『被災地支援競輪豊橋競輪開場67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月25日
 今日から豊橋競輪場で平成28年熊本地震被災地支援競輪・開場67周年記念「ちぎり賞争奪戦」が開幕した。オープニングレースから白熱のスピードレースが展開され、メーンの特選は合志正臣、吉澤純平、山賀雅仁が快勝。12Rの深谷知広は2着で優秀へ駒を進めたが、10Rの金子貴志は7着で二次予選から仕切り直し。明日は優秀の「まくる君カップ」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 明日、2日目は吉田敏洋選手が豊橋競輪場に登場。5R、9R発売中にトークショーを行います。さらに豊橋伝播隊DOEEのパフォーマンスステージ(開門時、2R、7R発売中)や健康イベントとしてカイロプラクティックサービス(9:30~15:00頃まで)など様々なイベントを予定しています。明日もぜひ豊橋競輪場へご来場ください。
<1R>
 打鐘前に磯島康祐が押さえて出る。一旦は堀内俊介と佐藤幸治が中団を争う展開も、堀内が佐藤との併走を嫌ってホーム過ぎに叩き返す。脚を溜めた佐藤だがまくり届かず。東龍之介が車間を空けた援護からゴール前で堀内を差し切った。
 「堀内君がかかっていたし強かった。後ろを見る余裕はあったけど、感じとしてはもう一つかな。今日はラインのおかげで1着を取らせてもらった感じです」
 堀内俊介は初の記念競走でも物怖じしない攻めでラインで上位独占を決めた。
 「磯島君が思ったより早く押さえてきたし、佐藤さんと外併走になるぐらいなら叩いて出ようと思った。緊張したけど、出切れていたしラインで決まったので良かった。1走して少しホッとしたけど、4日間走り抜かないといけないので、2日目以降も気を引き締めていきます」
 堀内に叩かれて一次予選敗退の磯島康祐だが、2日目以降を見すえて前を向く。
 「自分の形には持ち込めたけど、堀内さんの巻き返しが早くてカカり切る前に叩かれたのが痛かった。ただ、踏んだ感じは悪くなかったし、4日間走れる様に頑張りたいです」

<2R>
 赤板で先頭に立った長尾拳太に対し、相川永伍が1センターから仕掛け両者のもがき合いに発展。もがき合いは長尾が突っ張り切り最終1センターで相川は終了。後方からは田中孝彦が好回転でまくり前団を捕らえる。そのまま先頭でゴール線を駆け抜けるかと思われたが、岩本和也後位で脚を溜めていた石川裕二が田中にスイッチし直線突き抜けた。
 「難しかったですね。(相川)永伍さんも脚を使ってずっと踏んでいたんで。入れようとしたけど気付いてくれなかった。しょうがないですかね。僕は道中もしっかり動けています。デキはいいですね。最後は(石橋慎太郎を)さばいたっていうよりはななめに踏んでいっただけです」
 前団がやりあう中、2コーナー過ぎからまくった田中孝彦が2着に入った。
 「きつかったです。落ち着くところがなかったです。展開も向いてくれましたし、あとはバックの追い風に乗って行けるところまで行こうと思ってました」
 小林潤二は検車場に引き揚げてくると笑顔で話し始めた。
 「付いていっただけです。しゃくられないように。相川君が勝ち上がれなかったのは残念だけど、本当に前のおかげです。3番手で3着と思ってたけど、欲を言えば2着までいきたかったな」

<3R>
 一戸康宏が抵抗しなかったことで、北野良栄は打鐘過ぎからすんなり先行。7番手に置かれた人気の山形一気が不発に終わると、中部ライン3車が上位を独占。3番手から外を鋭く伸びた藤原誠が2月奈良記念初日以来となる勝ち星を挙げた。
 「北野君が上手に駆けてくれた。余裕はあったし、まずは(勝ち上がりの)権利が取れればと思ってたんだけどね。1着は久々ですね。ずっと、3、4カ月よくなかったけど、脚は戻ってたので展開が向けばと思ってた。3番手を気楽に回らせてもらったのも大きいね」
 2着には逃げた北野良栄が粘った。
 「点数も落ちてるし、頭の中は先行しかなかった。踏み合いになっても前に出ようと思ってたけど、(すんなりで)ラッキーって感じだった。感じはいいし、フレームが軽くていい感じ。換えて2場所目だけど、(吉田)敏洋さんにパイプとか作り方を教えてもらった。いいですね」
 番手絶好の展開から3着になってしまった村上卓茂はバツが悪そう。
 「(まくりを)振って、降りて抜きに行くつもりが早いと思ってバック踏んだ。北野は抜きたかったけど、地元で最低ですね。周りを見る余裕はあったし、悪くはないんだけど…。唯一の救いは勝ち上がったってことだけです」

<4R>
 上昇してきた古屋琢晶に合わせて打鐘で工藤文彦が突っ張る。古屋は後方に車を下げ、すかさず叩いて来た齋藤宗徳ラインを受けた工藤は3番手を確保。2コーナーからまくると南関ラインを好回転で飲み込んだ。
 「古屋君が逃げても簡単には駆けさせたくなかったし、まくる展開でも後方に置きたかった。弱いラインだったので頭を使わないと勝てないのでね。作戦どおりにいったし、思ったような競走もできた。脚を使って位置を取っている割には、まくって出切れているし感触も良い。穴を空けられて良かった」
 2位入線の古屋は内側追い抜きで失格。古屋マークの志村太賀が2着に繰り上がった。
 「(古屋)琢晶がもう少し早く動いていれば後方に追いやられることもなかっただろうし、その分反応も遅れていましたね。(繰り上がりで)2着にはなったけど、あの展開ではこれが精一杯です」
 ライン2車ながら果敢に攻めてレースを作った齋藤宗徳だが、「仕掛けるタイミングはバッチリだったし、自分の形には持ち込めた。ただ、重かったしカカリが甘かった。何とか修正して2日目以降につなげたい」と別線にまくられ首を傾げる。

<5R>
大坪功一選手
大坪功一選手
 赤板前から上昇し、中団の八谷誠賢にフタをした佐藤雅春が打鐘前に主導権。7番手になった八谷がすぐさま巻き返し、最終ホーム前から合わせるように畑段嵐士も仕掛ける。畑段は八谷をどかしまくっていくが、佐藤のかかりも良くなかなか前団を捕らえられず。ゴール前まで混戦になるが、八谷後位から畑段に切り替えた大坪功一(写真)が大外を突き抜け快勝。検車場に引き揚げてきた大坪は「まさかあそこからアタマまでいけるとは思わなかった」と笑顔で話し始めた。
 「八谷さんと一緒で久しぶりに緊張もしました。本当は八谷さんとワンツーを決められれば良かったんだけど。明日以降はノープレッシャーだし、もっとリラックスしていけると思います」
 畑段嵐士は2着にも最後まで表情は冴えなかった。
 「ラスト1周からだけでもバックを2回踏んだし、展開も調子も最悪でした。弱気?そうですね、ちょっと出ちゃいましたね。でも何とか勝ち上がれてよかった。明日はもうちょっと感じがよくなればいいんですけど」
 渡辺十夢が3着に。笑みは見られたものの畑段への注意も忘れなかった。
 「すんなり中団やったし、畑段の脚やったらいってしまうと思ったけど、ちょっと弱気やったね。僕としては畑段に当たらんようにと思ってバック踏んでだったから。まあよく生き残ったね。(渡邉)泰夫さんは4着?全員で勝ち上がれたことはよかった」

<6R>
谷口遼平選手
谷口遼平選手
 赤板1コーナーから堀内昇が前に出ると前受けの谷口遼平(写真)は下げて7番手。打鐘から踏み上げる齋藤友幸を堀内が合わせ切ったが田村真広の口が空いて、堀内後位には齋藤が。谷口は1センターから巻き返すと、2コーナー過ぎから番手まくりを打った齋藤を力でねじ伏せた。
 「キツかったですね。一杯緩んだところがあって、僕待ちなのかなと思ったけど、そのまま(堀内、齋藤の)2人が前に踏んで行ったので。(齋藤が番手にはまってて)厳しいかなと思いました。冷静というよりは置いていかれた感じ。何とか行けたんで悪くはないと思うけど、もうちょっとやりようがあったかな。あまりよくないけど、1着取れてるんで調子いいと思って。気持ち入れて頑張りたい」
 2着で勝ち上がった齋藤友幸だったが、レース後は「自分だけになった」と反省の弁を繰り返した。
 「難しかった。すげえ難しかったです。自分だけになってしまいましたね。結果(仕掛けるのは赤板)ホームでよかったけど、それじゃ7番手になっちゃうんで。後ろに迷惑かけました」
 谷口マークの白井一機が3着に続いた。
 「若い子は強いです。ホントに強いですね(笑)。ゴールに向けてグーンと(加速して)、休むところがひとつもなかった。強いです。2着にはいきたかったけど残念です」

<7R>
金子幸央選手
金子幸央選手
 打鐘過ぎに才迫開が叩いて出て、人気を背負う金子幸央(写真)は7番手。それでもバックからまくり返すと上がり10秒8の初日一番時計で快勝した。
 「厳しい展開に自分でしてしまったけど、何とか巻き返せて良かった。本当は(打鐘過ぎ)4コーナーで行ければ良かったのだけど、見てしまった。才迫さんはかかっていたしキツかったけど、それでも踏んでからの車の出は良かったし、凄く軽かった。見過ぎてしまうと今日みたいな展開になってしまうので、仕掛けどころは修正したい」
 金子をマークした芦澤辰弘が2着に流れ込んだ。
 「位置取りは金子君に任せていたし仕方ないけど、彼は自分からキツい展開にしておいて楽にまくり切ってしまうんだから強いですね。今日の展開では追走で一杯だったし、余裕がなかった」
 立花成泰は逃げる才迫に乗って3着。「才迫君が積極的に駆けてくれたけど、踏み上がる感じがもう一つだったし、あまりかかっていなかったのかも。僕はずっと余裕があったので、直線で突っ込めたと思う。それでも、全ては前が頑張ってくれたおかげです」と冷静にレースを分析した。

<8R>
 赤板から中本匠栄、武藤龍生の順に動くと、そこを打鐘前から野口正則が叩いて主導権。人気の松坂洋平が2センター7番手から仕掛けると最終2コーナーで前団をまくり切る。3コーナーから武藤が踏み上げるも、これを成清貴之がきっちりブロック。ゴール寸前松坂を差し切った。
 「楽だったけど、最後は抜けないかもと思いました。2センターで(武藤に)ペダルも当たっていたんで。(落車の影響は)実戦で走ってみて走れそうな感じはしましたね。いけそうな気がします」
 先導役としてラインを上位独占に導いた松坂洋平は淡々とレースを振り返る。
 「状態はそんなに悪くはないですね。緩んだら行こうと思ってて、それで仕掛けられているんで。3人で決まったことが一番よかったです。上に勝ち上がればラインは大事になってくるんで」
 「チャンスをモノにできてよかったです」と3着の大塚英伸は笑顔で話し始めた。
 「付いていければ上がれると思ってたんで。前の心配は全然してなかったです。自分が付いていけるかどうかだけが勝負だと思っていたんで。これで4日間走れますからね」

<9R>
三谷竜生選手
三谷竜生選手
 前受けから7番手に下げた三谷竜生(写真)は打鐘過ぎ4コーナーから一気の巻き返し。3番手の小川将人は山田敦也にからまれたが、藤木裕と2車で出切るとそのまま押し切った。
 「前からになると思ってました。あとはタイミングを計りながら行ければ。脚は軽かったし、調子はいいですね。オールスターのときよりもいい感じです。練習はしっかりしてるので日ごとに上積みもあります」
 逆転はならなかった藤木裕だがきっちり続いて断トツの人気に応えた。
 「(踏み出しで)内に差してたのでちょっと口が空いたかな。差せる感じはもう最終バックでなかった。でも、番手をキープできるようにと思ってたし、最近自力がなくなってきたので(目標を)つけてもらったときはしっかり走りたかった。オールスターが終わってからよくなるきっかけがつかめた。今は脚力も気持ちも上向いてると思う」
 山田のアシストで3番手に入った真船圭一郎が3着に流れ込んだ。
 「やったほうでしょ。出られないのが一番いいけど、(三谷と競走得点が)20点違いますからね。しのいだほうです。敦也さんのおかげで(二次予選に)乗れました」

<10R>
合志正臣選手
合志正臣選手
 赤板過ぎに押さえて出た渡邉雄太に対し、前受けの古性優作はイン粘りを敢行。打鐘で山田幸司をドカして前に出るが、金子貴志の連結が外れたのを確認してペースを落とす。そこをすかさず松岡貴久がカマすと、熊本コンビで後続を千切る。これで番手絶好となった合志正臣(写真)がゴール前で松岡をとらえた。
 「古性君が前受けから組み立てて、突っ張りやイン粘りをすると思った。その辺を踏まえて松岡君が落ち着いて組み立ててくれた。今日はセッティングを変えた分、感覚をつかめれば良いと思っていたけど、思った以上に感触は良かったし十分戦える感じがあるのが分かった」
 松岡貴久は混戦をカマして軽快な動きを披露した。
 「古性君が前受けだったので、何かすると思い落ち着いてレースを組み立てていった。今回は新車だったので長い距離踏みたかったし、前がゴチャついたのもあったけど、ペースが緩んだ所で駆ける事ができた。セッティングを修正しないといけない部分はあるけど、体調的には悪くない」
 熊本コンビに離れた伊藤大志の後ろから古性がバックまくりに出たが、徐々に車間を詰めた渡邉雄太がゴール寸前で古性をとらえ3着。
 「山田さんの声がして後ろが競りだというのは気付いた。その後すぐ古性さんが叩いてきたが、1車で来た分立て直せたけど、2車で来られていたらダメだった。最後は前に追い付こうという気持ちで必死に踏んでいて、何とか食い込めた感じ」

<11R>
吉澤純平選手
吉澤純平選手
 打鐘前に先頭に立った佐藤龍二が単騎の高原仁志が4番手に付いていることを確認し、意を決して4コーナーからスパート。吉澤純平(写真)は一度、中村一将の外まで車を上げると、2コーナーから再度仕掛けてグングン加速していく。番手の神山雄一郎は徐々に離れ、2センターでまくり切った吉澤が2着に3車身差を付けて圧勝した。
 「一回(スピードが)合っちゃったんで自分の中で整えてからもう一回いきました。その分後ろにはきつくなってしまったんで反省はあります。打鐘であおりもあったし、見ちゃいました。あの辺のタイミングが難しいですね。いつもあそこで急いで失敗しているので。でも今日の1着は大きいですね。明日もしっかり走って準決につなげたいです」
 直線鋭い伸びを見せた望月裕一郎は笑顔でレースを振り返る。
 「久々に感覚が良いです。前回悪かったし、最近出なくて良くなかったので。正直サドル規制から良くなくて…。そのせいにはしたくないけど、点数も落ちてしまって。でも今日のこれはでかい。こういうのできっかけがつかめれば」
 佐藤の走りを無駄にせず、吉澤に切り替え追った江守昇は最後望月に交わされ3着も、優秀の権利を手にした。
 「佐藤君が駆ける展開は考えてなかったんですけど。吉澤君もダッシュが良いんでなんとか3人で協力してとは思っていました。でも佐藤君に申し訳ないですね。最後は余裕もなかったし、(望月にも)スーッといかれました」

<12R>
山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 山賀雅仁、黒田淳が次々前に出るが、赤板1センターから飛び出した小松崎大地が最終的に主導権を握る。番手の伏見俊昭は車間を切って援護すると3番手の黒田がバックから内をすくってそのまま前へ。2コーナー、7番手から仕掛けた深谷知広に合わせてバックから山賀雅仁(写真)が仕掛けると、深谷の強襲をしのぎ、直線で黒田もとらえた。
 「黒田がなかなか仕掛けないなと思ったし、あれで深谷が来てかぶったら終わり。その辺は反省して、自分からまくり上げる競走ができれば。今日のじゃ展開ひとつで負けるから、その辺をもうちょい自分自身を高めていきたいですね。直前は自転車に乗れなかったけど、アップしてる感じもよかったので気にせず走れました」
 後方に置かれ、先まくりを打たれる苦しい展開になった深谷知広だったが、外々をたえて2着に食い込んだ。
 「ホームで行けたけど見てしまい後ろに迷惑をかけた。ギアが軽かったし行けないと思ったのもあって。踏み出しは悪かったけど、後半伸びた。残り半周はへばりつくように踏まされたのでキツかったです。回し切れてないけど、悪くはないので修正しやすいと思う」
 バックから内に切り込むトリッキーな動きを見せた黒田淳が3着で優秀行きを決めた。
 「別府かどこかで伏見さんと一緒のときがあって、今日みたいに僕が3番手だったけど、車間を切って振られて外に行くタイミングが難しかった。だから空いた瞬間をしゃくろうと思ってました。その判断はよかったですね。(池田憲昭と)2人で乗れればよかったけど、最低限(の走り)はできたと思います」
 池田憲昭にとっても黒田の動きは予想外。「外に行くとばかり思ってました。でも、ここ最近ではマシなほう。(2場所前、小倉の)落車でフレームがダメになって、前のを使ってるけどギアを落としたらけっこう踏める。余裕はありました」。4着には敗れたが、まずまずの手応えをつかんだようだ。
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