『豊橋競輪開場66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月9日
 豊橋競輪場を舞台に開催された開場66周年記念「ちぎり賞争奪戦(G3)」は、9日の最終日に地元の深谷知広、金子貴志ら9選手による決勝が行われた。深谷に乗った金子の優勝かに思われたが、諸橋愛が直線で鮮やかな逆転劇で今年2度目の記念制覇を遂げた。また、「ワールドステージin豊橋」は、オーストラリアのシェーン・パーキンスが追い込みで一発勝負を制した。
決勝戦 レース経過
 号砲で地元コンビが前に出ると、周回は深谷知広―金子貴志―城幸弘―諸橋愛―牛山貴広―岡田征陽―佐川翔吾―吉本卓仁―岩津裕介の並び。  青板3コーナー過ぎから佐川が早めに動きを見せると、中団の城も合わせて上昇。佐川が赤板前から誘導員を下ろして前に出ると城は4番手を確保する。スンナリと8番手に下げた深谷は佐川が打鐘前でもペースを上げないと見るや、2コーナーから一気にスパート。合わせて踏み上げる佐川をあっさりと叩いてしまう。佐川、城の巻き返しが不発に終わると、空いた内に吉本、岩津が同時に切り込み、やや遅れて諸橋が。岩津は愛知コンビの中を割りに行くが伸び切れず、深谷マークから金子が抜け出したが、岩津後位から外を回した諸橋がゴール寸前で金子をとらえる。諸橋は4月川崎以来となる通算3度目の記念優勝。2着には金子、諸橋に続いた牛山が3着に食い込んだ。


諸橋愛選手
諸橋愛選手
 高松宮記念杯、地元の寬仁親王牌とG1で立て続きに落車に見舞われた諸橋愛(写真)は、シリーズ2日目の優秀でも落車の憂き目。3場所連続の落車がフィジカルに影響を及ぼさないはずもないが、それ以上に精神的な加重が諸橋にのしかかった。
 「苦しいことばかりだったんでよかった。すべてを寬仁親王牌に合わせてきていたし、寛仁親王牌は決勝に乗って初めてスタートだと思っていた。だから、終わった直後が不甲斐なさというか、人生はうまくいかないなって。でも、また頑張ろうと」
 気持ちをリセットして臨んだ今シリーズ。準決以降も2日目の落車を感じさせない動きで、優勝をもぎ取った。
 驚異の加速力で深谷知広が、別線を置き去りにして主導権を奪取。そのまま金子貴志と地元両者でのゴール勝負かに思われたが、最終バック7番手にいた諸橋が不発の城幸弘から切り替えコースを探して目の覚めるような伸びを披露。鮮やかな逆転劇で4月川崎に続く、今年2度目の記念Vを飾った。
 「城も一緒に踏んでたけど、深谷がすごすぎて…。展開的には厳しかったけど、そういうでも自分は意外と冷静なんですよね。俺が行こうかなってコースを岩津(裕介)が入っていったし、自分はどこまで届くかなっていう感じがあった。ただ、あれで外を思い切り踏めた。金子さんは内の岩津を意識するし、それで僕は伸びました。ビクトリーロードが開いた。落車さえしなければ、調子は保てるのですけどね。それでも精神的には強くなったし、この優勝をまたひとつステージ(G1、2)が上げられるようにしたいです」
 リスキーながらも狙った獲物を捕らえに突っ込むスタイルこそが、諸橋の真骨頂。落車禍を抱えながらも、その身上に迷いはない。

 グングンと加速して逃げる深谷後位であくまで冷静に立ち回った金子貴志だったが、最後の諸橋だけが誤算。盤石の態勢で地元V獲りに向け踏み込んだが、その外をゴール寸前で交わされて準V。
 「佐川(翔)が来たのも見えていたし、吉本(卓仁)も見えていた。これなら(深谷とワンツーが)決まるなって思っていたし、最後に岩津が入ってきたのもわかった。そしたら、あっ誰だって…、諸橋でしたね。でも上がり10秒9はスピード違反でしょ(笑)。深谷は頑張ってくれたし、ワンツー決まるのが一番。深谷はそういう選手ですから。すごい掛かりだった」

 諸橋を追走した牛山貴広が、外を踏んで3着に流れ込み。落車のアクシデントで準決から深谷フレームを使用。走り終わると深谷にも礼を言って、帰り支度を始める。
 「城君も浮くのを覚悟で仕掛けてくれたし、自分は諸橋さんの後輪だけを見ていた。みんなに助けられましたね、よかったです」

 赤板手前で先頭に立って先行態勢を取った佐川翔吾だったが、襲い掛かる深谷を合わせ切れず3番手から立て直してまくるも不発。
 「途中まではヨシ、ヨシと思ったんですけどね。(深谷を)出させるつもりはなかったんですけど、気づいたらもうヨコにいました…」と、深谷に脱帽する。



ゴール
11R「ワールドステージin豊橋」
シェーン・パーキンス選手
シェーン・パーキンス選手
 世界のトップ選手2人と日本人選手が激突した一戦。昨年は共倒れに終わった外国勢だが、パーキンス(写真)が雪辱を果たし優勝を勝ち取った。
 「ボティシャーがすごい良いレースをしてくれた。良い位置取りをしてくれたし、信頼してました。ワンツーできたら良かったんですけどね。思った通りのレースはできました。今年は100勝して、優勝を5回してワールドステージも勝てて最高の年です。去年はちょっと怪我をして大変だったけど、より強くなって戻って来れました」

 ボティシャーは持ち味のスピードを発揮したが、直線でパーキンス、池田良に交わされ3着に。
 「展開が早かったけど、冷静に仕掛けを見極められました。1番(竹内)が前に入って上手くエネルギーを温存できました。あと50メートル短かったら勝ててましたね(笑)。競技者としては1着が欲しいですけど、2カ月ブランクがあったんで悪くはなかったです。今日が日本で最後なんで終わり方としてはまずまずです」

 池田良が最終2コーナーで外国勢後位に切り替えそのまま2着に流れ込んだ。
 「松川(高大)君のがんばりもあったんですけど、早めに切り替えさせてもらいました。ゴール前はワンチャンスあったと思うんですけどね。今の現状の中ではよくやった方です」

 果敢な逃走劇を見せ、昨年の稲毛健太の再現なるかと思われた竹内雄作だが惜しくも5着に終わった。
 「悔しい。外国人とあまり走ることがなくて自分に余裕がなかったです。外国人が強いのは分かってたんで、力勝負で勝てないなら考えて走らないと」

 朝倉佳弘は外国勢との連結を外してしまい6着。
 「付いて行ったと思ったんですけど。松川の後輪を見て一人で1コーナーで上がっちゃいました。そのあともガッと踏んでいけば、池田に入られることもなかったと思うんですけど。脚力不足でした」



ゴール
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