号砲と同時に勢い良く合志正臣が飛び出し、小嶋敬二を迎え入れる。以下、武田豊樹-幸田光博-諸橋愛、石丸寛之-米沢大輔、新田康仁-金成和幸の並びで落ち着き、周回が進む。
青板過ぎの2コーナーから新田が早くも上昇。赤板では誘導員を交わして先頭に立つも、その上を石丸、武田の順で押さえ、打鐘で武田が先行態勢に入る。武田は後続の動きを確認しながら徐々にペースアップ。石丸がすんなり四番手に入り、新田が六番手、小嶋が八番手の一列棒状の展開に。懸命に逃げる武田のかかりは良く、別線はなかなか仕掛けることができない。最終バック八番手から仕掛けた小嶋は新田に合わされ不発。最終4コーナーでは関東勢で上位独占の態勢となり、武田が末良く粘って優勝を飾った。2着、3着にも幸田と諸橋がそれぞれ続いた。
小嶋敬二は5度目の地元記念Vならず。細切れ四分戦の決勝は、大方の予想通りライン3車の武田豊樹がジャン過ぎから先行。重たいバンクを物ともせずに前半を9秒3、後半を9秒6のハイラップを叩き出し堂々の逃げ切り勝ちを収めた。
「先行でうまく駆けられればと思っていたけど、優勝できるとは思わなかったですよ。ちょっと焦りもあったし、まくられると思った。先行で優勝したのは久々、いつ以来だろう? (一昨年8月の)松戸記念かな。宮杯を獲れなかったのはくやしかったし、今回は獲れるとは思っていなかったけど、実際に優勝してみると素直に嬉しいですね。でも、先行で勝てたのは本当にたまたま。これが逆で小嶋さんが逃げていれば、自分は不発で優勝は小嶋さんだっただろうし」と謙虚に振舞う武田だが、レース直前にはオッズを確認し、小嶋に対する闘志を奮い立たせた。
「普段、自分が人気になっているときには見ないんだけど、最近オッズがなくなってきているんでね。小嶋さんがどれだけ被っているのか、そこだけは確認してレースに臨みました。次の寬仁親王牌ではあと半周早く駆けられるね。今日のレースで確認できたし、ギアも一枚掛けてみても良いかな。また次(親王牌)は自分よりひと回り若い先行選手と戦わなければいけないから、気持ちを入れ替えて頑張ります」
断然の人気を集めた小嶋敬二は最悪の八番手で不発。引き揚げてくるなりドッカリと腰を落とした。
「武田が初手で中団を取るとは思わなかった。武田が押さえて、新田も石丸も中団が取りたいだろうし、周りは皆同じことを考えていた。何度もタイミングを取られて遅れてしまい、結局は自分が後ろになってしまった。前受けから突っ張って、武田が来たところで(四番手に)ドッキングしようと思ったけどうまくいかなかったね。今回は絶対に勝たなきゃいけないというプレッシャーがあったし、決勝は強いメンバーなのに断トツの1番人気。常に気を張っていなきゃいけなかったから今回は疲れました」
準決勝に続き武田をマークした幸田光博は、「4コーナーで抜きに行っちゃおうかなと思ったけど無理でした。武田君はすごい掛かりだったけど、昨日よりは楽だったんじゃないかな。まさかすんなり駆けられるとは思わなかったね。差せなかったけど、ラインで決まって良かった」と準優勝で納得の様子。
3着の諸橋愛は、「武田さんの掛かりが凄かったけど、それでも(後ろからまくって)来ると思った。今日は仕事をすることに専念して、蛇行しながら様子を窺っていました。もう少し直線が長ければ差し込めたんだろうけど、ラインで決まったし、武田さんが優勝してくれて良かったですよ」。
四番手を取った石丸寛之は新田康仁に合わせるも全く車が出なかった。
「一歩も出んかった。ジャンで脚を使っていたのもあったけど、コーナーで全然前のスピードが落ちなかった。凄く掛かっていたし、いつもまくりに行く感覚と全く違っていた」と舌を巻く。
新田康仁は「車番(9番)が悪かったし初手で良い位置が取れないからどうしようもない。後ろになったときの組み立ても考えていたけどね。小嶋さんは八番手になったし、もう一回叩く展開になると思ったんだけど。あれではどうしようもない」と悔しがる。
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