『富山競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月2日

 富山競輪場開設69周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」は8月2日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は村上博幸のカマシ先行に乗った稲垣裕之が番手まくりで快勝。16年9月の地元向日町以来、4年ぶり7度目の記念制覇を果たした。

決勝戦 レース経過

 号砲で出た松岡健介が前を取り、村田雅一との兵庫両者が前受け。単騎の吉田敏洋が3番手で、村上博幸-稲垣裕之の京都同期コンビが4、5番手。元砂勇雪-椎木尾拓哉の奈良・和歌山コンビが後ろ攻めで周回を重ねる。
 青板の1コーナーから上昇した元砂が、バックで松岡を押さえる。切り替えた村上が3番手に続き、5番手に吉田。松岡は6番手に車を下げて赤板を通過する。先頭の元砂が後方を警戒する中、村上は2コーナー手前から加速すると、打鐘で一気に元砂を叩いて先行態勢に入る。3番手にはまった元砂は最終1センター過ぎから反撃に出るが、稲垣が2コーナーから番手まくりで応戦。椎木尾もバックから自力に転じて稲垣に迫ったが、稲垣は力強く振り切ってVを飾った。2着に椎木尾が入り、大外をまくった吉田の内のコースを踏んだ松岡が3着でゴールした。

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手

 同郷同期の固い絆で稲垣裕之(写真)が久しぶりの栄冠をつかんだ。前回りを志願した村上博幸が奇襲のカマシ先行。その気持ちに応えるべく、別線の反撃に合わせて全力でペダルを踏み込んだ。
 「(村上の)気持ちがうれしかったです。(番手から)出て行くかどうかの判断は難しかったですね。やっぱりこれまで(村上は)僕の後ろで我慢させることが多かったし、なかなか思うように走れなかったこともあると思います。こうやってどんな並びでもしっかり走ってくれる。これが近畿の層の厚さですね」
 決勝には近畿勢が6人進出。7車立てで別線勝負になるのは仕方ないが、地区全体の総合力が上がっているのを感じている。
 「6人決勝に上がれるのがいまの近畿の力ですね。同地区で別線勝負はやりづらいですけど、そこは割り切って力勝負をして。みんなで切磋琢磨して、さらにレベルアップしていきたいですね」
 この優勝で次走の名古屋オールスター、来月の向日町記念に向けて弾みがついた。
 「近畿には脇本(雄太)というすごい選手がいるし、自分ももっと頑張らないといけないと思います。もっと力をつけて、近畿勢を盛り上げていけるように」
 この開催の直前に43歳を迎えたが、闘志はまだまだ健在。2度目のGI制覇を目指して進化を続ける。

 目標の元砂が厳しいと見るや自ら外を踏み上げた椎木尾拓哉が2着に。
 「(村上の)カマシがちょっと予想外でしたね。あれで(元砂は)慌ててしまったところもあると思います。ちょっと厳しいと思って、外を踏ませてもらいました。伸びは良かったし、今回は尻上がりに感じが良くなりました」

 後方6番手に置かれた松岡健介は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「僕はまずは元砂と勝負、そのあと村上や吉田と考えていたので、思っていたのと違いました。色んなレースを想定したけど、判断ミスというか、まさかの展開でちょっと見てしまった。吉田も仕掛けて前が併走になっていて、踏むところがなかったです」

 村上博幸は盟友の前で驚きの先行策に打って出た。
 「3番手に入って、あれで誰か後ろからカマして来て、それにスイッチするのが好きなんですけどね。かぶってしまうと思ったので、行きました。ペースに入れて残るようには駆けているけど、先行選手じゃないですからね。あとは稲垣さんの判断に任せて。稲垣さんは苦しい時期もあって、一生懸命やっているのでずっと見てきたので」

 元砂勇雪は初の記念決勝で持ち味を出し切れなかった。
 「松岡さんを意識していて、(村上)博幸さんは3番手でまだ来ないかなって思ってました。先行したかったんですけど、難しいですね。3番手に入ってすかさず仕掛けたんですが、(稲垣に)出られて厳しかったです」





次回のグレードレースは8月7日~10日まで函館競輪場で「ミリオンナイトカップ」が開催されます。新型コロナウイルス感染拡大予防のため7車立9レース制で全国8地区からのあっせんになります。オールスター直前の大会のため、出場選手の実力は横一線で誰が勝っても不思議ではない。勝利の女神が誰に微笑むのか、運を味方にする選手は誰か、興味津々のシリーズです。
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