『富山競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月30日

 富山競輪開設67周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」が8月30日から開幕した。天候も午後には回復し、後半戦はベストコンディションでスピードバトルを展開。メーンの特選は長島大介、古性優作に浅井康太が1着でシリーズの好スタートを切った。2日目は優秀の「峻峰剱賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目は宮越大選手や表大暁選手、笹倉慎也選手、竹澤浩司選手によるお出迎え。朝練習見学会(正面入場口で8:00~8:20まで受け付け)や本田晴美氏の予想会も引き続き予定されています。ぜひ富山競輪場へご来場ください。

<1R>

中村昌弘選手
中村昌弘選手
 赤板ホームから菅原裕太、水谷好宏と次々前に出たところを、1コーナー過ぎから工藤文彦が仕掛けて打鐘過ぎから主導権。3番手以降を大きく引き離すと、続いた中村昌弘(写真)がゴール前で工藤をとらえた。
 「工藤君は先手を取ると言ってくれてたので。でもスピードがすごいですね。僕は200パーセント恵まれ。新車はまだ来ないけど、対応はできるんで。流れに乗れれば大丈夫そうです」
 2着の工藤文彦だが、鋭い出足で別線に出番を与えず。好調ぶりをアピールした。
 「雨が降って、細切れの33(バンク)なんで先行したほうが確実に勝ち上がれるなと思った。まくりに構えたらリスクがあったけど、しっかり先行できたのでよかったと思います。頑張って早起きした甲斐があった。1着を期待された1番車だけど、しっかりワンツーできたのでよかったです」
 前を任せた菅原が離れた吉永好宏とかぶって内に詰まると、バックから石毛克幸が前団を追いかけ3着に。
 「工藤君がいいスピードでした。強かったです。もう、これは追いつかないと思った。厳しい番組だったけど、とりあえず勝ち上がれてよかった」


<2R>

高木翔選手
高木翔選手
 後ろ攻めから早めに動いて誘導員の後位に収まった高木翔(写真)を赤板で下沖功児が押さえて先頭に立つ。その上を踏み込んだ岡崎景介が打鐘前からハイピッチで飛ばしていく。最終2コーナー、5番手からまくり上げた下沖は不発となったが、7番手から高木翔が大外を豪快にまくり切った。
 「下沖さんがもっと行くと思っていたら、流されてみんなに行かれてしまった。最悪でしたね。落ち着いて行けるところから踏んだら出切れるなっていう感じでした。楽に行けたし、脚は悪くないんですけどね。組み立てが悪かったです」
 棟方次郎が懸命に続いて2着をキープした。
 「ああなって、あとは付いていけるかいけないか。山を越える時に後輪が滑ったけど、下りでなんとか付いていけた。抜けないですけどよかったです」
 百戦錬磨の高木隆弘がしぶとく3着に突っ込んだ。
 「片寄君が前々に踏んで、いい位置を取ってくれたおかげですね。33で後方に置かれたら厳しいですから。最終ホームでは決まったかなって思ったんですけどね。練習はしっかりやっているし、動けていると思います」


<3R>

 前受けから下げた片折亮太は打鐘前2コーナーから一気にカマして主導権を握る。踏み出しで口が空いた須賀和彦が追いつき、望月裕一郎も続くと、ラインでワンツースリー。逃げた片折が押し切った。
 「スンナリ出させてもらったんで。須賀さんが遅れてるのはわかったので、ちょっと待ってから。そのあとに来た人も見えてたし、出てからも余裕はあった。逃げられたし、1着も取れてるのでいいと思う」
 前で併走する須賀、月森亮輔の中を割った望月裕一郎が2着。星島太の落車で審議対象となっていたが、セーフのアナウンスに胸をなでおろす。
 「よかったです。あそこはしのがないと入られるんで。練習もできてたし、それがかみ合ってくれた。最後もいつもより狭いと思ったけど、調子がいいからしのげた。ちょっと光が見えそうな気がする」
 「ジャンと(最終)2コーナーと2回口が空いた」と振り返る須賀和彦だったが、何とか片折に続いて勝ち上がりを決めた。
 「(離れちゃ)ダメでしょ。課題なのはわかってるけど、なかなか…。20日も空いたからかな? 今日はフワフワしてた。何とかしのいだけど、望月さんに抜かれちゃダメですね」


<4R>

 後ろ攻めから動いて青板バック手前で誘導後位に入った大石崇晴はホームから誘導員を下ろして主導権を握る。番手の柴崎俊光は最終1コーナーで矢野昌彦、バックで服部克久と次々襲ってくる別線の仕掛けをブロックして直線抜け出した。
 「大石のおかげです。いいタイミングでブロックをして、止めてから戻った時にだいぶ詰まって(大石を)残せないかなと思ったけど、残ってくれてよかった。大石が強かったです」
 逃げてレースを作った大石崇晴が3着に粘って勝ち上がりを決めた。
 「前に矢野さんと戦ったときに突っ張られているので早めに行こうと思っていました。柴崎さんのブロックが大きかったけど、自分で駆けて勝ち上がれているし自信になりますね」
 服部克久のまくりは柴崎のけん制にはばまれた。
 「(赤板の2コーナーで)詰まったので内を突いたけど締められたので下げました。結果的に後方になってしまったので、思い切って仕掛けました。踏んだ瞬間自分の中でもイケると思ったけど、柴崎君のブロックがすごかったです」


<5R>

 赤板ホームで前に出た長尾拳太は1センターから巻き返して来た久木原洋を出させず打鐘からペースを上げる。これで岩本和也には絶好の展開。粘る長尾をゴール前でとらえた。
 「出てから焦って踏むかなと思ったけど、長尾君が落ち着いてましたね。中村(淳)さんも僕の後ろだったし、僕は上手いこと回せるなと。最近にない調子で迎えられたのは奇跡というかありがたい。状態はいいんで、頑張りたいですね」
 逃げた長尾拳太は2着に粘った。
 「内容はいいと思います。とりあえず後ろなら切って、ジャン前のバックとかで出られる感じなら出させてもと思ってた。ジャンまで引っ張れたんでね。久木原さんが見えて1回全開で踏んだんで、後半は余裕がなかったです。でも中部で勝ち上がれたんで、2日目もしっかりラインで決まるように頑張りたい」
 中村との併走をしのいだ鈴木幸紀が3着に流れ込んだ。
 「中村さんは絶対来ると思ってたし、危なかったけど引いてくれたんで。調子が悪かったら入られてだったと思うし、地元の邪魔せんでよかった」


<6R>

 後ろ攻めから早めに動いた伊藤勝太が赤板で池野健太を突っ張って主導権を取る。この4番手を確保した小埜正義が最終2コーナーから好回転でまくる。これに乗った大塚英伸が鋭く差し切った。
 「恵まれました。小埜君がうまいことやってくれました。久しぶりに勝ててよかったです。こういう展開の時にしっかり勝たないとって思ってます。前検日まですごい体が重かったんですが、走ったらすごい軽く感じました。(6月弥彦で)優勝した頃の感覚に戻っている。今回は期待できそうです」
 まくった小埜正義が2着で南関ワンツー決着。落車明けの不安を一掃した。
 「すごい緊張しました。うまいこといったし、ラッキーでした。めっちゃキツくて、いっぱいでしたけど、大塚さんとワンツーが決まってよかった」
 伊藤勝太の先行を利した五日市誠が3着に入った。
 「伊藤君が積極的に行ってくれたし、頑張ってくれたおかげです。小埜さんのスピードは違いました。伊藤君を4着までには残したかったけど、もうちょっとでした」


<7R>

 青板からアクションを起こした坂本周作はバック過ぎから先行態勢に入る。ホーム、7番手から桜井雄太も仕掛けるが、4番手の外でいっぱいに。坂本の番手で大きく車間を空けた守澤太志はバックからまくってきた松岡孔明をブロック。直線でもう一度迫ってきた松岡に合わせて踏み込むと、白星をゲットした。
 「(坂本の踏む距離が長く)これは大丈夫か?と思ったけど、できれば3着までに残したかった。申し訳ないですね。(松岡を)止められれば止めたかったけど、交わされたのでギリギリまで待って踏んだ。車間を切って(松岡に)早く来てくれと思ってたけど、引きつけられましたね」
 中団まくりの松岡孔明は守澤のブロックを耐えて2着に食い込んだ。
 「楽に中団を取れたけど、(守澤が)車間を切っているからキツかったです。仕掛けたくはなかったけど、あの展開では行くしかなかった」
 坂本周作は4着になってしまったが、主導権を握って見せ場を作った。
 「(番手が)守澤さんじゃなければもっと行かれていました。長い距離を踏もうと決めていたし、長い距離を踏めたので疲れは大丈夫です。勝ち上がれたし、守澤さんのおかげです」


<8R>

岡崎智哉選手
岡崎智哉選手
 後ろ攻めの金澤竜二は中団の小林申太にフタをしてから、赤板前に踏み上げる。これですんなり中団に収まった岡崎智哉(写真)が最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「後ろで少しもつれていたんで、自分でペースを上げました。そうしたら来て中団という感じでしたね。あとは落ち着いて手堅くいきました。モコモコしていたけど、それはいつものことなんで。できることをしっかりやって、まずは準決勝に乗りたい」
 地元の松崎貴久がしっかり続いて2着で初日を突破した。
 「岡崎君が全部、やってくれました。強かったです。ちょっとからまれそうになったんで、よけて回りました。付いていく分には自信がある。今回は地元の選手複数で、決勝に乗りたいと思ってます」
 金澤の先行を利した川口直人が3着に食い込んだ。
 「金澤君はいい感じで踏んでましたね。あれだけ頑張ってくれたんで、もう少し自分がしっかりできればよかった。そのぶんもしっかり勝ち上がっていきたいです」


<9R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 誘導員を残して車を下げた佐々木豪は赤板ホームから巻き返しに行くが、合わせて中川勝貴もペースを上げる。ホームで佐々木が叩き切るかに見えたが、合わせて番手から出た渡辺十夢が内を盛り返して2コーナーで佐々木をけん制。このあおりを受けた宿口陽一(写真)だが、そこからさらに加速するとモツれた前団をひと飲みにした。
 「よかった。うれしいです。8番の子(中川)があまりわからなかったし、1番(佐々木)の脚力が上だから行っちゃうんだろうなと思った。そこに切り替えて行こうとしたら、あおりがすごかったので。今回でセッティングと体が合った気がする。駆けてもいいぐらいの感じでした。今期はハイペースで9着を取ってるし、前回も内容がなかったんで久々にうれしい」
 近畿3番手から2着に入った角令央奈は前の2人に感謝しきり。
 「前が頑張ってくれたおかげですね。作戦どおり主導権を握ってくれたので、それが一番大きい。僕は付いてただけなんで助かりました。余裕もありすぎるぐらいありましたね」
 宿口マークの佐藤真一は3着に。
 「2コーナーでけん制があって(宿口が)止まった。(直線は)外は無理だし、中も空かなかったので無理だったから、4着以内を確保と思った。とりあえずまた2日目頑張ります」


<10R>

長島大介選手
長島大介選手
 赤板ホームから飛び出した櫻井正孝が主導権を握ると、山中秀将は打鐘過ぎから早めの巻き返し。1センターで前団を飲み込んだが、北日本後位から山中ラインにスイッチした長島大介(写真)がそのまま外に持ち出し、直線鋭く突き抜けた。
 「組み立てとしては3番手を取ろうと思っていましたが、山中さんの仕掛けには合わせられないですよ。それでも余裕はあったので2、3着に入れるかなと思っていたら、自分が思ったより伸びましたね。この感じならいい勝負ができると思います」
 長島マークの諸橋愛が2着に続いた。
 「(長島は)自信を持って行っているし、高松宮記念杯のときより強くなっていますよ。俺の感じもよくなっているけど、今日は抜ける感じがしなかった。イセ(伊勢崎彰大)が内に差し込んでいたから結果的に押し切れたけど、差し込んでいなかったら厳しかったかも」
 ホームからロングスパートした山中秀将だが、関東コンビに外を行かれて3着に。
 「早めに行かないと早坂(秀悟)さんに合わされると思って仕掛けました。ただ、出切るのに脚を使って最後はタレていました。踏み込んだ感触はよかったし、仕掛けどころもよかった。あとはペース配分の問題ですね」


<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 後ろ攻めの山本伸一が青板周回の3コーナーから一気に踏み上げる。前受けの田中晴基はこの3番手の位置に飛び付く。後方となった平原康多は打鐘から反撃。最終1コーナーで出切るが、後位にはまった山本が二の脚を使って詰め寄ると、その後ろから古性優作(写真)が鋭く伸び切った。
 「(山本)伸さんがいいレースをしてくれました。自分のできることをしっかりしようと思っていた。平原さんが来たのは見えたし、(打鐘の)2センターで(山中貴雄と)ぶつかったのも見えてました。対応しようと思ったんですが、持っていくタイミングの取り方に失敗しました」
 山本伸一は古性の好アシストもあって2着。前々に攻めたことが結果につながった。
 「(古性)優作が全部、やってくれました。立ち上げ切るまでに行かれてしまったので、まだもう1回踏める脚は残ってました。脚自体は悪くないけど、自転車がヤバいですね。(新車で)硬すぎる感じなんですが、もう一走してみます」
 落車明けの平原康多は長い距離を踏んで3着に粘った。
 「勝負どころでしっかり行けました。ただ山中が前で浮いていて、2回くらいバックを踏みました。最後が苦しかったですね。今の状態なりに納得の走りはできました。気持ちで走れたと思います。あと3日間、体調管理をしっかりして、レースの中で微調整していきます」
 山本のラインの3番手に飛び付いた田中晴基は内に包まれて持ち味を発揮できなかった。
 「あそこまで泳がされて、引くに引けなかったです。状態的には悪くないと思います」


<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 赤板2コーナーで前に出た取鳥雄吾とすかさず叩いて来た佐藤博紀で打鐘から激しいモガき合い。1コーナーで佐藤博が力尽きると、そこをホームから浅井康太(写真)が好回転でまくる。鮮やかに前団を飲み込むと、直前の不安を吹き飛ばした。
 「よかったです。来る前の練習が全然だったんで。感触がすごく悪くて、モガキより乗り込み重視で来た。初日モガいてよかったですね。不安なところがあったけど、これで吹っ切れたんで。優秀は初日よりいいメンバーになる。GI決勝に近いメンバーだと思うので、そのなかでしっかり走れば今後につながると思う」
 不発になった佐藤博後位から3番手に下りた佐藤慎太郎はバックまくりで浅井を追いかけ2着に。
 「後ろにオノダイ(小野大介)もいるし、イチかバチか行ってみようと思ったけど、浅井のスピードが違ったね。走りながらスピード差を感じた。僕は前回が地元オールスターだったし、脚自体はキープできてると思う。悪くはないのかなと思う」
 浅井、佐藤慎と次々に外を行かれた橋本強は北野武史を飛ばして佐藤慎後位に切り替えると3着に入線した。
 「ダメですね。スピードが違い過ぎる。真後ろに慎太郎さんがいるのはわかってたけど、それにも対応できなかった。余裕はあったけど反応が鈍い。でもあれは無理だな。強かった、浅井が」