野隆太郎の主導権。和田健太郎が地元トリオのうち2車を出させて、3番手の白井一機の横で粘る。1車短くなった中団外併走から神山拓弥(写真)が、最終2コーナーでまくり上げる。
 「今日もあわよくば(打鐘の)3コーナーから行きたかった。でも、倉野さんに見られてしまった。あそこで行けていればラインで決まってたでしょう。そこが課題だし、反省です。前を取る作戦じゃなかったけど。その中で前で脚を使ってからも、引いてうまく巻き返せているし。まくりの出も悪くなかった」
 石井毅は絶妙のタイミングで外の尾崎剛を弾くと、まくる神山を追走。瞬時の判断がピタリとはまった。
 「神山君は(脚を)ためていたし、ちょうど行きそうだったんで。タイミングがうまく合ってスイッチして行けた。体が動いていますね」
 初日に続いて好配当を演出した石井は、レースが見えている。
 富永益生はしぶとい走りで3着に入線。準決へコマを進めたものの、ラインの前後を気遣い手放しでは喜べない。
 「準決に乗れたのはうれしいけど、複雑ですね。それでも準決に乗らないことには(優勝の)チャンスもないんで。あと2日間なんとかしないと、頑張ります」

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柴田洋輔選手
柴田洋輔選手
 加賀山淳がゆっくりと上昇を始めると、合わせて出た岡田征陽は腹をくくって番手勝負。望月裕一郎に競り勝ち、最終3コーナーから早めにまくって出た。
 「すんなり駆けられちゃったら、まくれるかわからないし。(加賀山は)もっときれいに出てくれればよかったんだけど。気持ち的には前回ほど乗ってないけど、どっちにしろあと2日間あるんで一生懸命やる。脚の感じも悪くない」
 柴田洋輔(写真)が岡田に必死に食らいつき、流れ込みの2着。一流の動きを番手で体感して、こう振り返る。
 「(岡田は)さすがですね。俺は突っ込みそうになったり、前の岡田さんと口が空いてしまったりしてしまった。昨日も今日もセッティングをいじったりしているんですけど、なかなか当たりが…。体の状態はいいんで、その分を体でカバーしている感じです」

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深谷知広 選手
深谷知広 選手
 打鐘前の2コーナーで稲垣裕之と接触した山口富生が落車のアクシデント。人気の地元勢は6番手に下げた深谷知広(写真)が、阿竹智史に襲い掛かり最終1コーナーで主導権を奪取。息を呑むスピードに別線は手も足も出ない。
 「前の阿竹さんも踏んでいたけど、自分も行けるところから行こうって思ってました。(場内の)声援がすごかったし、なんかいつもと違う雰囲気でした。それで(別線には)もう絶対負けられないとうい気持ちでした」
 金子貴志とのワンツーに深谷は満足そうに汗をぬぐう。
 深谷の強烈なダッシュにつけ切った金子貴志は、ゴール前できっちり交わしての1着に笑みを浮かべる。
 「深谷君はよく行ってくれた。ふつうはあれだと行けないですよ。最初は大丈夫かなって思ったけど、加速がハンパじゃなかった。前回(連係した時は)抜けなかったし。抜けるか、抜けないかの勝負だと。それで抜けているからいいと思いますよ」
 阿竹智史は3着に健闘も肩を落とす。
 「今の僕ではあれが精いっぱい。自分がもつところから駆けて。深谷君が外にハズしているのが見えて踏んでいるけど、それじゃあ遅いんですよね…」
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