『国際自転車トラック競技支援競輪in豊橋(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月15日
 豊橋競輪場を舞台に開催された、国際自転車トラック競技支援競輪「穂の国金メダル争奪戦(G3)」は15日に最終日を迎えた。強豪達が顔を揃えた決勝は、先行した吉澤純平の番手から芦澤大輔が抜け出して優勝。9月青森に続き今年2度目の記念制覇を遂げた。また、9レースに行われたケイリンエボリューションは、桐山敬太郎の仕掛けを追った山賀雅仁が、直線で鋭く伸びて優勝を手にした。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると深谷知広がちゅうちょなく飛び出す。深谷に浅井康太―柏野智典が続いて前攻め。以下の隊列は、小川勇介―大塚健一郎―渡部哲男、吉澤純平―芦澤大輔の茨城コンビに単騎の小埜正義で周回を重ねる。
 青板の4コーナーから吉澤が上昇を始めると、深谷は赤板で誘導を降ろしてから車を下げる。押えて出た吉澤に芦澤、小埜。中団に小川ラインがスイッチして深谷は7番手まで引く。打鐘手前で4番手の小川が一度は踏み込むが、再び中団に収まり結局は一本棒。主導権を握った吉澤が、そのままペース上げて最終回へ。
 深谷は最終ホームから巻き返して出るが、逃げる吉澤の掛かりが良く5、6番手までしか進まない。外に浮いた深谷はズルズルと後退。今度は小川が2コーナーからまくって出るも、伸びは一息でバックで不発。小埜後位に切り替えた大塚は、一瞬の隙を突いて小埜をすくって進出、直線へ。
 逃げる吉澤の番手で願ってもない流れとなった芦澤が、満を持して追い込み大塚の猛追を振り切りV。2着に大塚。積極策の吉澤が踏ん張って3着。


芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 「僕は何もしてないです。回っている位置が良かっただけ」。こう謙遜する芦澤大輔(写真)だが、チャンスをしっかりモノにして、9月青森以来、通算3度目の記念制覇を果たした。
 決勝は地元のエース深谷知広、浅井康太の中部SSコンビに対し、西の不動會トリオの激しいぶつかり合いになると思われた。しかし、蓋を開ければ、強敵にも臆せず攻めた吉澤純平が軽快に風を切ると、芦澤は絶好のハコ展開。最後は、3番手の小埜正義をすくって直線で伸びてきた大塚健一郎を凌ぎ優勝を飾った。
 「茨城は2車なんで、僕が早めにいっても中を割られるだけ。吉澤君を舐めるようにいきましたね。正直、今開催は仕上がってなくて、良い状態とは言えなかったです。勝たせてもらっただけですね」
 苦しい状態の中での勝利。喜びを噛み締めるとともに、後輩の成長にも期待を寄せる。
 「純平は、逃げた方が固いと腹を決めていましたね。すんなりの展開にできたのは、あいつの実力だと思います。3着に残ったことも嬉しいですね。今後は茨城勢で盛り上がってくると思うんで、僕もその一員になってトップ争いができれば」
 次走はいよいよ競輪祭。中3日での過密スケジュールだが、勢い十分で大舞台へ挑む。
 「ここで優勝をしたからには、競輪祭でも注目をされると思います。G1で結果を出すことがステップだと思うので、明日から切り替えて、また頑張りたいです」

 大塚健一郎は目標不発の展開から俊敏な動きで優勝を狙ったが、あと一歩及ばす準V。
 「深谷君が強いからどうなるかと思ったけど、小川(勇介)君が頑張ってくれたんで、僕にチャンスが生まれました。最後の判断は迷いましたね。(勝てないのは)実力です。もう少し感覚を戻していかないと」

 芦澤を優勝に導いた吉澤純平は、3着に踏みとどまり、来年の競輪祭行きのチケットを手に入れた。
 「初日にヤラれているんで、先行しかないと思っていました。駆ける位置をギリギリまで引き付けて。あとは全開で駆けましたね。これで来年の競輪祭の権利を取れたんで(G1でも)頑張りたい」

 人気を集めた深谷知広だったが、スピードが合ってしまい、外に浮いて不発。「またイチから頑張ります」と語るが、今開催の走りは完全復活の予兆とも感じとれる。また、連係した浅井康太も「(展開とかは)関係ないです。とにかく次を頑張ります」と競輪祭に向けて気持ちを切り替えた。

 最終2コーナーから反撃に出た小川勇介だったが、伸びを欠き8着に終わる。
 「緩めば一回叩けとは言われていたけど、吉澤君が強かった。僕はホームで脚にきていましたね。きつかったですね。もう少しセッティングを煮詰めれば車が進みそうだけど…」

 初手で茨城コンビに付けた小埜正義は選択が的中。しかし、勝負所で大塚に内をすくわれ万事休す。
 「芦澤にブロックをもらっちゃうんで、まくり追い込みでいこうと思っていたら、内をすくわれてしまいました。スキルの差ですね。勝負圏を回れて、ドキドキしたけど、弱い」

ゴール
9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション) レース経過

山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 恒例となった国際大会を規範とした競技規則で行われる「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が最終日の第9Rに行われた。第8回大会を制したのは山賀雅仁(写真)。レースは角令央奈が打鐘で押さえ、さらに越智展孝が前を斬る展開に。越智が流したところを、今度は桐山敬太郎が一気にカマして主導権。これを追った山賀雅仁が、まくってきた猪俣康一を確認すると合わせて前に踏み込み、優勝を手にした。
 「7番車だから位置を取れないだろうから、桐山君が初手で取った前に僕が入れてもらえればなと思ってたけど(逆になった)。(桐山が)スピードに乗ってしまった時点で勝ちでしたね。あとは自分が仕掛けるタイミングあればと思ってたけど、展開一本でした。後ろからすごい勢いでくるかもしれないし、猪俣さんが来たのが見えたので踏ませてもらいました。競輪ならブロックや残すことも考えたけど、点の戦いなので。ただ、踏んでも全然伸びなかったですね。桐山君が強かった。競輪ではなかなか経験できないことなんでよかったです」

 桐山、山賀を追い、阿竹智史が2着に入る。
 「(初手で山賀が桐山を迎え入れた)あの並びになったから、これは何かやるなと思ったので、そこに付いていきました。前任せのレースだったしこんなもんです。バックくらいのスピードに乗ってしまえば大丈夫だけど、まだ怪我の痛み(横突起4本骨折)がある。次は10日くらい空くのでケアしてきます」

 猪俣康一は中団からまくり上げたが3着まで。
 「前を取ってしまうと飛び付きか先行になってしまうんで、前の方を取った。前でやらせておいて、一発狙いでした。ただ、前の伊藤(裕貴)君に踏めと思ってたけど行かなかったんで、後ろから気配を感じたのでいきました。競輪と違ってルールが違うから難しいけど、自転車が流れるから面白い。最後、差はあったけど力勝負できたのでよかった。勉強になりました」

 その伊藤裕貴は前受けから7番手に立ち遅れ、見せ場なく6着に終わる。
 「展開としてはどこかで飛んでくると思ったから、そこで勝負と思ってたけど。6番(越智)が斬ったときにすかさず巻き返した方がよかったのかも。流してたし、そこしかなかった」

 角令央奈は越智にインを斬られた時点で勝負あり。行き場なく流れ込みの4着。
 「越智さんが斬ってから、3車出させてしまった時点で僕はないですね。もうちょっと踏んで欲しかったけど。ルールも難しかった」

 桐山敬太郎は渾身のカマシで主導権を握ったが、最後は馬群に飲まれ5着に終わる。
 「6番が斬ったところで伊藤君が行くと思ったけど行かなかったので、ワンテンポ待ってからカマしました。1着を取るのが理想だけど、内容も含めてが勝負なので。残れなかったのは力不足です」

ゴール
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