『富山競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:8月16日


 富山競輪開設59周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」が8月16日に全日程を終了した。し烈なサバイバルレースを勝ち抜いたのはS級S班の市田佳寿浩、山田裕仁ら9名。注目の決勝戦は準決勝後にギアを4回転に上げた市田佳寿浩が好位確保から鋭く抜け出し通算11度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲と同時に勢い良く村本大輔が飛び出す。渡邉一成―藤田竜矢―村本の東ラインが前団、山田裕仁―山内卓也―萩原操の中部勢で中団を形成、後方は市田佳寿浩―三谷将太の近畿コンビに、単騎の田中誠が最後方の形で隊列は落ち着く。
  青板から市田が早くも上昇。バックで渡邉に並びかけ、誘導員の後位で併走する。赤板過ぎに市田が誘導を交わして先頭に立つと、渡邉は7番手まで車を下げる。市田は後続の出方を見ながらピッチを緩め、打鐘から徐々に踏み上げていく。そこに近畿コンビを追走していた田中が4コーナーで空いたインコースを突いて奇襲の先行。市田、三谷で田中を追い、山田は4番手。7番手に置かれた渡邉は最終ホームから巻き返すも不発。山田も2コーナーからまくり上げるが、車間を詰める勢いで田中を追っていた市田が4コーナーでこれをブロックすると、直線鋭く追い込んで優勝を飾った。2着には田中が粘り、2センターでインを突いた村本が3着に突っ込んだ。
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手


 これがS級S班の底力だ。後ろに三谷将太を従えての自在戦。単騎で逃げる田中誠を追いかけると、4回転のスピードを生かしてゴール前でしっかり抜け出した。「(三谷と)2人で取った優勝です」。ラインの先頭を走るという大役をきっちり務め上げての優勝に市田佳寿浩の笑顔が弾けた。
  「僕は典型的な自在型。どんな展開でも対応するのが赤いパンツをはいてる理由だし、今日も作戦はないに等しかった。4コーナーで内から田中が来るのがパッと見えたので追っかけた。バックを踏むこともなかったし、上手いこといきました。絶対に将太と2人で突き抜けようと思ってたのに、かぶってしまったのが残念です」
  京王閣記念で落車、復帰戦の全日本選抜ではレース勘不足を痛感したが、「今回は全部自分で(レースを)作った」と胸を張る。続くオールスターではもっと良いパフォーマンスを見せてくれるだろう。
  「落車で調整が狂ったけど、これで気持ち前向きにいける。目標のオールスターへ向けて、まずはゆっくりします」

 打鐘過ぎの4コーナーから単騎で先行に出た田中誠が2着に。競走得点ではボーダーライン上だったが、この2着で文句なしの競輪祭出場権を手に入れた。
  「後ろにもう1人いるくらいに頭を切り替えて走りました。単騎だったサマーナイトの決勝では出られず失敗したし、その失敗もふまえて。結果オーライだけど、判断も良かったと思います。4日目でやっとバックが取れました(笑)」

 渡邉一成の巻き返しは不発に終わったが、バックどん尻から村本大輔が内を強襲。上がり8秒9という脅威のタイムで3着に食い込んだ。
  「いつも世話になってるから、前の2人どっちかが優勝して欲しいと思ってた。今日は田中の思い切りが良かったね。あそこから内に行って3着なら上出来です」

 中団を確保した山田裕仁はバックまくり。一気に前団を飲み込むかに見えたが、直線で力尽きた。
  「一成の先行なら番手も考えたけどね。下げたし、まくり狙いでカマシはないだろうと思った。(まくった時に)乗り切ったと思って油断したのが失敗。4コーナー勝負で良いと思ったら、自分が乗り切れなかった」

 先行1車のメンバー構成。ファンの人気を集めた渡邉一成だったが、巻き返しは不発に終わった。
  「ラインにチャンスがあるのは自分の得意パターンに持ち込んだ時だと思ってた。タイミング次第で突っ張りも考えてたけど、突っ張れば良かったですね。良いタイミングで田中君が行って、後ろが4回転なら掛かり切っちゃいますよね。ダメだったです」

 三谷将太にとっては市田のすごさを再確認したレースだった。
  「付いててなんちゅう人や、この人は違うと思いました。それでも抜けるかなと思ってたけど残念。甘くないですね」
ゴール





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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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