『松阪競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月9日

 松阪競輪場で開設71周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」が、9月9日に幕を開けた。初日の一次予選でも熱戦が展開され、メインの特選では接戦を郡司浩平が制した。9月10日の2日目には二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われ、見ごたえのスピードバトルが展開される。
 なお、この開催は、新型コロナウイルス感染症の拡大による三重県(松阪市)へのまん延防止等重点措置の適用を受けて無観客で行われます。ご理解の上、テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<1R>

菅原大也選手
菅原大也選手
 赤板の1コーナーで先頭に立った山田諒が先行態勢を取り、4番手を菅原大也(写真)がキープする。打鐘で青柳靖起が反撃に出るが、山田が突っ張り主導権は渡さない。最終4コーナーで外に持ち出した菅原が、突き抜けた。
 「押さえて(別線が)すかさず来るようなら出させて中団と思ってた。内が空くなら、内から先行しようと思っていた。山田君が先に切るのがイメージ外でした。青柳君には1車入られてしまったし、仕掛けのタイミングが遅くて同県の先輩と力勝負できなかった」
 粘り込む岐阜コンビを菅原に続いた小原太樹が、ゴール寸前で交わして神奈川ワンツー。
 「脚を使ってないぶん、差したかったですね。正直、前回とあまり状態は変わらないです。小田原記念は地元だし出たかったけど、腰痛が出て欠場した。前回も中日(2日目)しか良くなかったし、もう少し場数を踏んで戻していくしかない」


<2R>

 赤板過ぎに近藤隆司が吉田茂生を突っ張り、佐伯亮輔は落ち着いて2コーナーから仕掛ける。四元慎也は離れ、佐伯、坂本健太郎で叩いて出る。3番手に飛び付いた近藤が車間を詰める勢いで最終2コーナーからまくりを打つが、坂本が近藤を阻む。4コーナーで近藤を弾いて追い込んだ坂本が1着。
 「(スタート)けん制からの早駆けで、キツかったですね。(腰痛での)復帰戦っていうのもある。あそこで行かないと突っ張られるし、佐伯君はいい判断だったと思う。(四元が離れて)2車になっていたけど、一発振って冷静に走ることはできた」
 近藤マークの五十嵐力は、近藤のまくりのスピードに乗って直線で外を踏んだ。
 「コンリュウ(近藤)が強かった。スタートを見合って、赤板で突っ張ってからでしたからね。デキがいい時のコンリュウだし、仕上がっている。あれだけ脚を使っていたから自分は(前を)抜けただけ。状態は変わらずで、最近は悪くないですね」


<3R>

 単騎の篠原龍馬が切ったところを竹内雄作が出て打鐘主導権。中部3車が出切り、篠原、久島尚樹の順番で一本棒の隊列。最終2コーナーからまくった高木翔は前が遠い。篠原もいっぱいで前団の中部勢の勝負かに思われた。が、久島マークから直線で中のコースを伸びた柳詰正宏が1着。
 「(コースが)空いた感じはなかったけど、篠原さんは外を踏むだろうと思って内に行った。うまく見えてはいましたね。余裕はなかった。でも、西村さんに並んだのが見えたので、抜きたくて必死に踏みました」
 逃げる竹内の番手の西村光太は絶好の展開も、踏み出しをギリギリまで我慢して、柳詰に伸び負けた。
 「格上の選手にあれだけ行ってもらって申し訳ないですね。余裕はなかったし、風がすごくていっぱいでした。(竹内)雄作はタレてきてたと思う。(最終)3コーナーから2センターにかけての風が、向かい風ですごかったんでキツそうだった。自分の感触は悪くないですね」


<4R>

 打鐘で切った京都コンビの上を早坂秀悟が抜群の踏み出しでカマす。石川雅望が遅れ気味で追いかけて、最終ホームを通過する。3番手で立て直した畑段嵐士のまくりを石川が好ブロックで止める。4コーナー手前から踏んだ川村晃司が楽に抜け出した。
 「(畑段が)3番手を取ってから仕掛けてくれました。行けるか、どうか、様子を見ていて、待ってから前に踏んだけど、(最終)4コーナーから伸びましたね。脚は問題ないので、明日(2日目)も力を出し切れるように頑張る」
 大きく離れた7番手に置かれた瀬戸栄作は、最終2コーナーでまくって出る。瀬戸に乗った園田匠が、外を踏んで2着に届いた。
 「前のラインが離れていって車間が空きすぎたけど、どんな展開であれ1着を取らないとですね。脚は問題ない。でも、1着を取れずに申し訳なかった。外を踏んで余裕もあったし、慌てることもなかった。この流れを崩さないように、着外しないようにしていく」


<5R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 取鳥雄吾(写真)が伊東翔貴を突っ張るが、伊東も強引に出る。菅田壱道は連結を外して、番手に収まった取鳥が再度踏んで打鐘過ぎに出て主導権を奪取する。取鳥、堤洋で出切り、北日本勢が3、4番手に入る。最終2コーナーからまくった齋藤友幸は伸びない。番手の堤も追走いっぱいで、果敢に攻めた取鳥が逃げ切った。
 「(赤板で)引いてからと考えていたけど、(伊東の)押さえ方が甘かったので突っ張りました。かなり苦しかったし(最終)バックからは必死でした。今日(初日)はじわじわ踏んでいったので、気持ち良く踏んだ感じではない。(次に)つながる競走が出来たと思う」
 3番手から追い込んだ伊東翔貴は、取鳥とのハンドル投げに持ち込むも4分の1輪及ばす。
 「フタをしていたけど、しっかり切れなくてそこだけが反省点。後ろの動きはわかっていなかったです。もっとスパンと切ればうまく決まったと思う。取鳥君がまったくタレなくて、(最終)2コーナーで仕掛けたかったけど行けなかった。出し切れていないし微妙ですね」


<6R>

 打鐘の3コーナーで清水剛志を押さえた松尾勇吾だがペースは上がらす、坂井洋がスピードの違いで出て先行策。離れた3番手がもつれて、関東両者がセーフティーリードを保って直線を迎える。粘り込む坂井を木暮安由が交わして1着。
 「坂井君の距離じゃないと思っていたけど、(松尾を)叩く気持ちも入っていましたね。練習は結構やっていたけど、競走の感覚が鈍っているのか、1走したことでなにかつかめれば。脚の状態は非常に良く回っている」
 スピードの違いを披露した坂井洋は、別線をちぎって2着に粘り込んだ。
 「自分か、清水さんが先行っていうメンバーなので、(赤板で)先に動いておきたかった。(最終ホームで叩いたところは)自分にフタをされる前に先に行こうと。スタートけん制があったからか、コンディションなのか、キツかったですね。でも、前回の富山よりは状態はいい」


<7R>

佐藤幸治選手
佐藤幸治選手
 近畿コンビがカマして、3番手の高橋築は車間が空く。一本棒の6番手の佐藤幸治(写真)は、逃げる谷和也とは大きく距離が空いて最終ホームを通過する。高橋のまくりは伊原弘幸に止められ、その上を佐藤がまくりでのみ込んだ。
 「高橋君が突っ張る雰囲気だったし、ちょっと期待したけど後方になってしまいましたね。風が強いなかでジャンくらいのところはキツかった。気持ち早めに仕掛けたかったけど、風でタイミングが狂った。ワンツーが決まったけど、3番手の高橋(清太郎清)君まで連れ込みたかった。脚はいい感じです」
 付けた中本匠栄が危なげなく続いて、九州勢のワンツーで決着した。
 「(佐藤)幸治さんのタイミングで仕掛けてもらったし、行けるだろうなと思った。強かったです。幸治さんが強いのもあるけど、自分はちょっと体が重いかな」


<8R>

磯島康祐選手
磯島康祐選手
 地元の皿屋豊が赤板2コーナー過ぎにすんなりと先に立ち、磯島康祐(写真)は中団まで下げる。そのまま皿屋のペースでレースが流れ、7番手の佐伯辰哉は不発。4番手で脚をためた磯島は、最終3コーナー過ぎから踏み込んで中部ラインをゴール前でとらえた。
 「自分は脚がないので、皿屋さんのレースに期待して、想定した通りになった。皿屋さんは強いので、踏んでもゴール前かなと思っていて、(踏んだら)行っちゃうかもっていう感じでした」
 磯島マークから中のコースを踏んだ須永優太が2着。
 「(磯島が中団に入ってから)踏み合いになっても仕方ないですからね。風はあったけど、付いているぶんには大丈夫だし、余裕はあります」


<9R>

伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 突っ張り気味に踏んだ高橋晋也を強引に押さえて出た小林申太だが、内藤高裕と息が合わずに1人で出切る。番手になった高橋は後続の動きを確認しながら、最終ホーム手前から踏み込んで逃げる。番手の伏見俊昭(写真)が、余裕をもって追い込んだ。
 「(高橋は)2周行ってますからね。自分はしっかりここに向けてやってきて、集中もできていたし余裕はありました。片岡(迪之)君が中団なのはわかっていた。彼はスピードがあるからまくり追い込みに来た時にどうするかでした。でも、(高橋)晋也の圧が勝っていたんで、その必要もなかった。(高橋は)あれだけスケールの大きいレースをしていれば、すぐに状態も戻ってくると思う」
 構えることなく力を出し切った高橋晋也が、スピードと力の違いを見せた。
 「2、3歩踏んだ時に突っ張れる感じがしたので、突っ張りました。落ち着いて、打鐘のところも1車だったので出せた感じです。思った以上に調子は良さそうですね。もうちょい掛かれば(ラインの)3人で決まったと思う。久しぶりのレースだったし、出し切ろうと思って走ったのが結果につながった」


<10R>

宮本隼輔選手
宮本隼輔選手
 小松崎大地が赤板2コーナーで主導権を握り、宮本隼輔(写真)がすんなりと中団でレースが進む。小松崎は打鐘の4コーナーから徐々に踏み上げて、一本棒のままで最終バックを通過する。2センターで外に持ち出した宮本は直線勝負で1着。
 「赤板で切ってからそのまま駆けると、長いなと思っていた。小松崎さんに出てもらって、植原(琢也)君も来なかったので、3コーナー過ぎから1着取れるような仕掛けでいった。すんなりの4番手になりましたからね。休養はしっかりできたし、レース勘とかは大丈夫」
 逃げた小松崎を利した大森慶一が2着に入り、小松崎は3着。
 「植原君が来ると思ったけど、(打鐘の)2センターでは(小松崎が)腹をくくっていましたね。出させないように踏んでいたし、風があってキツい状況で、自分も回せる感じじゃなかった。中団からいつ来てもいいように準備をしていたけど、あの仕掛けでは止められない」


<11R>

 三谷竜生が押さえて出ると、中団が薦田将伍と石井洋輝で併走。後方で反撃のタイミングをうかがっていた蕗澤鴻太郎が、打鐘の3コーナー過ぎにダッシュを利かせて踏み込む。最終ホーム手前で主導権を奪った蕗澤がスピードに乗せて、3番手で車間が空いた三谷はなかなか詰まらない。粘り込む蕗澤を岡田泰地が差し切った。
 「(蕗澤)鴻太郎が積極的に行ってくれたおかげ。自分がこのメンバーで1着を取れるとは思わなかった。石井君が叩くと思っていた。フワフワする感じはあるけど、いつもは日に日に良くなる」
 三谷を相手に十八番のカマシでラインでの上位独占をメイクした蕗澤鴻太郎は、内容の濃い走りが光った。
 「石井君が駆けるかと思ったけど、併走していて意外な展開でしたね。緩んでいたし、出切ってペースに入れたけど、差されているので末が足りない。バンクが重い気がします。最近はモガく距離が短かったし、最低でもバックは取ろうと思っていた。トップスピードとキレはついてきたかなと思う」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 埼玉3車の先頭を務めた黒沢征治が先行態勢を取るが、赤板2コーナーで清水裕友が襲い掛かる。打鐘の3コーナーで清水が出切り、稲川翔と接触した黒沢が落車に見舞われる。清水、稲川で最終ホームを通過して、アクシデントを避けた宿口陽一は大きく車間が空いた。バック手前からまくった宿口が前団をのみ込むが、さらに山田庸平がまくって、後方の郡司浩平(写真)が山田を追いかけて直線。山田が埼玉勢をとらえたところを、その外から郡司が突き抜けた。
 「現場に戻ってきて厳しさを感じた。想像以上に厳しかったです。レース勘とか、流れが思った以上に速かったですね。アクシデントがあった影響もあって、脚がたまらなかった。それ以上に余裕がない。1着を取ることが前提だけど仕掛けたかったです。自分だけ届くようなレースになった。守澤さんは脚があるから、自分できてくれていますけど」
 最後方の守澤太志は、付けた郡司にタイヤ差まで迫るシャープな伸びを見せた。
 「前がすごく遠くて、誰がコケたかもわからなかった。あそこまで来られたのは郡司君のおかげ。車間を切って早めに踏んだけど、あおりもあったぶん、厳しかった。感覚は良くなかったですね」
 単騎の山田庸平はまくりで見せ場をつくって3着に入った。
 「打鐘のところで、落車を避けつつ4コーナーで浅井(康太)さんの内を差してしまっていた。バックを踏んでからだったし、前との車間が空いて、自分がまくりにいったら、合わされると半信半疑だった。迷いながらだったからもっと思い切っていけば良かったです。単騎でも見せるレースができたらと思ってたけどキツかった」