『富山競輪開設70周年記念（GIII）レポート』　最終日編

　竹内雄作がスタートを制して、藤井侑吾-竹内-宮越孝治が前団に構える。稲垣裕之-三谷将太、堀内俊介-小原太樹、単騎の柿澤大貴、阿部力也の隊列で周回を重ねる。
　青板で6番手の堀内が上昇を始めて前団に併せ込むが、藤井がバック過ぎに突っ張り主導権をキープする。藤井後位は竹内-宮越（イン）と堀内-小原と併走になる。近畿勢が中団を確保して、単騎の2人は阿部、柿澤になって打鐘を迎える。逃げる藤井後位の決着がつかないまま、稲垣が4コーナーから踏み込んで最終回へ。
　稲垣がバック手前で藤井をとらえて三谷の追走。近畿勢に阿部が続くが、藤井後位を踏み勝った堀内が阿部を張り、柿澤が中を突いてもつれる。三谷を振り切った稲垣が優勝。三谷が2着に入り近畿ワンツー。柿澤、堀内、小原、阿部の4人が直線で落車に見舞われ、逃げた藤井が3着に残る。

　「自覚を持って走る」。強い決意で大会連覇に挑んだ稲垣裕之（写真）が会心のまくりで結果を出した。
　「若い選手に気持ちで負けないようにと思ってました。（去年は村上博幸の番手を回っての優勝だったが）本当にどの位置でも勝てるのは気持ちのいいものですし、グレードレースで勝てたのは自信になります。父親の出身が富山で、親戚がいつも応援に来てくれるので良かったです」
　強力布陣を敷いた中部勢を相手に堀内俊介が抵抗したことで、チャンスが生まれた。
　「自分も含めて誰かしら（中部勢の）邪魔をしないと優勝できる確率は低くなりますからね。もつれたらホーム前には仕掛けようと思ってました。（三谷）将太も内を締めていたみたいですし、2人の力を合わせた結果です」
　これで通算8回目の記念制覇。来月に控える平オールスターに大きな弾みがついた。
　「オールスターまでは時間がまだありますし、もう1回気持ちをリセットしてまた土台作りから始めたい。GIの舞台でもっとしっかり勝ち上がれるようにしたいです」
　2日後の28日には44回目の誕生日を迎えるが、脚力はまだまだ健在。16年の寛仁親王牌以来となるGI制覇も不可能ではない。

　三谷将太が2着で近畿ワンツー決着。好マークから直線で迫ったが、逆転はならなかった。
　「稲垣さんがめっちゃ強かった。あと半周行っても抜けなかったと思う。稲垣さんはさすがですね。自分は阿部君や柿澤君もいたので割られないように気にしてた。自分が抜いてワンツーかと思ったけど」

　中部ライン3車の先頭を任された藤井侑吾は突っ張り先行で稲垣にまくられたが、しぶとく3着に粘り込んだ。
　「初のS級決勝が記念なので、やっぱり緊張しました。突っ張ったらそうなるかなって思っていたんですが、僕の気持ちが弱かったです。流しすぎて、後ろの（竹内）雄作さんに迷惑をかけてしまいました。反省する点が多いです」