『豊橋競輪開場63周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:6月24日
 豊橋競輪場で行われている開場63周年記念「ちぎり賞争奪戦(G3)」は、シリーズ後半の3日目に突入。決勝進出をかけた準決3個レースでは、火花を散らすスピードバトルが繰り広げられた。地元から準決へ進めた4選手は、9レースで金子貴志ら3人が脱落し、11レースで圧巻の逃げ切りを披露した深谷知広ひとりが優出。25日の決勝で深谷が、ホームバンク豊橋での記念初制覇に臨む。
 また25日の最終日も「パンチ宮本とノックアウツ」によるライブステージなど、様々なイベントやファンサービスが予定されています。ファンの皆様のご来場を心からお待ちしています。ぜひ豊橋競輪場へ足をお運び下さい。
<9R>
小野俊之選手
小野俊之選手
高橋敦史選手
高橋敦史選手
 カマして最終的に主導権を握った菅原晃ラインを、荒木伸哉が追いかけて3番手をキープ。
「多少強引だったけど、自分もあそこが勝負だったんで。今日は考えてどうにかなる相手じゃないし、何も考えずに臨みました。結果としては、それが理想的な形になった」
 飛び付きかける金子貴志を制した荒木は、絶好の勝ちパターン。車間を空けた3番手で脚をためると、早めの追い込みで突き抜けた。
「今日はラインの人を連れ込めたし、結果も良かった。ずっと調子は変わりなくて、いい状態をキープしている。怪我をしていないのが一番ですね。周りも見えているし、いい感じです。記念の決勝はこれで2回目。04年の久留米以来だと思います」
 先手を取った菅原に付けた小野俊之(写真)が2着。
「いつも菅原君は頑張ってくれる。ただ、調子がイマイチなんですかね、きつそうだった。自分は(荒木が)まくって来てくれたら、止められるんですけど。4コーナーから追い込みで来られたんで…」
 荒木に乗った高橋敦史(写真)が3着。デビュー17年目にして初めての記念優出に、引き揚げて来た高橋の表情は自然とゆるむ。
「(記念は)準決が初めてだったんで、もちろん決勝に乗るのも初めてですよ。今日は展開が良かったし、荒木君が強かった。荒木君は菅田(壱道)君が来たのに合わせて出て行ったし、落ち着いていた。それからは自分にとってバイク誘導をやっているようなスピードでした。調子もいいし。決勝に乗れたことを素直に喜びたい」

<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
阿竹智史選手
阿竹智史選手
 阿竹智史、神山拓弥と打鐘前から壮絶な踏み合いを演じた山田久徳が、気合の入ったレースで主導権。番手の稲垣裕之(写真)は最終ホームで迫った阿竹をけん制。様子をうかがっていたが、その後に米澤大輔が内を進出すると1センターから意を決し番手からまくって出る。
「あの2人(阿竹、神山)に突っ張られるとたいていの選手は怯んでしまう。だけど、山田君は怯むことなく頑張ってくれました。ホームですぐに阿竹君が巻き返してきたんで、一回けん制したら止まった。それで山田君も踏んで行ってくれたけど。その後に内から誰かが来たんで、当たられる前に踏みました。勝たなきゃいけなかったし、最後まで粘れてよかった。自分としてはすごく落ち着いて走れた。初日に水谷(好宏)君の後ろで番手を経験できたことが、今日はすごく大きかった。近畿の後輩の頑張りは、すごくうれしい。連日、自分の戦法とは違うけど、その中で最善を尽くせている。これからの戦いに向けて、いい方向にいくと思う」
 最終ホーム手前から仕掛けた阿竹智史(写真)は、最終2コーナーで稲垣後位に収まり流れ込む。
「脚はいっぱいだけど、動けてはいます。あのままじっとしていても7番手なんで、前に踏みました。反応はできていると思いますよ」
 神山との連結を外した岡田征陽は、8番手で態勢を立て直しじわじわとまくり上げ3着でゴール。
「今回は疲れというか、なにかあんまり力が入り切ってないですね。高松宮記念杯から中3日の条件はほかの選手と一緒だし、それを言い訳にしてはいけないんで。最終日の決勝もとにかく力を出し切れるように頑張ります」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
山下渡選手
山下渡選手
 初日、2日目に続き前受けの組み立てを余儀なくされた深谷知広(写真)。赤板で柴田洋輔が押さえに来ると、7番手に下げてからの出直し。先行態勢に入り打鐘の2センターから山降ろしでペースを上げる柴田に、深谷は最終ホームで猛然と襲い掛かる。
「あんまり自信を持てるような感じではないですね」と、慎重なコメントとは裏腹に、残り1周からはひとり旅。2着に大差をつける衝撃のインパクトで鮮やかに逃げ切った。
「それでも結果が出ているのはいいかもしれない。決勝も組み立てをしっかりして、負けないように。小野(俊之)さんはよく付いてもらったりしているんで、信頼してます」
 深谷が後続をちぎって第2先行のようなスタイルになった柴田。番手から山下渡(写真)が、直線で伸びて記念初優出。
「ラッキーしました」と、汗を気持ちよさそうにぬぐって、こう続ける。
「ああなってくれればいいっていう展開になった。(記念の)決勝は初めてだし、本当にうれしい。柴田君があのまま駆けちゃうのかって思ってたら、(深谷が)やっぱり来ましたね。そのあとも小埜(正義)さんのまくりが来ちゃうかと思ったけど、(展開が)うまく流れてくれました」
 柴田、山下の3番手から堀政美が差し脚を伸ばして、3着争いにケリを付けた。
「もういっぱいですね。なんだろう…、今日はジャンで脚を使っていたのもあるし、重かった。ジャンでも前との車間がちょっと空いちゃったし、苦しかった。記念の決勝ですか? もう、5、6年ぶりじゃないですか。前の2人が頑張ってくれましたね。決勝も集中して走ります」
 6着も見せ場を作った柴田洋輔は、複雑な顔。悔しさのなかにも納得の表情を垣間見せる。
「最近にない(積極的な)レースをしましたね。早めに動けば、誘導の後ろに入れるかもしれないって思って、早めに押さえに行きました。深谷君とは力が違いすぎましたね。バックでは一瞬、夢をみました(笑)」
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