『富山競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月23日

 富山競輪場開設70周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」が7月23日に開幕。厳しい暑さの中、短走路を舞台にスピードレースが繰り広げられた。メインの特選は黒沢征治のまくりに乗った山崎芳仁が鋭く差し切り、好スタートを切った。2日目の24日は二次予選7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 今シリーズは有観客開催となります。ご来場の際は、各種感染防止対策にご理解とご協力をお願い申し上げます。

<1R>

宮越孝治選手
宮越孝治選手
 後ろ攻めから早めに切った堀内俊介を篠原龍馬が赤板過ぎに叩いて出る。前受けから6番手まで下げた藤井侑吾は2コーナーから反撃開始。打鐘の3コーナーで篠原を叩いて主導権を取る。これで絶好となった宮越孝治(写真)がまくってきた堀内をけん制しながら追い込んだ。
 「やっぱり地元なので緊張しました。でも平常心で走ろうと。1コーナーで車間を空けたかったんですけど、藤井君がかかっていて空ける必要がないなっていうか、空けられないなって。本当は(堀内に)体で当たれれば良かったんですけど、技術がないので先に張って。ちょっと早かったですけど、確実に1着を取りにいきました。ここでホッとせずに明日(2日目)も1着狙って頑張ります」
 記念初挑戦の藤井侑吾は力強い先行策で2着に粘り込んだ。
 「スタートでけん制が入ったので、本当は前を取りたくなかったんですけど。他のラインが中団取りだったのでタイミング的に行けて良かった。ちょっと重たかったですけど、出切ってからはペースで踏めました。バックがちょっと重くてホームは流れる感じでした」


<2R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 後ろ攻めから切った小谷実を嶋津拓弥がすかさず押さえる。前受けから7番手まで下げた岩谷拓磨は赤板の2コーナーからスパート。打鐘の3コーナーで嶋津をあっさり叩いて逃げる。ライン3車で出切って完全に九州勢のペース。井上昌己(写真)が番手で車間を空けてから余裕を持って追い込んだ。
 「岩谷が頑張ってくれました。1回行きかけて止めたんですが、落ち着いてました。粘られる雰囲気はあったけど、スピードが違いました。古川(貴之)がしっかり後ろにいたのも分かりました。(状態は)問題ないです」
 2着の岩谷拓磨はしっかり長い距離を踏んでラインを上位独占に導いた。
 「(井上)昌己さんとの連係は3、4回目あります。やっぱり重みはありますね。3番手が古川さんで本線ですし、出切ってしまえば昌己さんが車間を切ってくれますからね。早め、早めでハナは切ろうと思ってました。3人で出切れて作戦通り。焦らずに行けたんじゃないかと思います。富山は生まれた地なんで走れるのはうれしいし、僕的には戦いやすいです」


<3R>

 青板3コーナーで前団を押さえた菅田和宏が先行。赤板手前から松田大が巻き返すが、前のペースが上がると口の空いた3番手に入り、前受けから引いた竹内翼は7番手となる。一本棒から最終ホームで松田、1センター5番手から恩田淳平がまくるが、追って2コーナーから仕掛けた竹内がまとめて飲み込んだ。
 「菅田さんもけっこう踏んでいたので。松田君もあそこから踏み合っても仕方ないと思ったんじゃないですかね。けっこう、余裕を持って見れてました。恩田君の仕掛けを見ながら回して踏んで最後まで踏み切れた。セッティングも出たので。今までの自分じゃないというか、今までの7番手の感覚じゃなかった」
 竹内追走の友定祐己は離れ気味になって苦しい。ライン3番手の廣川泰昭が外を一気に伸びて2着に入った。
 「前の2人が強いので。前とは遠かったですけど後輪だけ見て。付いて行って最後に外を踏めればと思っていました。33(バンク)にしては直線が長いし、前回の小田原よりも長く感じましたね」


<4R>

柳詰正宏選手
柳詰正宏選手
 後ろ攻めの中井俊亮は中団の平尾一晃にしばらくフタをして赤板で上昇しようとするが、前受けの岸澤賢太が突っ張る。7番手から巻き返そうとした平尾に合わせて中団から中井が再度、踏み込んで岸澤と激しい主導権争いに。平尾を見切って中団に切り替えていた柳詰正宏(写真)が最終2コーナーから前団の混戦を豪快にまくり切った。
 「中井君が中団から踏み込んで、平尾君の仕掛けが合ってしまったので付いていく判断ができなかった。(岸澤と中井の)どっちが出切るのかを冷静に見極めてからと思ってました。残り1周過ぎても踏み合っていたので、まくるというよりも外に持ち出してみました。踏み出した感触が良かったし、後ろも付いていたので、行ってしまおうと。最近、まくりを出してないので、行けるかどうかは分からなかったです」
 九州コンビの後位を回った桶谷明誉が柳詰を懸命に追って2着に流れ込んだ。
 「想定外でしたが、柳詰さんに任せてました。最後、コースを突っ込んでいくのかと思ったら、外に持ち出したので必死に食らいついてました。ワンテンポ遅れている感じで、脚はいっぱいでした。期のはじめに失格したけど、気持ちを切らさずに頑張ります」


<5R>

 青板2センターで前団を押さえて久米康平が先頭に立つが、その上を赤板で高久保雄介が叩く。しかし、久米は中近ライン3番手をドカすと間髪入れずに巻き返す。打鐘前から先制の久米の後位には高久保が入り、離れ気味になって捌かれた北村信明は3番手で金子と併走。最終ホームから菅谷隆司がまくるも一息。モツれるレースとなったが、菅谷マークからまくりに転じた稲村成浩が勢い良く前団に迫る。2コーナーから高久保が番手まくりにいくが、ゴール寸前でとらえて大ベテラン稲村が1着。
 「菅谷君が目標だったので付いていくことだけ考えていました。(まくれたのは)たまたまですね。(ゴール前に差し切った)感触はありました。(状態は)普段と変わらないですね。4日間、しっかりと戦いたい」
 久米とのやり合いから番手に入ってまくった高久保雄介は8分の1輪差の2着に。
 「あそこ(打鐘手前)からまた叩きにきたのはさすがですね。でも自分も踏んでいたので番手に入れたのかなって。久米君がけっこう粘っていたのでキツかったですね。自分も一杯で最後は差されてしまった。最近はたまたま番手回りが増えていますけど、常に自力で動く準備はできているので」


<6R>

 後ろ攻めから上昇した内山雅貴が打鐘の3コーナーで押さえて先頭に立つ。このラインに続いていた単騎の堀僚介が赤板で切って前に出る。すかさず反撃に出た坂本貴史を合わせた内山が最終主導権を握る。最終ホームからまくり上げた森川康輔は田村真広に合わされて不発。内山の番手で絶好となった川口直人が直線で鋭く追い込んだ。
 「堀君が来てエッと思ったけど、(内山は)そのあとすぐ行って、(坂本を)出させなかったのは先行選手の意地みたいな感じでしたね。もう少し車間を空けたりしたかったけど、バンクも風が吹いてきたし、自分の技量不足でした。内山君が全部、ひとりでやってくれました。もう少し待てれば良かったんですが、そこは勉強ですね」
 南関ライン3番手の近藤俊明が2着に流れ込んだ。
 「(内山が)強かったですね。余裕はありました。6番(森川)と5番(田村)が来たのは見えていたけど、そんなにスピードはなかったので、最後のコースだけ間違わないようにと思ってました。体は前回も問題なかったので、あとはやる気の問題ですね」


<7R>

 青板3コーナーから木村弘が先手を奪取。高橋築が中団に追い上げ、取鳥雄吾は前受けから8番手下げさせられる。そのまま木村弘が駆けていき、最終ホームから高橋築がまくる。紺野哲也のブロックをこらえた高橋はバックで木村弘をまくり切り、マークの柿澤大貴が絶好展開を生かして勝利を収めた。
 「高橋君が上手く中団を取ってくれたので。仕掛けていったときに結構いっぱいできつかったんですけどね。余裕はなかったです。高橋君が強かったですね。最後抜ける感じはしなかったんですけど、富山は相性がいいですね。今回から自転車を戻して1着スタートなので悪くないですね」
 人気の取鳥は立ち遅れてまくり届かず、高橋築がライン3人で上位独占に導く殊勲の走りで2着に粘り込んだ。
 「空いていたので切り込んでみたら中団が取れたので良かったです。前もカカっていましたけど、あれ以上遅くなるとかぶってしまうと思ったので少し詰まったところから仕掛けました。自分必死で後ろのことは分からなかったですけど、ラインで決まって良かったです」


<8R>

谷口遼平選手
谷口遼平選手
 山口敦也、佐藤雅春の順で切った上を谷口遼平(写真)が打鐘の3コーナーで叩いて逃げる。3番手以下はもつれて谷口が別線を完封。力強く押し切って人気に応えた。
 「ジャンでは行こうと思ってました。気持ちで負けずに行けました。前からで、切って、切っての展開で、あそこで見てたら先はないですからね。ただ赤板で車間を空けすぎて、タイミングが遅くなったのは反省です。風が強くてキツくて、ペースに入れすぎてしまったけど、最後まで粘れたのは良かったです。ずっと重くて余裕はなかった。最後はバタバタでした。乗りにくい感じはあったので、サドル回りはいじろうと思います」
 地元の北野武史は逆転ならず。それでも2着でしっかり勝ち上がった。
 「2番(佐藤雅春)が思ったより抵抗してきましたね。谷口君、頑張ってと思ってました。谷口君にいつもの伸びていく感じがなかったので、最後、差せるかと思って全力で抜きに行ったんですが、力んでドリフトして終わりました」


<9R>

 後ろ攻めの大西貴晃が早めに押さえて先行態勢を取る。前受けから7番手まで下げた稲毛健太は打鐘過ぎから反撃。これを松川高大が最終1コーナーで大きく外に振る。それでも迫る稲毛を3コーナーでもう1度ブロックして止めた松川が返す刀で早めに追い込んだ。
 「大西君とは初めてでしたけど、強かったし、かかっていましたね。でも稲毛君も強くて、後ろ(中村雅仁)のことも考えて、三谷(将太)さんのコースもってなると最後は難しかったですね。番手なので脚に余裕はありましたけど。久々の1着ですね。富山とも相性が良いし成績ほど悪くなかったのでこの1着をきっかけにしたいですね」
 中団の内に包まれていた簗田一輝が直線勝負で2着に食い込んだ。
 「メンバー的にまずは中団を取ってからって思っていましたけど、稲毛さんがいけなくてかぶってしまって厳しくなりましたね。最後はコースを探して伸びているので悪くないんですけど、後ろには迷惑をかけてしまいましたね。9車立てももつれる展開も好きなので、明日(2日目)以降はもっといいレースをしたい」


<10R>

高橋晋也選手
高橋晋也選手
 後ろ攻めから動いた日野博幸が打鐘の3コーナーで押さえて先行態勢を取る。前受けの高橋晋也(写真)はいったん3番手の内で粘るが、結局7番手まで下げる。最終ホーム前から力任せに踏み上げた高橋が3番手からまくった元砂勇雪を乗り越え、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「中途半端でしたね。結果、すぐ引いて前が駆けるのは待ったほうが良かった。中団で粘ったけど、一瞬、踏み遅れてしまった。もっと中団で勝負できれば良かったんですが…。引いた時点で後ろに迷惑をかけているので、すぐ行って気持ちでどうにか出ないとって思ってました。1周しか踏んでないので、(状態は)何とも言えないですね。疲れはないと思います。明日(2日目)は自分でしっかりレースを動かせるように」
 ベテランの内藤宣彦がしっかり続いて直線は詰め寄った。
 「(高橋は)中途半端でアチャーっていう感じでした。(一次)予選だから力で行けましたね。これが二次予選なら行けてなかったと思う。踏み出しで自分的にはちょっと口が空いてしまったけど、その後は楽ではないですけど、いつも通り踏めました。自分でも何でか分からないんですが、調子はいいですね。ダービーの後から気合を入れて練習するようになって感じがいい」


<11R>

阿部拓真選手
阿部拓真選手
 後ろ攻めから上昇した大石崇晴を前受けの菊池岳仁が青板のバック過ぎから突っ張る。大石が7番手に戻って、打鐘、最終ホームを通過。初手から中団を回っていた阿部拓真(写真)が2コーナーから好回転でまくって快勝した。
 「前を取ったらペースが上がって後方になると思ったので、我慢して真ん中を取って、いい展開になりました。(菊池が)大石君を突っ張ってペースに入れて、ホームはかかっていたので、半信半疑で行ったんですが、車が出てくれました。いままでの中では一番いい手応えを感じています。(勝ち上がる)チャンスはあると思っているので、しっかり展開を読んで、モノにできればと思っています」
 伏見俊昭がきっちり続いて2着。北日本ワンツー決着となった。
 「上手い具合にはまった感じですね。菊池君がいいペースで駆けていたけど、阿部君が強かったです。暑さのせいか体が重い感じがしたんですが、道中はそんなにキツくなかったです。最後、(神山)拓弥の動きが気になって思いっきり踏めなかったので、その辺を修正して頑張ります」


<12R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 後ろ攻めから切った岩本俊介を竹内雄作が赤板で押さえてハイペースで駆ける。前受けから5番手まで下げた黒沢征治は最終ホーム前からまくり上げる。浅井康太の再三のブロックを乗り越えた黒沢を山崎芳仁(写真)が直線で鋭く差し切った。
 「黒沢が強かったです。ホームで前がかかっている時に行ってくれました。浅井が絶対に持ってくると思ったので、まくる感じで車輪をかけながら付いてました。ワンツーが決まって良かったです。前回から走っていくたびに良くなっています」
 まくった黒沢征治は2着。函館サマーナイトの疲れを感じさせない動きを披露した。
 「先行の作戦を立てていたので、モヤモヤした感じはあります。みんな強くて、キツかったです。浅井さんに当たられたところが少しズレていたので、何とか乗り越えられました。紙一重だったけど、すごい自信になります。持って来られても踏みやめないで、前回のサマーナイトの反省は生かせました。最後はバテバテでした」