決勝戦 レース経過 | |
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号砲で金子貴志が勢い良く飛び出し、目標の浅井康太を迎え入れる。隊列は浅井-金子-北野武史の中部勢が前受け、中団は川村晃司-村上義弘の近畿コンビ、単騎の松川高大が続き、後方に新田祐大-菊地圭尚の北日本コンビ、単騎の野田源一が最後方の形で落ち着く。 残り3周の青板から新田が上昇を始める。前受けの浅井はすんなり車を下げ、新田が誘導員の後位に収まる。今度は川村が仕掛けて赤板で先頭に立つが、浅井がすかさずその上を叩いて主導権。単騎の松川が中部勢を追って4番手を確保、川村が5番手に入る。8番手に置かれた新田が打鐘前から踏み出すと、菊地は離れる。浅井がハイペースで逃げるなか、新田が抜群のスピードで迫ってくる。これに合わせて金子が最終2コーナーから番手まくり。新田を出させずに最後まで力強く踏み切った金子が優勝を飾った。最終2コーナーから自力に転じた村上が2着。これを追った単騎の野田が3着に入った。
「(浅井は)あんな走りをしてくれて、本当にうれしい。ありがたいですね。浅井のスピードなら普通は、誰も来ることができないですよ」 逃げても強い浅井が抜群の掛かりで風を切るが、反撃に出た新田が規格外のスピードであっという間に差を詰める。金子は迫り来る新田を最終2コーナーからの番手まくりで応戦。新田、さらにその上をまくって直線で猛追する村上らを振り切って、5月の松阪に次ぐ記念制覇を遂げた。 「来るか、こんなスピードでと思ったら新田でした。すごいスピードだったし、行かれたと思ったらちょうどコーナーに入ったんで。もう直線で(新田が)来ていたし、自分で出て行くしかなかった。あれがコーナーだったら、また違ってましたけど。そのあとに村上さんも来てたんですね。(仕掛けを)待ったらやばかった」 豊橋記念では逃げた深谷知広と地元ワンツーの準V。中2日の強行ローテで続く今シリーズは、浅井の番手で優勝。後輩たちの仕上がりと意気を肌で感じながら、金子がオールスター(9月11日から)を迎える。 「自力の選手のヤル気がすごいですね。自分が邪魔にならないように。これが終わったら中1日で高地に合宿に行くので、それでどれだけ追い込めるかやっていきたいです。とにかくできることをやっていきたい」 慢心することを知らないグランプリ王者は記念Vから、すぐさま気持ちのスイッチ。オールスターを見据えるのだ。 川村の動きをギリギリまで見極めた村上義弘は、最終1センターで川村が内に行きかけると新田を追いかけてまくり上げた。 「あのタイミングであの浅井の先行は、(川村)晃司も予想外だったんじゃないですか。ジャンでは先行したラインが中バンクに上がって、自分たちが内を締めてなくてはいけなかったし。晃司もきつかったと思う。新田の動きに反応できればよかったんですけど…」 勝負どころから京都コンビを追走した野田源一は、村上のまくりをワンテンポ遅れて追走。直線で強襲するも新田を交わしての3着がやっと。 「川村さんの先行があると思って、ああなったんですけど。思ったより早く浅井君が来ちゃった。そこからは新田君に付いていく余裕もなくて、村上さんが踏んでくれたからって感じですね」 別次元のスピードで巻き返した新田祐大だったが、中部ラインの結束の前にV逸。金子に番手まくりで合わされて万事休すだった。 「今日のレースはヘタクソでした。もうちょっとうまくやっていかないと。ああいう中部の走りにも対処できるように、しっかりと作戦を今より組んで。うまく組み立てたい」 早めの先行策に出た浅井康太はどうか。 「あれが新田じゃなかったら、もうひと踏みできたと思う。感じもよかったし、余裕もあったんで。優秀の時に地元に迷惑を掛けてしまって有賀(高士)さんも落車させてしまった。その中で決勝は北野さんが地元で乗ってきて、3番手を固めてくれてありがたかったし。王者(金子)を付けて、いいレースをしなきゃっていう思いがあった」 |