『豊橋競輪開場65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月24日
 豊橋競輪開場65周年記念「ちぎり賞争奪戦」は8月24日に最終日を迎えた。決勝戦は地元ファンの大声援を受けた地元、師弟コンビが圧巻の走りでワンツーフィニッシュ。ラスト1周を21秒6のラップタイムで駆け抜けた深谷知広が地元記念初優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に金子貴志と南関両者が勢い良く飛び出す。誘導員の後位で金子、新田の併走がしばらく続くが、内にいた金子が下げて新田が正攻法の位置に収まる。隊列は新田-勝瀬卓也の南関コンビが前受け、中団は深谷知広-金子の地元コンビに、木暮安由-浦川尊明の関東勢、稲垣裕之-池田憲昭が後攻め、単騎の山田英明が最後方の形で落ち着く。
 赤板前の4コーナーから稲垣が上昇開始。3番手の外で止まって深谷をけん制するが、深谷はサッと8番手まで下げる。3番手に収まった稲垣が打鐘で仕掛けると、合わせて踏み込んだ新田がこれに飛び付く。先行態勢に入った稲垣の後位がもつれたところを深谷が一気の巻き返し。深谷が最終ホームで稲垣をあっさり叩いて主導権を握り、金子もしっかり続く。そのままスピードに乗せた深谷が3番手の稲垣以下を引き離す。直線は完全に地元両者のマッチレース。深谷が力強く押し切って、当所記念初制覇を果たした。懸命に続いた金子が2着で地元ワンツー。最終2コーナーで新田を決めて稲垣の後位を奪った山田が3着に追い込んだ。


深谷知広選手
深谷知広選手
 メンバー中8名が優秀競走でも対戦しており、それぞれの出方が注目された決勝戦。赤板前から動いた稲垣裕之に対して、3番手の深谷知広(写真)がすんなり車を下げると、ここまでは2日目と同じ展開に。しかし、「(2日目があったので)そうならないようにだけ。走る前から決めてたので、そこだけ気をつけて」と決勝は早めの動き出し。打鐘の3コーナーで「危なかった」とバランスを崩しながらも、そこからグングン加速するとホームでは逃げる稲垣を飲み込み金子貴志と2人旅。金子の追撃を振り切って、5度目の挑戦で地元記念初優勝を飾った。
 「地元(記念)は優勝したいと思ってたので、素直に嬉しいですね。打鐘過ぎにバランスを崩したけど、ホームで6番(池田憲昭)が目標になった。浮いてるところを目がけて行けたので。(ファンの声援で)すごくいい雰囲気で走れたし、ありがたかったです」
 つい1カ月前まではなかなか上がってこない調子に苦しんでいたが、「自転車や練習を変えて、いい方向に動き出した」と話すように寬仁親王牌から本来の強さを取り戻した。「弾みがついたし、しっかり頑張る」。グレードレース3連覇で迎える来月11日から始まるオールスターでも優勝争いをリードする。

 金子貴志は逆転ならず。進化を続ける愛弟子の走りに舌を巻くばかりだ。
 「打鐘でバランスを崩したところから、よくあんなスピードで行きますね。参りました。どんどん加速していくし抜けない。ヤバかったです。とんでもないタイムが出てるでしょ? 進化してますね。これからついて行くことだけ考えます」

 深谷を追いかけたかったが、「1センターでスリップした」と話す山田英明は稲垣の番手狙いに作戦を変更。粘る稲垣をとらえて3着で競輪祭初出場を決めた。
 「スリップもあったし、新田さんすいませんと思いながら下りた。あとは流れで。バックで見たら(前が遠くて)キツいと思ったので、あとは稲垣さんがどれだけ追いつくか。そこからのゴール勝負と思った。3着は嬉しいけど、まだまだですね」

 前受けから2日目と同じ展開を匂わせながら、番手狙いの作戦に出た新田康仁だったが、稲垣が深谷に行かれてしまっては厳しかった。
 「(前を取って)優秀みたいな感じになるのを警戒するだろうし、(逃げたラインの)番手を取って番手まくり。作戦どおりだったけど、稲垣が駆けなかったんで行かれちゃいましたね」

 愛知コンビを必死で追いかけた稲垣裕之だったが、車間は詰まらなかった。
 「2日目と同じ展開にはならないだろうし、深谷は絶対に巻き返してくると思ってました。新田さんの(番手で粘る)動きが嫌だなってのもあったし、あれで後ろが見えなかった。今日は深谷と力勝負がしたかったんですけどね」


ゴール
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